流星街の路地裏にて

服越しに彼女の胸を揉みしだき、頂点の辺りをこねくり回す。痛いくらいの愛撫がいいらしく、彼女は甘い吐息を漏らしながら快感に耐える。
「フィンクス」
「ンだよ」
「挿れて」
潤んだ目で訴えられる。ズボンの上からでもはっきり分かるほど膨らみ切った股座に小さな手を這わされ、彼が苦笑する。
「その前にしゃぶれよ」
彼女はもどかしそうに眉を下げつつ、身を屈めて彼のズボンを寛げ、目当てのものを取り出した。
鼻先に蒸れた臭いが漂うのも厭わず、寧ろ愛おしそうに肉棒に手を添えて根元から舐め上げる。
赤い舌でちろちろと先端をつつき、裏筋を丹念に愛撫する姿はひどく淫猥だ。
彼女は彼のものを銜え込んで顔を前後させる。質量を増したそれに口内を圧迫され、唇の端から唾液が零れる。
じゅぷ、ぐぷ、と卑猥な音を立ててしゃぶり、吸い上げる。根元近くまで飲み込むように頭ごと動かしていると、彼が低い呻き声を上げる。

そろそろ彼の限界が近い。彼女は一旦口を離すと、唾液で濡れた男根に頬擦りした。
しゃがんだまま自分の女陰を割り開く。充血しきった陰核を擦りつつ、その下の蜜壺に指を押し入れる。
もう片方の手では、彼のものを上下に激しく扱き、再び先端を口に含む。竿と亀頭を同時に刺激され、彼はたまらず息を詰めた。
「ね、フィンクス、早く」
上目遣いで彼女がねだる。彼の瞳に嗜虐的な色が浮かぶ。
彼は無言で彼女を抱え上げ、駅弁の体勢で繋がった。自身の体重も手伝って、彼女の最奥まで楔が穿たれた。

「あ、ああ、ァ」
子宮を押し上げる質量に、彼女は悲鳴じみた声を上げて打ち震えた。
強い快感と圧迫感で呼吸がままならないらしく、はくはくと苦しげに口を動かしている。
「お前、いつもより感じてね?」
彼女は答えない。代わりに全身でしがみついてくる。彼の胸に頬を寄せ、荒い息をついている。
熱い吐息が胸にかかるのを感じながら、彼はゆっくりと抽挿を始める。
初めは様子を窺うように。徐々にスピードを上げて、ギリギリまで引き抜いては一気に最奥まで突く。
「ん、あ、フィンクス…ぅ」
彼女の感じる場所などとうに知り尽くしている。腹側のざらざらした箇所をめがけて腰を打ち付けると、上擦った嬌声が上がった。

「外でするの、そんなにいいのか?」
路地裏で隠れながらとはいえ、野外での行為は彼女の興奮を増幅させるらしい。
彼女は夢中で頷きながら、一層強く彼を締め付ける。分厚い肩にしがみつきながら腰を振り立てる姿は、普段のすかした女盗賊のものではない。本能のままに乱れ、奔放に快感を貪り、所構わず精を求める雌猫そのものである。
彼女から発せられる噎せ返るほど濃厚な雌の匂いに、彼自身もまた昂っていく。彼女の臀部を掴んで乱暴に揺さぶると、肉同士がぶつかり合う生々しい音が響く。結合部からは絶え間なく蜜が溢れ出し、二人の陰部をしとどに濡らす。

「つーか、」
「何?」
「なんか覗かれてるけど」
「……ああ」
塀の向こうには複数人のオーラがある。
二人……いや、三人。ローティーンの少年達が、好奇心と欲に満ちた目でこちらを観察している。
一人は背伸びをして塀の上から覗き込み、もう一人はひび割れた隙間から。残りの一人は大胆にも横から顔を出して、息を殺しながら男女の交合を鑑賞している。
「知てる。あいつら、さきからずと見てるね」
彼は腰の動きを速める。彼女は悩ましげに眉を顰め、吐息混じりに喘いだ。
「まさかとは思うが、マワされてみたいとか思ってねェだろうな?」
「ハハ。あり得ない」
彼女は小さく笑うと、彼のうなじに回した手を下ろして、上半身に纏った服を捲り上げた。下着をつけていないせいで形の良い小ぶりな乳房が丸出しだ。

