お互いに(変態だなこいつ)と思ってるフィンフェイ♀の話

「フィンクス、下着変えた?」
「はー?」
ジャージの上から大切な場所を揉みしだかれながら、突然の質問に間抜けな声を上げるフィンクス。
「なに言ってんだお前。そりゃパンツは毎日替えるだろ」
「そういうこと違うよ。下着の種類変えたよね、て話」
「……ああ。確かに今日はボクサー穿いてっけど」

フィンクスはタイトな衣類を好まない。例えばスキニーパンツだのタートルネックだのスパッツだのをいやがり、ジャージやスウェットなどゆったりした服装を好む。
下着の類も例外ではない。ブリーフやボクサーパンツは窮屈で蒸れるから嫌いだ。専らトランクスを愛用している。
では今どうしてボクサーパンツを穿いているのかというと……別に大した理由はない。生地のデザインに心惹かれるものがあったから。それだけである。

「へぇ。珍しい」
「気まぐれで買ったんだわ。イケてる柄してたからよ」
「そか」
「でもキツいしゴムんとこカユイし、わりと後悔してるけどな」
「ふぅん」
フェイタンはそっけなく、しかしジャージ越しのペニスから手を離すことなく相槌を打つ。

「にしても、よく分かったなお前」
手触りで下着の変化を見破る能力。すごいとは思うが見習いたくはない。
「だて明らかにオカシイし。いつもなら左下45°向いてダランとしてるね。今少し真ん中寄りすぎ。どう考えても普通と違うよ」
「普通ってお前。人のチンポジ把握してる方が普通じゃねーしオカシイと思うぞオレは」
「それは仕方ないね。フィンクスのチンチン触るのワタシのクセみたいなものだし」
「それが普通じゃねーっての」
下らなすぎる。何故チンポジごときで言い合いをしなくてはならんのか。そもそもチンポジに普通も何もあるか。だいたい人の股ぐらを触るのがクセって何だ?これ相当おかしくないか?
ていうか、明らかに普通ではない自分たちが普通について論ずること自体がオカシイのではないか?
そんなことをつらつら考えているうちに、フェイタンはフィンクスの下半身を包むジャージを下ろし、ボクサーパンツの中に手を忍ばせていた。

「……何してんのお前」
「イケてるて言うから、どんなかこいい柄かと思て。フィンクスこういうカワイイの好きか、意外」
「だぁから、気まぐれだって」「男ものでこういうのは珍しいと思ってよ」「で、その手は何?」「パンツに突っ込む必要ある?」……と文句を言う暇もなく、下着をずり下ろされ手淫されてしまう。
「ハハ。硬くなてきた」
囁く声はほんのりと熱を帯びている。
「うっせぇな」
悪態をついて恥ずかしさをごまかそうとするが、多分無意味だ。逸物を膨らませながら文句を言っても説得力はなかろう。
「もう我慢汁出てるよ」
指先で先端をくりくりされる度に、腰の奥から快感が込み上げてくる。それを悟られるまいと必死に耐えるのだが、いかんせん息子には堪え性がないらしい。
「ねぇフィンクス。ワタシのアソコに挿れたくない?」
甘い誘惑の言葉。
彼女はズボンを脱ぎ捨て自分の股間に手をあてがい、「ワタシのこんなになてるよ」と言いながら上下に擦り始める。
東洋人種らしく肌理細かな、白い肌が眩しい。そこに刻まれた蜘蛛のタトゥーと、レースをあしらった黒い下着が映える。股布を横にずらしたそこはしっとり濡れていて艶めかしい光を放っていた。

(あークソッ)
彼の中で何かが弾けた。気が付けば彼女を押し倒していた。そして荒々しく唇を重ねていた。
舌を差し入れ口内を掻き回す。歯列をなぞり上顎を刺激する。彼女の小さな口腔はあっという間に彼によって蹂躙されてしまう。
思うさま貪り酸欠になって、ちゅぱっと音を立てて口を離す。互いの唾液が銀色の糸を引いて途切れる。
彼女の顔を見下ろす。息は弾み、頬が上気して、瞳は潤んでいる。情欲にまみれた女の表情だ。
「……いきなり激しすぎね」
「誘ってきたのそっちだろ」
「そうだけど、」
最後まで言わせず再びキスをする。今度は彼女の方からも求めてきて、お互いの口腔内を犯し合う。
彼女の手を取り自分のペニスに導く。先程までの愛撫で完全に勃起したそれに再度触れさせる。彼女は少しの間探るように手をそわつかせていたが、すぐに握り返して再び上下に扱きはじめた。
「大きいね」
「おかげさまで」
「舐めていい?」
「ん」
返事を聞くなり彼女は彼を仰向けにさせ、その腹に覆い被さり、所謂シックスナインの体勢で(身長が合わないためシックスナインは成立しないのだけれど)ペニスを口に含んだ。
小さな口いっぱいに頬張り、舌を使って亀頭をチロチロ刺激してくる。その絶妙な動きに思わず射精してしまいそうになるがなんとか堪える。
口淫を行う一方で自身を慰める彼女。こちらに見せつけるように、指先で割れ目を左右に開きクリトリスを刺激している。
これまた小さな鼻孔から漏れる吐息が熱い。彼女の方も興奮しているのだ。彼は身を屈めると、左手で尻肉を掴み右手の中指を膣内に挿入した。「んぐ」と小さく悲鳴が上がるが無視する。
熱い蜜で充たされた箇所に指を出し入れしつつ親指でクリトリスの包皮を剥いて転がしてやると面白いくらいに腰が跳ね上がる。きゅっ、きゅっと磯巾着のように締まる肛門にも指を押し当て、グリグリと刺激してやる。
「それだめ、すぐイ(ッ)ちゃう」
「別にいーぜ」
「イヤ、もと」
「どっちだよ」
呆れたような声で笑いながら、より激しく愛撫を行う。
彼女はひとしきり喘ぎ、やがて数回痙攣し硬直したあと、ぐったりして動かなくなった。

