フィンクスがショタ化しちゃった話(フィンフェイ)

「よっ」
「……」

プレイヤー狩り競争で別れてから数日。
久々に再会したフィンクスはずいぶんと可愛くなっていた。
いや。「可愛い」と言うと語弊がある。
正確に言えば、ローティーンまで若返ってしまったのである。
フェイタンよりほんの少し高い背丈。柔らかそうな金髪。子供特有のもちもちしたきめ細かな肌。棒のような細い手足にブカブカのジャージ姿。
ここまではいいとして。ぎょろりとした三白眼に「へ」の字に結んだ唇、いかにも生意気そうな表情は、お世辞にも可愛げがあるとは言えない。
これがフィンクスだと理解した瞬間フェイタンは思わず吹き出しそうになってしまった。当事者にとっては笑い事ではないのだろうが、幼い見かけと擦れた雰囲気のアンバランスさがどうにも笑いのツボを刺激するのだ。

「おいこら。笑ってんじゃねーぞてめー」
「ハハハ、誰かと思たよ。一体(いたい)何があた?」
「なんかプレイヤーの念能力でやられちまった。俺としたことが迂闊だったな……ま、すぐにぶっ殺したけど」
プルプルと肩を震わす相方にむっとしつつも事も無げに言うフィンクス。それを聞いた瞬間フェイタンの笑いが止まる。

「で、どうやて戻るね」
「は?」
「戻り方。殺る前に聞き出したか?」
「あ……」
一瞬の間を置いてから、フィンクスはしまったという顔をした。
「ヤベー。全然頭になかった」
「本当にやばいねそれ」
「どうしよ」
「ワタシに訊いても仕方ないね」
「だよな」
この期に及んでこのマイペースっぷりである。呆れていいのやら感心すればいいのやら。

「とりあえずアジト戻る。それから考えたらいいね」というフェイタンの提案に従い、GIを出て仮宿に戻ったはいいが

「なんだオメー。ずいぶんちっこくなっちまったなぁ」
「うっせ」
「ほら飴やるよ。それともグミがいいか?」
「いらねーよ」
案の定ノブナガとシャルナークにからかわれ、事情を聞いたマチからは「バカじゃないの」と短く罵られた。

「ほっとけばよくない?特に困ることもなさそうだし。そのうち元に戻るかもだし」と相変わらずの無表情で宣うシズク。その見解に全員が賛同したが、フィンクスは納得しない。
「てめーらが困んなくても俺は困んだっての。このまま戻らなかったらどうすんだよ」
「それは自業自得ってものだ。仕掛けた奴はお前が殺してしまったんだろ?」
ボノレノフの正論。そう言われてはぐうの音も出ない。
「まぁ今更騒いでもしょうがねぇな。フェイタン。お前こいつのお守りしてやれ」
「は?誰のお守りだこの野郎
「仕方ないね」
ブー垂れるフィンクスを無視してフランクリンの言葉を承諾するフェイタン。
フィンクスはまだ何か言いたかったが、諦めて口を噤んだ。

フランクリンの言う通り、騒いでも仕方ない。それにあまり駄々をこねてもノブナガたちを面白がらせるだけだ。
団員どもの反応にむかっ腹を立てる一方、変に気を遣われるよりはいいのかもしれない。とも思った。
ここでは年齢も性別も体格も生まれも関係ない。仲間は仲間。余所者は余所者。フィンクスはフィンクス。子供の姿になった事で(からかいや多少の配慮はするにしても)態度を変える者は一人もいない。
ある意味気楽でいいというか、考えようによっては有難いことだと言えよう。

……もっとも皆そこまで深く考えておらず「フィンクスのバカがやらかした」くらいにしか思ってないのかもしれないが。

***

「……何かよー。変な感じだな」
「何が」
フェイタンと二人で飯を食いながらフィンクスはボヤいた。
「こんなチビになっちまってよ。しかもお前、まるで母ちゃんみたいなツラしてやがるし」
「当然ね。ワタシ今お前の保護者」
「へいへい」

