僕は狐。
変幻自在のお狐様だ。
僕のご主人は可愛い可愛い女の子。
前のご主人とは違う、小さく儚く優しい女の子。
以前のご主人から頂いた名前は、ご主人が亡くなる日にご主人に剥奪されてしまった。
今の名前は、今のご主人が僕の為だけに考え、付けてくれたもの。
僕は、新しい名前を、今のご主人のあんまい声で呼ばれるのが大好きだ。
9本の尻尾をぱたぱた動かして、ご主人の肩にぴょいと乗った。
それからご主人の首筋を尻尾で撫ぜると、くすぐったい、とご主人の明るい声が響く。
あんまりしつこくやるとご主人に怒られるから、あんまりやらない。
その変わり、すりすりとご主人の頬に僕の頬をすり寄せた。
するとご主人はぽむぽむと僕の頭を撫でて、楽しそうに笑ってくれる。
好き好き、だぁい好き。
前のご主人も大好きだった。
だけど、今のご主人の方がよっぽど好き、大好き。
ご主人、ご主人、とご主人にすり寄っていれば、ご主人は僕を肩から降ろした。
それからきゅうっとその腕に僕を抱(いだ)いてくれる。
腕の中はあたたかくて好き。
前のご主人は、ふりふりひらひらきらきらの中に、その筋肉質の身体を隠していたけれど、今のご主人は違う。
どんな服を着たとしても、その女の子のやわらかーい身体を隠すことはない。
柔らかくて暖かくて、大好きなそれ。
ご主人は僕のご主人だから、僕が守ってあげるからね!
大好き、大好きだよ、僕のご主人。

「わわわ、もう、暴れないの!」
「コン!」

僕は変幻自在のお狐様。
ご主人が大好きな、小さな小さな戦士なの!




今日はの安らぎを



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