「でも。ワタシがあいつらに犯されて、それでお前がヤキモチ焼くところ見てみたいね」
「悪趣味だな」
二人はくすくすと笑い合う。
「フィンクスこそ見られて興奮してるね」
図星を突かれて彼は何も言えなくなる。彼女は舌なめずりをすると、見せつけるように腰をくねらせた。膣襞が蠢き、結合部から溢れ出した蜜が、彼の下生えまで濡らしていく。

少年達の食い入るような視線が痛いくらいに突き刺さる。二人の行為を見ながら、何かこそこそと囁き合っている。
――すげぇな。あの姉ちゃん。
――あんなにデカいの入っちゃうんだ。
――痛くねーのかな?
――ていうか、あれって幻影旅団の……
――バカ。声でけーよ。見つかったら殺されるぞ。

(丸聞こえだっての。バカどもが)
彼は心の中で吐き捨てた。少年達は二人の性行為に、しかもそれを行っているのが、かの幻影旅団だという事実に、ひどく興奮しているらしい。
彼女の方はといえば、素知らぬ顔で快楽を貪っている。少年達の囁き声にも気がついているのだろう。これ見よがしに乳房を揉んでみたり、わざと声を上げて膣を締めたり、自ら気持ちいいところに当たるよう動いたりしている。少年達はすっかり釘付けだ。自慰を始めた者までいる。
フェイタンとの情交を、不躾な子供に見られている。彼もまたその事実に、彼女の激しい乱れ様に、ひどく興奮してしまっている。

「フィンクス」
彼女が彼の名を囁く。潤んだ瞳を向け、頬を紅潮させ、額に汗を浮かべ、淫靡に微笑み、両足を彼の腰に絡めて、結合部を密着させ、より深く胎を突かれる体勢になる。
「ワタシのナカ、出して」
熱い吐息と共にねだられて、彼は頭が真っ白になった。彼女の尻肉に指を食い込ませ、欲望のままに何度も穿つ。
「ああ、あ、フィンクス、フィンクス」
涙混じりの声で彼の名を呼ぶ。切なげに眉を寄せながら愛欲に耽る。
少年達は目を皿のように見開いて彼女の痴態を凝視し、同時に自身を擦り上げている。中には既に射精した者もいるようだ。彼は彼女の尻を左右に大きく割り開いて、見物人どもに結合部を見せつける。
「フェイ、出すぞ」
彼女が頷くのとほぼ同時に彼の欲が弾けた。子袋を叩く奔流を受けて、彼女の背筋がぞくぞくと震える。
少年達はこそこそと言葉を交しながら、食い入るようにそこを見つめている。
射精を終えてからも、彼はしばらく彼女の中に留まっていた。絶頂の余韻を楽しみ、最後の一滴まで注ぎ込むかのように腰を揺すり、やがてゆっくりと引き抜いた。薄く口を開いた彼女の女陰から、とろりと白濁が流れ落ちる。

「……ハハ。赤ちゃんできたかも」
彼女は笑いながら自身の腹を撫で、聞こえよがしに呟く。見物人達がごくりと唾を呑み込む気配があった。
「なぁ、もう帰ろーぜ。風呂入りてェ」
彼が半ば投げやりに言った。もう少年達に興味をなくしたらしく、粘液がこびりついたままの陰茎を衣服に収めて帰りの支度を始めている。
「ワタシまだ満足してないね」
そう言って彼女は愛液まみれの秘所に指を這わせ、溢れた白濁液を絡め取り、膣に指を差し込んでグチュグチュと掻き混ぜる。
「バカか。家ですりゃいいだろ」
彼は呆れたように言って、彼女の頭を軽く叩いて
「早くパンツ履け。置いてくぞ」
と言い捨てると、彼女に背中を向けて歩みを進める。
去り際に一度振り返って塀の向こうを睨む。
彼と視線を交えた一人が、しゃくりあげるような悲鳴を上げた。少年達が慌てて散開していく気配があった。
「フィンクス。待ててば」
彼女も服を整えて彼の後を追う。

路地裏には男女の淫臭と若い雄の青臭い匂いが入り混じり、砂埃に掻き消されて、やがて風の中に霧散していった。

[ 8/10 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -