大空

※ 幼少期のお話
※ かいわがひらがなでよみにくいです




ぽやぽやの暖かい気候の中、沢田家の縁側では小さな固まりが2つ並んでいた。
1人は沢田家長男、沢田綱吉。もう1つは、沢田家の隣の家の次女である。
ころころと縁側で転がる2人には、1枚のタオルケットが掛けられていた。

「ぽかぽかーだね」
「ぽやぽやーだね」

あったかいね。
あったかいねぇ。
うつ伏せになりながらぱたぱたと足をばたつかせ、綱吉の右手と少女の左手はしっかりと握られている。

「みぎいこ」
「ん」

綱吉の言葉に頷いた少女は、ぱっと彼から手を離す。
そうして、右側にころごろと転がりだした。隣にいた綱吉もまた、彼女に続くように転がっていく。
梁に当たる前にぴたりと止まった少女の身体に、止まることを忘れた綱吉が突進した。
されど痛い、と唸ることなく少女はけたけたと楽しそうに笑う。

「つなよしー、つぎひだり」
「んっ!」

いくよ、という掛け声の後、2人そろってころころと再び転がっていく。
掛かっていたタオルケットがどこかへ飛んでしまったが、2人は気にすることなく転がっていた。

「あらあら、」
「あー、ななちゃん」
「かあさん、どうしたのー」
「おやつが出来たから呼びに来たけど、楽しそうに遊んでいたわね」

くすくす、と一家の主に代わって沢田家を守る母奈々は、幼い2人の頭を撫でた。

「おやつたべる!」
「ななちゃん、きょうのおやつ、なあに、なあに?」
「シフォンケーキよ。紅茶も淹れましょうね」
「けーきだって!」
「けーきだって、つなよし!」

うれしいね。
うれしいねぇ。
身体を起こしてから、また再びお互いの手を繋ぐ。
そうであることが正しいかのように、そうでなくてはならないかのように。
2人の手がいつまでも繋がっていたら良いと、奈々は静かに笑みを零した。




今日も大空の隣に



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