フィンフェイがポリネシアンセックスする話2

ねぐらに辿り着くなり、フェイタンはベッドにうつ伏せに倒れ込んで、深い溜め息を吐いた。
フィンクスとフェイタンの寝床はアジトとして利用している廃ビルではない。その近くにあるアパートの一室である。
フェイタンはアジトの一室で充分だったのだが、フィンクスが「いつでもシャワーを浴びられる環境がいい」と言い出したのだ。
彼が言い出したら聞かない性分なのはよく知っている。
シャワーのことは方便であって、本当の理由は違うということも。
いくらアジトが広いと言えど、他の連中がいる場所では気兼ねなくイチャイチャできない。奴は意外と気にしいなところがあるのだ。
かわいい奴だと思う反面、その恩恵に与かっているのも事実である。
まさかここまでヨークシンに長居するなんて思わなかったし。除念師を探し回ってくたびれた後に、いつでも温かい寝床と風呂にありつけるのは有難いというより他にない。
時計が示す時刻は午後11時35分。フィンクスはまだ帰ってない。
おおかた何か欲しいものでも調達しに行ったのか、何か思いついてグリードアイランドの中をほっつき歩いているのだろう。

(エッチしたい……)

それはそれとして、フェイタンの欲求不満は限界を迎えている。
フェイタンはフィンクスとのセックスが好きだ。
毎回必ずドロドロに溶かされて、頭がおかしくなるくらい絶頂へと追いやられる。
小柄なフェイタンには少しきつい立派なモノで直腸をいっぱいにされ、結腸を突かれて、時には死ぬかと思うほど気をやって、腹の奥深くまで精を注がれながら絶頂を迎える。
その快楽を想起しながら自分の胸に手を這わせてみる。
昼間、フィンクスの指が触れた場所。
平らな胸を揉み下して乳首に触れてみる。

「ン……」
微かな刺激に甘い吐息を漏らす。
軽く指先をこすり合わせるようにして撫でて、爪先で引っ掻くように刺激する。
「ふ……」
つねったり引っ張ったり転がしたり。フィンクスのやり方を真似して自分で慰めてみるが、思うほどの快楽は得られない。
じくじく熱を持つ下半身に手を伸ばす。前をくつろげて手を突っ込む。上下にしごくとたちまち硬度を増していく。
目を閉じて愛しい男を思い浮かべて愛撫を続ける。
いつも彼がしてくれるみたいに。

『フェイ、脚開けよ』
耳元で囁かれるのを妄想しながら両脚を大きく開く。股の間に彼が割り込んできて、優しく内腿を撫でてくれる。
やがて彼の節くれ立った指が後ろの穴に触れる。つぷりと侵入してくる感覚。中を探りながら少しずつ奥まで入ってくる。
想像するとたまらなくなって、枕元からワセリンを取り出し、中身を指に絡ませる。それを肛門に塗り込めながら自慰を再開する。

「っ……ふぅ……」
『痛いか?』
フィンクスの問いかけに頭を振って否定する。
本当は少し痛いけれど、早く彼を受け入れたいという気持ちの方が強い。何度も何度も中をかき回し、徐々に拡張していく。
1本、2本、3本……次々と増やされる指を受け入れながら、自ら膝裏に手を入れて持ち上げてみせる。

『こうか?ここ好きだもんなお前』
フィンクスが意地悪く笑いながら、指先で前立腺を刺激する。その刺激に背をしならせて悦ぶ自分。
「ン……!ふ、ぁ……」
自然と腰が揺れてしまう。もっと強い快感が欲しい。もっと太くて熱いモノで奥まで満たして欲しい。
フィンクスの指と自分の指では太さも長さも全然違う。フィンクスのゴツゴツした無骨な手。それを思い出すだけで全身がゾクゾクと震える。
――でも。これでは全然足りない。指では到底届かない場所まで満たして欲しい。

『フェイ、入れて欲しいか?』
「欲しい……」
『なら、おねだりしてみろよ』
「……フィンクスのちんちん、ココに欲しいね」
言われたとおりにしてみせる。脚の間を丸見えにして、はしたない格好で挿入をねだる。
フィンクスは満足そうに笑って、フェイタンの両脚を肩に担ぐように持ち上げる。
そしてヒクつく穴へ性器をあてがうと、ゆっくりと腰を進める。