「おい、まだへばるなよ」
脱力した体を持ち上げて尺取虫のような格好で寝かせる。
「ん、やだぁ」
「『やだ』じゃねーだろ。オレがまだ済んでねーんだよ」
「だて」
「『だって』もクソもあるか。先にちょっかいかけたのテメーなんだからよ、きちんと責任取りやがれ」
引き締まった尻肉を左右に割り開く。背後からのしかかり、いきり立った自身を宛がう。一挙に奥まで突き上げる。
「あぅ」
彼女の膣内は狭く、まるで精液を搾り取ろうとするかのように締め上げてくる。寝バックの体位で抽送を開始する。逃げられないよう左右の肩甲骨を押さえながら。パン、パンと肌と肌がぶつかり合う音が響く。
「う、ぅぐ!んふ、ん、ぅん!」
倍近くの体重に圧し潰されながら、彼女は肺の奥から絞り出すような声を漏らす。胸郭を圧迫されて苦しいのだろう。しかし体重をかける度にキュッと締まるのがまた彼にとって非常に具合が良い。
「気持ちいいか?」
耳元で囁く。返事はない。
「なぁ、どうなん? 答えろよ」
「…重い」
「『気持ちいいか』って訊いてんだよ」
「重くてそれどころじゃないてば」
「話になんねぇな。もっといじめちゃお」
さらに強く押しかかる。
「〜〜〜!」
彼女の声にならない叫び。どうやら苦しいばかりではないらしい。突き上げられた子宮頸管から、とろとろと粘液が分泌されてくるのが分かる。

「お前ってけっこうマゾだよな」
揶揄するように言ってみる。
「違う」
「いや違わんだろ」
「ぎ、ひぃ」
言いながら、深く突く。
「あぅ、ぁ、ああ、ああ、ふぅ、ああ」
リズミカルに腰を打ち付けるたびに彼女の口から艶めいた悲鳴が上がる。結合部から淫靡な水音が上がり、溢れ出た愛液が男根の生え際を濡らす。
「で、マゾじゃないとしたら何だ?チンポ大好き変態女か?」
「もう、うるさい」
「なぁフェイ。オレとオレのチンポどっちが好きだよ」
「たた今どちもキライになたよ」
「うわショック。泣いていいかオレ」
「勝手(かて)に泣いてろ」
軽口を叩き合いながらも抽挿は続く。
「こっち向けよ」
体を反転させて正常位に変える。うるさいだのキライだの言っていたくせに、両手両足で必死にしがみついてくるから何とも可愛らしい。
キスのひとつでもしてやろうかと思ったが、いかんせん身長が合わない。
それならしょうがないと膝に乗せ、対面座位の格好で激しく突き上げながらギュッと抱き締めてやる。
「ぁあ、すご、深い……」
胎内を抉られる快楽に背中を大きく仰け反らせ身悶える。小ぶりな乳房が鳩尾に密着する。彼女の両脚が、彼の腰を抱え込むように絡みついてくる。
そうやって互いの体温を味わいながら抽挿を続けているうちに、男根を咥えた箇所がひっきりなしに収縮を始め、絶頂が近いことを知らせてきた。
「お前、中に出していい日だっけ?」
「うん。いぱい出して」
ラストスパートをかけて腰の動きをさらに早める。膣内がいっそうきつく締まり、彼女の全身が強張り始める。
「フェイ、出るぞ」
短く告げると彼はそのまま射精した。彼女の胎内を穿つ怒張しきったそれは、ドクンドクンと脈打ち大量の精子を放出する。
同時に彼女も果てたらしい。膣肉が激しく痙攣し、彼から精液を一滴残らず搾り取ろうとしてくる。
「熱い……」
厚い胸板にしなだれかかりながら、彼女はうっとりした声で呟いた。

***

「……そう言えばフィンクス。何故ワタシの安全日知てるか?」
事後の余韻に浸っていた彼女が、はたと思い出したように尋ねてくる。
彼はぎょろりとした三白眼をいっそう見開いて、さも当然とばかりにこう答えた。
「そりゃ自分のオンナの生理周期くらい知ってるだろ。お前いつも32、3日くらいだし、生理前は決まってサカってるし『おお。こりゃ安全日だな』と思ってよ」
「……」
彼女は無表情で暫し黙っていたが
「気色わる」
と、心底嫌そうな顔をして吐き捨てるように言った。
「は!?何だよソレ」
「キモイキモイ、有り得ない。人の生理周期把握してるとかホント気持ち悪いね」
「んだとコラ。人のチンポコべたべた触って喜んでる奴に言われたかねーわ」
「それはそれ。ワタシはいいの」
「何だそりゃ」

この女は体は小さいくせに態度はでかい。
まぁ、それがフェイタン=ポートォという女なのだけれど。

愚にもつかない言い合いをする二人の傍らには脱ぎ捨てられた衣類たちが転がっている。
黒づくめの服。これまた黒いランジェリー。色気のないジャージ。
その中で苺柄のボクサーパンツが異彩を放っていた。

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