紙人形は全て聞いていた(団フェイ)

「フェイタン。ちょっと来い」

クロロの命令を受け、読書を中断して立ち上がるフェイタン。
やって来たフェイタンを引き連れて奧へと引き込んでいくクロロ。
二人の後ろ姿を不思議そうに見送るカルト。

(どうして団長はフェイタンの腰に手を回してるんだろう)

訊きたいことは色々あるが、むやみに立ち入っていいものでもなさそうだ。そう本能的に悟り口を噤んでいた。

一方のフェイタンは、クロロに連れられ人気のない廊下を歩いていた。そして突き当たりにあるクロロの部屋に押し込められる。カチャリと施錠する音がした。刹那、壁際に押しつけられるようにしてキスされた。

「んっ……ふぅっ……!」

舌を差し込まれて口内を蹂躙される。抵抗しようにも両腕で抱きすくめられ身動きが取れなかった。
たっぷり十数秒かけてキスされ、ようやく解放される頃には息が上がり頬が上気していた。

「……何するね」
「お前が可愛いから我慢できないんだよ」

悪びれることなくしれっと答えるクロロは、フェイタンを壁に追い詰めて問いかけた。

「お前、俺のこと好きか?」
「別に嫌いじゃないよ」
「なら付き合え」
「無理」
「じゃあ抱かせろ」
「それも断るね」
「団長命令は絶対」
「……」
「裸になれよ」

フェイタンは眉間に皺を寄せ、渋々といった様子で服を脱ぎ始めた。その顔には諦めの色が浮かんでいる。
下着姿になったところで手が止まる。

「どうした?早く脱げ」
「…………」
「何なら手伝うか?」

伸ばされたクロロの手を振り払い、最後の一枚を脱ぎ捨てる。クロロの前に全裸の身体が晒された。

「相変わらず綺麗な肌だな」

そう言いながらフェイタンの小さな、しかし引き締まった身体を撫で回す。東洋人らしい、鞣し革のようなすべすべした皮膚の感触が心地よい。

「くすぐたいよ」
「お前、ちゃんと食ってるか?少し痩せたんじゃないか」

胸を揉んでみる。手に収まるサイズのそれは形がよく、しっかり身が詰まっている。しかしながら前回抱いた時より、些かサイズダウンしたように思う。

「……あまり食欲ないね」
「今度美味いプリン食わせてやるよ」

フェイタンをベッドに横たえると、その上に覆い被さり再び唇を重ねる。今度はゆっくりと優しくキスをした。

「……ふぁ……ぁあ……!」

そのまま首筋へ、鎖骨へと口づけを落としていく。

「……う!……んあ!」

時折強く吸われる度に小さな声を上げる。普段の声からは想像もつかないような高い声だった。

「……ふぅ……!!」

引き攣ったような声が上がる。フェイタンが達してしまったのだ。

「もうイったのか?まだ前戯も始まってないぜ」
「うるさい……ね」

羞恥心を隠すように顔を背けるフェイタン。そんな仕草もまた可愛らしく映った。

「拗ねるなよ」
「意地悪な団長嫌い」
「まあまあ怒るなって。そろそろ本番いこうじゃないか」

クロロはベルトに手をかけるとズボンごとパンツを下ろそうとした。が、フェイタンの方が早かった。
フェイタンはクロロのズボンのファスナーを下ろして逸物を取り出し、その小さな口に含んだ。

(これがあの時の)

流星街で暮らしていた頃、一緒に風呂に入った時にクロロのモノを見たことがある。その時に比べて今は随分大きくなった気がするが、おそらく気のせいではないはずだ。
自分の口が小さいせいで半分くらいしか入らないが、それでも一生懸命奉仕を続ける。舌先で先端を刺激したり裏側を舐め上げたりするうちにますます大きくなってきた。

「上手いな」

頭を撫でられて思わず笑みがこぼれる。だがこれで終わりではない。
クロロは自分のものを口から離させると、今度は逆にフェイタンを押し倒した。そして両足を抱え上げると、秘所に指を入れてかき回し始める。

「……早く済ませるね」
「そう急かすなよ。すぐ入れてやるから」

しばらくすると指を引き抜いた。代わりに自身のものをあてがい一気に貫いた。

「あ……!」

腹を庇うように背を丸め、逃げようと腰を引くフェイタン。痛がっているように見えたが、よく見ると違ったようだ。顔を見ると苦しそうな表情を浮かべているものの、痛みを感じているというより快楽に耐えかねているように見える。

「大丈夫か?」
「……平気ね」

人の体を蹂躙しておいてよく言う。とでも言いたげに、切れ長の目で睨む。

「動くぞ」

宣言通り律動を開始するクロロ。最初はゆっくりだったが徐々にペースを上げていった。

「ああ!!……ん……はぁん」

動きに合わせて甘い喘ぎ声が上がる。

「フェイ、お前の中超気持ちいい」
「うるさ……いよ」
「フェイ、可愛い。好きだ」
「……何言てるか」
「愛してる」
「人をからかうのやめるよ」

はは、と苦く笑うフェイタン。横隔膜と連動して膣が締まり、きゅっと肉棒を締め上げた。クロロはフェイタンをすっぽりと包むよう覆い被さり、律動を早め、ほどなくして小さく震えてフェイタンの中に精を放った。

「ああ……」

フェイタンは小さくため息をつくと目を閉じ、クロロの唇を吸った。

「――もう少し休んでいったらどうだ?」

上半身裸のまま本を読みながら、衣服を身につけるフェイタンに語りかけるクロロ。先程までの熱はすっかり冷めて、団長の顔に戻っている。

「別に平気」

フェイタンはそう答えたが、正直出ていくのは名残惜しかった。しかしこれ以上ここにいると、離れられなくなりそうだと思った。

「じゃ、行くよ」
「首、見られないよう気を付けろよ」
「どうせマスクで隠れるね」

その細い首筋には真新しいキスマークが点々と付いている。

「またな」
「……うん」
「あと、俺のこと好きか?」
「……」
「返事は?」
「……嫌いよ」
「そうか」
「嘘ね」
「何だそりゃ」
「ワタシが団長のこと嫌いになるはずないね」
「嬉しいこと言ってくれるじゃないか」

クロロはやおら立ち上がり、フェイタンを抱き寄せるとキスをした。
(※紙人形は全て聞いていた)

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