「あ……あ……」
『ほら、入るぜ』
「うん」
挿入される感覚にゾクゾクしながら期待に胸を高鳴らせる。
そして次の瞬間には圧倒的な質量で奥まで貫かれて、目の前がチカチカするほどの快感に飲み込まれるのだ。
『フェイ』
低く艶っぽい声を思い出しながら、自分の指で中を刺激する。
「ぁ……は、ぅ」
フィンクスのモノを受け入れている時の感覚を思い出しながら、自分の指で中を慰める。前立腺を擦るたびにビクビクと体が震え、嬌声にも似た吐息が漏れる。やがて限界が見えてきたのか、フェイタンの動きが激しくなる。
『フェイ』
頭の中でフィンクスが自分を呼ぶ。
『フェイ、可愛いぜ』
「ぅあ……ぁ……!」
同時に前を扱く手の動きが激しくなり、限界が近いことを知らせる。絶頂まであと一歩というところで動きを止める。
「は、はぁ……」
絶頂の波が遠ざかり、切なげな吐息を漏らす。
(フィンクス……)
早く帰ってきてほしい。抱き締めてほしい。めちゃくちゃにしてほしい。そう願いながら再び自身を慰め始める。

「フィンクス、フィンクス……」
「呼んだか?」
「」

……
…………
……………………

不意に声をかけられて、ビクッとして手を止める。
その男は寝室の入り口に立っていた。いつの間に帰ってきたのだろう。全く気づかなかった。
「……ただいま」
ばつが悪そうに、若干申し訳なさそうに帰りの挨拶をするフィンクス。
「あ……う、うん」
決まり悪く頷くフェイタン。
どう言い訳したものかと考えるが頭が回らない。その間にフィンクスが近づいてくる。別に何を言うでもなく、フェイタンの膝に引っかかった下着を一瞥して、それを特にどうするでもなく、ベッドに腰掛ける。

「……悪かった。まさか気が狂うほど我慢してるとは思わなかった」
「いや。別に気は狂てない」
「いやいや、さっきのはヤバかったぞ」
「……」
「逆の立場で想像してみろ。オレがお前の名前呼びながらマスかいてたらどうだよ?ビビるだろ」
「ハハハハハハ……」
もはや笑うしかない。
乾いた笑いを上げるフェイタンの頬をフィンクスの大きな手がまさぐる。
妄想の産物ではない。実体を持つそれは胸から鳩尾へと流れてゆき、やがて昼間していたように腹をさする。
温かくて気持ちいい。けど焦れったい。もっと直接的で、痛みさえ感じるほどの刺激が欲しい。

「フィンクス、もうワタシ限界。早く抱いて」
開き直っておねだりしてみせるフェイタン。
覗き込むフィンクスの瞳は情欲の色を孕んでいる。何やら大真面目な顔でを見下ろし、そして時計を一瞥してから
「まだ。あと10分」
と、宣告した。
「〜〜〜……もう!いい加減にするね」
「バカてめぇ、もうちょいで日付が変わんだろうが。ほんの少し我慢すりゃミッションクリアだろ」
「……ハァ」
飽くまでもフィンクスは我慢大会を貫き通すつもりらしい。
耐え抜いたから何なのだと思うが、一度言い出したら聞かない彼の性格をよく理解しているフェイタンは溜め息をついて、がっくりと脱力した。
フィンクスに抱き締められる。目を閉じて彼の体温を感じる。彼の匂いに包まれる。トクトクという鼓動の音を聞く。
「……フィンクス温かいね」
「お前は冷てぇよ。服着ろ」
「必要ないね。どうせこの後セ(ッ)クスしてシャワー浴びるんだし」
「あそ」

素っ気ない返事とは裏腹に、フィンクスはその手でフェイタンの身体を温めるようさすってくれる。優しい手つきにうっとりしながら唇に噛みつく。
チュ、と音を立てて何度かキスをした後、互いに舌を絡ませ唾液を交換しながら、右手をフィンクスの股の間に這わせる。
「おい、そこはまだダメだ。ちゃんと時間が来るまで待て」
……と怒られるかと思いきや彼は何も言わなかった。
彼の方も限界らしい。切なげに焦れた顔をして、形のよい鼻を鞴のごとく鳴らして熱い息を吹き出している。
――タイムアップまで、あと少し。

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