一緒にいるのはまぁいつものことだが、その力関係は普段と違う。
いつもならフィンクスがフェイタンをリードする立場にある。団長の指示外であれば何事もフィンクスが交渉し、意見をまとめ、判断を下す。フェイタンはひとまず自分の意見を出し事の成り行きを見守ったうえでフィンクスに追従する。そんなスタンスである。
それが今では立場が逆転している。フェイタンはフィンクスのお守役。フィンクスはフェイタンの世話になっている状態なのだ。
いま着ている服もフェイタンが見繕ったものだし(手持ちの服の袖を捲れば充分だと言ったが半ば無理やり着せられた)、いま食っている食事もフェイタンが調達したものだ。それもフィンクスに何が食べたいか訊いた上で(別に何でもいいと答えてやった)、わざわざ栄養価の高そうなものをチョイスして。
まさかこいつに世話を焼かれる時が来ようとは…フィンクスは歯痒いような照れ臭いような気がして居心地が悪かった。

「お腹いぱいなたら眠くなたか?」
「うるせーな。ガキじゃねぇんだぞ」
「今のお前ガキよ」
「ケッ」
「ところで、あちどうする?」
「『あっち』?」
「愛の営み」
ぶほっと噎せるフィンクス。口に含んだ炭酸水が鼻腔に入り込み、粘膜がシュワシュワと弾ける感覚にのたうち回った。

「大丈夫か?」
「てめーのせいだろーが。変な言い方しやがって」
「ま、ワタシはしなきゃしないでいいね。子供に手出すほど飢えてないし」
あっさり引き下がるフェイタンだが、フィンクスはどうにも落ち着かない。
「いや待てって。お前それでいいのか?」
「いいも何も仕方ないよ。浮気なんてしないから安心するといいね」
「……そうかよ」
「もう夜遅いよ。子供寝る時間。ささと寝るといいね」
「へーへー」
フィンクスはふて腐れたように返事をすると、ベッドに潜り込んでフェイタンの腕に頭を乗せた。

(クソ。調子狂うぜ)
本当なら逆だ。自分が腕を差し出しているはずである。
「あーあ。まじウゼェ」
「何ブツクサ言てるか。早く寝る」
フェイタンは子供をあやす様にフィンクスの頭を撫でた。
「なぁフェイ」
「ん?」
「戻ったらまたヤらせろよ」
「ワタシは別に今のままでもいいけど」
「は?どういうこと?」
「お前チンコでかすぎよ。今の方が丁度いいかもしれないね」
「そりゃ悪かったな」

冗談のつもりか。せめてものフォローのつもりなのか。欠伸を噛み殺しながら、赤ん坊をあやすようにぽんぽんとフィンクスの肩を軽く叩く。
…あのフェイタンでもこういう振る舞いをすることがあるのか。
そんなことを考えているうちに、いつの間にか眠りに落ちていた。

***

目が覚めてもフィンクスの姿はもとに戻らなかった。
団員たちは相変わらず他人事のように「チビの方が場所取らなくていいやな」「10年くらい待てばもとの大きさに成長するんじゃないか?」「髪、昔みたいに立ててみたら?」だの何だのと好き勝手なことをぶっこいている。
シズクに至っては昨日フィンクスに降りかかった出来事をきれいさっぱり忘れていた。

「クソが。あいつら俺のこと何だと思ってやがんだ」
口を尖らせるフィンクス。
「奴らに優しさ求めるだけ無駄ね」
へらへらと笑いながら言うフェイタン。
「そりゃあそうだがよ…お前だってこんな可愛くもねーガキの世話なんかしたくねぇだろ。早く元に戻ればいいとか思わないのか?」
「別に。今のままでいいね」
「あっそ」
あーあ、訊いて損した。と内心でぼやくフィンクス。

「昨夜言(ゆ)た通りよ。今の方が丁度いいかもしれないね」
フィンクスの心の内を知ってか知らずか、フェイタンはフィンクスを抱き寄せて頬にキスを落とした。
「……っ、おい」
「もとに戻る前に味わてみたいね」
そう言って今度は首筋に舌を這わせる。

「お前、昨夜『ガキに抱かれる趣味はねぇ』みたいなこと言わなかったか?」
「言(ゆ)てない」
この野郎。とぼけやがって。
と言いたい反面、フェイタンのお誘いを受けて、自分の分身が反応し始めているのを感じた。
確かに今のフィンクスは子供の姿だ。しかし性欲がないわけではない。今まで味わった快楽を忘れたわけでもない。そうやって迫られたらその気になってしまう。

