ブログより

・マチ視点
・修行一年目くらい
・フェイタンが女の子
・フィンフェイはランコさんとは別の師匠についてる

***

仲間だからといって全員が全員気が合うわけではない。それは当然のことだ。
たまたま同じ時代に生まれ同じ環境で育ったというだけで、みな違う魂を持った別個体である。
その中ではフェイタンが最も自分と似た気性であることが分かった。
でも決定的な所が違っている。サラサを弔ってから一年が過ぎた頃、フェイタンはフィンクスと恋仲になった。

「フィンクスと何かあった?」
普段なら適当にはぐらかすか顔をしかめて黙殺するだろうに。それどころか「よくぞ訊いてくれました」とばかりに狐目を細めて、その子は答えた。

「あんた初潮まだじゃなかったっけ」
「うん。子供できないから好都合ね」
「そうは言っても、いつ来るか分からないだろ。避妊はちゃんとしときなね」
「ハハ、それはそう」
すっかりパーマの取れた黒髪を耳に掛け、悪戯っぽく笑いながら言葉を紡ぐ。
「マチもウボォー誘てみたらいいよ。あいつ強いし。よく見たらイケメンだし。今のうちツバつけといた方がいいね」
「よしてよ。あいつとはそんなんじゃないから」
「そう?昔はいつも一緒(いしょ)だたのに」
「ガキの頃の話さ。今はもう違う」
「ふぅん」
「ていうかフェイタン趣味悪いね。あの筋肉バカがイケメンだなんてさ」
「けこう男前だと思うよ。さすがに一緒に寝るのは無理だけど」
「……」
「ま、向こうの方から願い下げだろうけどね。ハハハ」
そう言ってカラカラと笑うその子の首筋には真新しい赤い痣が散らばっていた。

***

――マチもウボォー誘てみたら?あいつ強いし、よく見たらイケメンだし、今のうちツバつけといた方がいいね。

山道を走るバスに揺られながらフェイタンの言葉を反芻する。
あの口振りだとフェイタンからフィンクスを誘惑したのだろう。あの小さな体で。あの幼い顔立ちで。一体どんなふうに?
(あのバカと寝るなんて無理だっつーの)
ウボォーギンに限らず、いまさら友人の誰かと恋仲になりたいとは思わない。何がどうとハッキリは言えない。明確に言語化はできないが、何となく気持ち悪い。
生き物は本能的に近親相姦を嫌うという。それに似た感じなのだろう。血の繋がりはないにしても付き合いが長すぎて、そういう対象として見ることができないのだと思う。
でもフェイタンとフィンクスは違うらしい。四六時中くっついて兄妹のように育って、お互いをよく知っている。だからこそ心身を委ね合うことができるのか。

(…羨ましいような気もするけど)
自分とウボォーギンに置き換えるとゾッとする。彼に股を開くなんて、天地がひっくり返ってもあり得ない話だ。
パクノダはどうなのだろう?例えば彼女がクロロに向ける温かい感情は、大人の爛れた性愛になりうるのだろうか?

「よー、マチ」
馴れ馴れしく声をかけられ顔を上げるとフィンクスがいた。今し方停まったバス停で乗車してきたらしい。
しばらく見ないうちに随分と背が伸びたものだ。以前はパーマを当てたり整髪剤で固めたりしていた髪は伸びっぱなしで、後頭部で一つに結ばれている。
「久しぶりだな」
「だね」
「最近どうよ、修行の方は」
「基本はだいたい覚えた。あとは発をどうするかって所」
「へー」
座席に腰掛け、自分から尋ねておいて興味なさげに返事をするフィンクスに少し腹を立てつつ質問を返す。
「…そういやフィンクス」
「あん?」
「フェイタンとエッチしたってホント?」
「はぁ?誰から聞いたんだそれ」
「フェイタンからだけど」
「……あんにゃろう」
「本当なんだ」
「うるせぇなぁ。テメーに関係ねぇだろ」
彼は言外に事実と認め、がりがりとうなじを掻きながらぶっきらぼうに答える。

「んだよその目は、言っとくがお互い合意の上でしたことだからな。外野のお前に文句言われる筋合いはこれっぽっちもねぇぜ」
「事実確認しただけじゃん。誰も文句なんか言っちゃいないよ」
買い出しメモをパラパラと捲りながら、続けて問いかける。
「…で。あんたはあの子のこと好きなの?」
「好きじゃなかったらしねぇし。お前こそウボォーとどうなんだ?」
「なんでウボォーが出てくんだよ」
「はっ!よく言うぜ、いっつもあいつの女房気取りでベタベタしてたくせによ。向こうもお前のこと気に入ってたみたいだし、お似合いじゃねぇか」
「気持ち悪い言い方すんな」
(そういえば以前フェイタンとも似たような会話をしたな)とデジャブを感じながらマチは溜息をつく。
「あたしはそんな気ないからさ。こんど気色悪いこと言ったらぶっ殺すからね」
「へーへー分かりましたよ。あーやだ、人のことはズケズケ訊いてくるくせに自分のことになるとこれだ」
そう言って肩をすくめるフィンクスの態度にはどことなく余裕があるように感じた。彼とフェイタンはいち早く大人になった。子供でありながら、もう子供ではないのだ。

「……」
改めて、フェイタンがフィンクスに抱かれた時のことを想像してみる。あの細い手足を強張らせながら破瓜の痛みに耐えフィンクスを受け入れるフェイタンの姿を思い浮かべる。
そしてそれを自分に置き換えて考えてみる。フィンクスと体を重ねるのはどんな気持ちだろう?もし自分の相手がウボォーギンだったら?ノブナガと抱き合ったら?シャルナークやフランクリン、あるいはクロロだったら――?

「…やっぱキモイ。あり得ないわ」
思わず呟いた一言にフィンクスが怪しげな目を向ける。
「はー?」
「何でもない。独り言」
「あっそ。オレ第三教会前で降りるから、着いたら起こしてくれよ」
そう言ってフィンクスが瞼を閉じ、眠りにつくまでを見届けたあと、マチは窓から見える景色に目をやった。
目的地はまだ遠い。
窓の外では木々の葉擦れの音が聞こえていた。


end. ◆


(これはAIが書いてくれたあとがき)
ウボォーさんとマチの絡みは是非読みたいです。
でもマチがウボォーギン(というか仲間達)と寝るなんて考えられないし、思春期以降何となく二人でつるむことはなくなっていくのかなと勝手に思っています。
長じていくにつれて自分と他人、男と女の境界線を明確に区切るようになるマチと、相変わらずガキ大将のままのウボォーという対比が面白くも切ないですね。そしてウボォーのパートナーがマチからノブナガに変わっていく過程も興味深い。
子供時代のフィンフェイは「あれやってみようぜ」「これ面白そうじゃね」と色々提案するフィンクス&それに付き合ってあげるフェイタンといった印象。ただ初体験の時だけはフェイタンが主導権を握ったと思います。
フィンクスが初めてフェイタンを抱いた時の様子を妄想すると楽しいですね。フェイタンにリードされて戸惑いながらも次第に興奮していくフィンクスとか最高じゃないですか。

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