寂し星

※ 小さい頃の綱吉と雪姫
※ 平仮名ばかりで読みにくいです




「いえみつのおじ様ー」
「おぉ、静玖ちゃん、いらっしゃい」
「つなよしは?」
「ツッ君なー、お熱なんだよ。だから静玖ちゃん、今日はおじ様と遊ぼうな」
「………つなよしは?」
「ん。だからな、静玖ちゃん、」
「いえみつのおじ様が居るなら、つなよし、ひとりぼっちだよ?」

すっと膝を付いて静玖ちゃんを見れば、静玖ちゃんは実に真剣な顔をしている。
それこそ、年不相応な。
………え、おじ様居ちゃダメなの?

「いえみつのおじ様が居るとねー、いえみつのおじ様と一緒に居たいからね、つなよしがひとりぼっちになっちゃうの」
「………?」
「だって、いえみつのおじ様、いっつも居ないもん。だからななちゃん、いえみつのおじ様が家に居るときぐらい、一緒に居たいんだよ」
「っ、」
「だからね、つなよしがひとりぼっちになっちゃうの。だから、わたしが行くの」

どいて、と真剣な声を響かせた静玖ちゃんに、頭を抱えた。
───あぁもう、この子は本当に。

「静玖ちゃん」
「なぁに?」
「ツッ君のこと、任せて大丈夫か?」
「うん」

小さな頭が上下に動く。
立って静玖ちゃんの前から退けば、静玖ちゃんは軽快にとととっと家へ走っていった。

「さすが、九代目が選んだ『雪』だな」

その背は小さくても、逞しい。




☆ ☆ ☆ ☆




「つなよしー」

なまえを呼びながらつなよしの部屋に入る。
つなよしはかおを赤くして、ベッドで眠っていた。
走ってそばまでよって額に手をあてると、つなよしがからだを動かす。

「つなよし」
「しずく………?」
「うん」

つなよしの目は赤くなってすこしうるんでいた。
ゆっくりとその頭をなでてあげると、つなよしは目を細めてきもちよさそうに笑う。

「つなよし、熱い?」
「うん」
「さびしい?」
「………うん」
「じゃあ一緒にいるね」

えいっ、とかけ布団を引っ剥がして、つなよしを壁側に追いやり、出来たスペースにころりと転がった。
つっと手を伸ばしてきたつなよしに1つ笑って、熱で熱くなったからだを抱きしめた。

「つなよしが『大丈夫』になるまで一緒にいるから」
「しずく、」
「さびしさびし、しなくていーよ」

きゅうきゅうと抱きしめあえば、つなよしは良くなるかなぁ。
ふわふわ暖かくなる布団の中、重たくなるまぶたをむりやり持ち上げて、ゆっくりと口を動かす。

「つなよしがさびしさびしだとね、わたしもさびしいんだよ」
「大丈夫」
「んう?」
「さびしさびしになったら、2人で居れば良いんだから。そしたら、さびしくないよ」
「ないねー」
「うん」

最後に笑いあって、ゆっくりと夢の中へ。
2人なら、さびしくない。




☆ ☆ ☆ ☆




「あらあら」
「静玖ちゃんに感染しちゃわねぇか?」
「そうしたらまた、ああやって2人で眠るんだもの。静玖ちゃんが熱を出したらウチで預かればいいわ」
「それもそうか」
「えぇ。………今は、そぉっとしておきましょう、家光さん」
「あぁ、そうだな」

子供部屋のドアは、ゆっくりゆっくり、静かに閉められた───。












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『幼い頃の仲良しぶり』
ちみっ子綱吉と主人公は書いてて楽しかったです。
さびしさびしは寂しいを連呼できない舌っ足らずさを意識して読んで頂けると幸いです。
この頃から同衾(笑)は親公認らしいです。
アンケ投票、ありがとうございました!



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