「……しょうがねえな」
「自分だてしたいくせに」
フィンクスは勝ち誇ったように笑うフェイタンを抱え上げると、ベッドに放り投げた。
「お前、力持ちね」
「バカにしてんのか」
このくらいの時分は、既に並みの大人より力が強かった。こんなに小柄なフェイタンを抱えるくらい造作もないことだ。
「バカにしてないよ。褒めてる」
「何か素直に喜べねぇなクソ」
フィンクスはそのまま覆い被さると、今度は自分から唇を重ねた。
唇を貪りながらフェイタンの身体をまさぐる。服を捲り素肌に触れる。いつもより小さくなった掌の感触にフェイタンはぴくりと反応した。

「こんなもんか?」
「何が」
「触り方。チビになったせいで勝手がわからん」
「いつも通りしたらいいね」
「ん」
初めてフェイタンを抱いたのはいつのことだったろうか?旅団を結成する前なのは確かなのだが。

「お前けっこう胸感じるよな」
フィンクスはフェイタンの乳首を摘むと、ぐいと引っ張る。
「そんなにつねたら痛いよ」
「悪い」
そう言いつつも愛撫の手は止めない。片方を口に含んで吸い付き、片手をもう片方の乳に添え、同時に両方の突起を責める。空いている手で太腿の内側をそっとなぞる。

「ん……」
内腿から脚の付け根にかけて、ゆっくりゆっくりと手を滑らせると、フェイタンがくすぐったそうに身動ぐ。
「ふふ」
「なに笑ってんだよ」
「初めての時思い出した。今のお前あの頃と同じくらいね」
「そうだっけ?」
ああ。言われてみればそうだ。初めてこいつを抱いた当時の自分と今の自分は同じくらいの年頃だ。きっかけは確か…
「そういやお前、昔からあんま変わってねーな」
「お前も変わてないね」
「そうか?」
「図体ばかりでかくなて中身成長してないよ。体は大人。頭脳は子供ね」
「大きなお世話だわ」
雑談を交わしながら互いに衣服を脱ぎ捨て、最後の一枚を取り去って。
フィンクスは改めて己の分身を眺めた。薄い陰毛に根元を覆われ健気にそそり勃つそれは一応剥けてはいるが、もとのサイズよりずいぶん小さくなってしまっている。

「あっ、バカ」
これでフェイタンを満足させられるのだろうか?というフィンクスの懸念を他所にフェイタンは躊躇なくそれを口に含む。
狼籍える間もなく粘膜に包まれる。温かくぬめった舌で亀頭を舐められ、裏筋を擦られ、時折甘噛みされる。
「くぅ……ッ」
気持ちいい。サイズダウンしたそれはフェイタンの小さな口にも充分収まりきり、ふわふわした頬肉に優しく圧迫されている。顎を外さんばかりに詰め込み、喉の奥できゅっと締め上げるような普段のフェラチオとはまた違った感触に思わず声が出る。
「……すげぇいい」
「ん……」
フィンクスの反応を見て、フェイタンはさらに激しく攻め立てる。根元まで飲み込み、じゅぽじゅぽと音を立てて出し入れする。
「あ……だめだもう出る……っ」
フィンクスの言葉を受けて、フェイタンは更に動きを早めた。射精を促すように、きつく吸われる。びくん、と腰を震わせてフィンクスは達した。フェイタンは精液を自分の掌に吐き出すと、それを見せつけながら「いぱい出たね」と微笑んだ。そしておもむろに自分の肛門に手を伸ばし、フィンクスの精液を潤滑液にして中指を差し入れし始める。

