※ 未来から帰ってきた後ぐらいの仲の良さ




お昼を買いに、1人で購買に来て買うパンを悩んでいたら、入り口の方が騒がしくなった。
なんだろう、と後ろを振り向けば、まるで十戒のように人の波が避け、道が作られる。
え、なぁに、これ。
道が出来た遙か向こう、たった1つの人影が見えた。
───あ、

「やっと見付けたよ」
「雲雀先輩。珍しいですね、先輩がこちらに来るだなんて」
「そうだね、こんなに群れてる場所に来るとは思わなかったよ」
「………?」
「良い茶葉が手に入ったんだ。どうだい?」
「わ、頂いても?」

だから誘ってるんだよ、と細い目をさらに細くして笑った雲雀先輩に、思わず笑みを返した。

「あ、お昼買ってからで良いですか?」
「───草壁」
「はっ」
「?」
「ほら、行くよ」
「?? ………あぁ! 草壁先輩、後でお金払いますので!」

お昼は草壁先輩が私の代わりに買ってくれるみたいだ。
そうして雲雀先輩に手を掴まれ、人で作られた道を歩いていく。
あああ、目立ってる。目立ってる!
あ、でも美味しい紅茶が飲めるのは良いよなぁ。えへへ。

「どうしたの、緩んだ顔をして」
「嬉しいから、ですよ」
「嬉しい?」

なにが? と聞き返さんばかりの声に、私は小さく笑みを浮かべた。

「雲雀先輩とお茶が一緒に出来ること、美味しい紅茶が飲めること。ほら、私にとって嬉しいことばかりですから」
「ふぅん。───じゃあもう1つ嬉しいこと増やしてあげようか」
「???」
「ロールとあの子、君に貸してあげるよ」

ロール、は雲雀先輩の匣兵器。あの子とはきっとヒバードのこと。

「もう、雲雀先輩。私を喜ばせてどうするんですか?」
「───そうだね」

くるり、足を止めて雲雀先輩が振り返る。
獰猛な光を称えた瞳を細め、うっすらと口を開いた。

「どうしてほしいんだい、君は」

聞かれ、答えられるはずもなく、顔を真っ赤に染めて「どうされても困ります」と言えば、雲雀先輩はだろうね、と甘く甘く笑った。




今日はとお茶会を



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