部屋から出るとワインボトルを片手に持った帝が待ち構えていた。
まだ制服着たままなんだ。
てっきり笑われるとか似合わないとか言われるかと思ったけど…無言で見つめられるのもなぁ。
まさか中に入ってた女物の下着着なかったのバレた?あれは無理だって!
それとも後ろ手にこっそりと桜慈から貰ったものを持ってんのがバレたとか?
「燈瑪…その格好、最高に可愛いぜ?そしてエロい」
「うわっ!」
ワインボトルを片手に持ったまま軽々と肩に担がれて思わず声を上げた。
リビングのテーブルには空になったワインボトルが2本転がってる。
もしかしなくても酔ってる?
どうしよ、酔ってる時の帝は真白以上に卑猥になるんだよね。
そうこう考えるとソファーに降ろされてすぐに上に覆い被さってきた。
このままソファーでとか嫌だ!何とか気を逸らそうと手に持っていたものを帝の頭に付けた。
「……何だこれ」
「桜慈がくれた猫耳。似合うよ」
帝なら黒の猫耳が似合う…と思ったけど、これは…笑いそう。
でもほら、魔女には黒猫だし!
そう言い聞かせてたら帝に伸ばした手を掴まれてそのまま舌がゆっくりと這っていく。
これは本格的にマズイ。気を逸らせなかった!
「帝待った!んっ…」
制止の言葉を帝が聞く筈ないか。
掴まれた腕をソファーに押さえ付けられてそのままキスされる。
ワインとチョコの味に少しクラッとした。
「んっ、う…みか、どっ…」
「……ここに美味そうなご馳走があるじゃねぇの」
帝は俺を見下ろして楽しそうに笑ってる。
何言ってるんだよこの酔っぱらいは。
でも…こうやって帝と2人っきりは久し振りだし。
今日はこのまま大人しく食べられようかな。
来年もその次もずっとこの悪魔がハロウィンに俺の元に来ますように。
「帝、Trick or Treat.」
「あ?このタイミングで言うっつー事は…何だ?俺に悪戯してぇのか?」
「!?違うよ!」
Fin.
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