「まだできるか?」
そう言って自ら指を動かしながらフィンクスの顔を跨ぐ。
見慣れた、しかし強烈な視覚的刺激を受けてフィンクスはまた下半身に血が集まるのを感じた。
「ハハ、訊くまでもなかたね」
独り言ちて再び幼い陰茎を口に含むフェイタン。フィンクスは眼前にあるフェイタンの穴を攻めることにした。腰を掴んで引き寄せ、尻に顔を埋めて、穴の周りを丹念に舐める。唾液を送り込むようにして解し、少しずつ侵入していく。指を入れて内側からも刺激を与える。
「ん、ふぅ……」
フェイタンは甘い吐息を漏らし身悶えた。
「痛いか?」
「平気ね」
「もっと慣らすか」
一旦指を引き抜くと、名残惜しそうにひくついた。そのいやらしい光景にフィンクスはごくりと唾を飲む。再び指を挿入する。今度は二本に増やして奥へ押し進める。
「ああ……ん」
先程よりは幾分スムーズに入った。指を開くと内部が見える。綺麗な色をした内壁は誘うようにヒクついている。
「フェイ、もう挿れたい」
「いいよ」
仰向けに転がり脚を開くフェイタン。フィンクスは股の間に入って、自身の先端をあてがうとゆっくりと沈めた。

「あ、」
いつもより小さいせいか一気に入ってしまう。その衝撃でフェイタンの背筋がびく、としなる。
「大丈夫か?」
「うん」
尋ねると、こくりと頷く。馴染ませるために少し待ってから抽挿を開始した。最初は浅く緩やかだった律動は徐々に深く激しいものへと変わっていく。
「あ、あぁ」
フェイタンの口から声が上がる。いつもの苦しげな感じではなく、穏やかで余裕のある喘ぎ。
(やっぱり小さいから足んねーのかな)
腿の裏を押さえて大きく開かせ、そのまま体重をかけて突き上げる。結合部からぐちゅりという音が聞こえた。
ふいに体の自由が利かなくなった。フェイタンに抱き留められたのだ。
「フェイ。動けねぇんだけど」
「別にいいね」
そう言うとフェイタンは唇を合わせてきた。舌を絡め合う濃厚なものから啄むような軽いキスまで、様々な口付けを交わす。

「お前さ、やっぱこんな粗チンじゃ満足できねぇんだろ」
先ほど思った疑問をぶつけてみる。フェイタンは首を横に振った。
「違うよ。今日はこうしてたいだけね」
「何で?」
「フィンクスが可愛いから」
予想外の答えに戸惑う。
「あんま人をおちょくるなよ」
「おちょくてないよ。それに」
「『それに』?」
「身長近いからキスしやすいね」
「……あっそ」
からかうような口振りだが、フェイタンは本気のようだった。フィンクスの頬に、首筋に、ちゅっと音を立ててキスを落とす。
照れ隠しにぶっきらぼうに応えたが、正直に言えば嬉しかった。フェイタンは今の自分との行為を好んでくれているのだ。

「お前ほんと俺のこと好きな」
「好きでなかたらしないよ」
フェイタンは事も無げに答えて、フィンクスを抱き締める腕の力を強めた。
互いの胸が密着する。肌を通して心臓の音を感じる。鼓動は早く、力強い。
フィンクスは抱き締められたまま抽挿を速めていく。フェイタンの性器も張り詰めて震えていた。限界はすぐそこまで来ていたが、このまま終わらせるのは惜しい。

「出したい時に出せばいいよ。終わても気が済むまで抱こしてやるね」
フィンクスの心情を見透かすように囁くフェイタン。フィンクスは再び腰を浮かせて動きを激しくする。フェイタンはフィンクスの背中に爪を立て、しがみつく。絶頂を迎える直前、フィンクスはフェイタンの首筋に歯を立てた。

***

「よォ、フィンクス。もとに戻ったのかよ」
「まぁな」
「なんだ。つまんねーの」
「つまってたまるか。ぶっ殺すぞ」

単に時間制限つきだったのか。解除の条件をクリアしたのか。
数時間後に団員たちが見たのは、元のサイズに戻ったフィンクスの姿だった。
フェイタンはいつも通りフィンクスの隣に佇んでいる。その表情はいつもより上機嫌そうでもあり、心なしか寂しそうでもあった。

「なんかフェイタンつまんなそう。けっこうフィンクスのお世話係乗り気だったもんね」
本に目を向けながら呟くシズク。
フェイタンの心情を察知したマチとコルトピは顔を見合せ、やれやれと言わんばかりに溜息を吐いて肩をすくめた。

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