優しい家族
さくらちゃんと入れ違いで帰ってきた桃矢。今桃矢の部屋にお邪魔している。

新しいお茶を出してくれた桃矢の表情は曇っていた。

『心配?』
「まぁな」


桃矢は優しいね。桃矢の腕を引っ張って並ぶように移動した。


『力を秘めし鍵よ
真の姿を我に示せ 契約者名前が命じる
封印解除』


「…なにするつもりだ?」
『シスコンな桃矢のために中継』


シスコンじゃねぇと怒られた。


『我に彼のものを見せよ【鏡】【視】』


私たちの前に大きな鏡が出た


「【鏡】ってさくらのとは違うのか?」



『ちょっとね』と桃矢に微笑んだ


【視】も一緒に使った場合は違う機能がある。
もちろんさくらちゃんと同じ使い方もできるけど…


鏡に映ったのはさくらちゃんが水柱にのまれたところだった。

「さくら!」

ケロベロスも月も知世ちゃんも水柱に呑まれていく。


『(やばい、まだわからないの?このままじゃさくらちゃんが…みんなが…)』

『くっ…我の想いを届けよ【伝】』


あまり口出したくなかったけど…さくらちゃん達に危険が及ぶなら仕方ない!







【さくらside】



苦しい…どうすれば…
どうすれば…杖に…

『あなたの新しい力は何?鍵についているのは何?』


名前さん?

『大丈夫。さくらちゃんならきっとできる』


私の新しい力…
鍵についてるのは…?


星!


「星の力を秘めし鍵よ 真の姿を我の前に示せ 契約のもと、さくらが命じる
封印解除!」





【さくらside end】




新しい魔法陣が現れた。さくらちゃんを呑み込んでいた水柱はバンッと弾け飛んだ。

『(良かった…わかったんだね。)』

安堵のせいで集中力を切らしてしまった。


『うっ…』


視界がグラッと揺れ桃矢に倒れる形になった。


「名前!?」
『呪文3つ…時間つかい…すぎた…』
「おい!」


プツンと意識が切れた。




【桃矢side】



意識を失った名前をベッドに寝かせた。
こいつ…魔力を最低限しか解放してなかったんだな。

なのに俺を安心させようとして…

…バカだな…だけど


眠っている顔色の悪い、名前の頭を優しくなで呟いた。


「ありがとうな」



【桃矢side end】




『ん…』


目覚ますと、自分の部屋ではない天井がみえる。


「気がついたか?」
『…とーや?』
「お前1時間まえに倒れたんだ覚えてるか?」


そっか無理したから…


『ごめんね…』
「本当にな…お前も消えるんじゃないかと思ったよ」


私も?


「気づいてるだろ?ゆきが弱まってんの。このままじゃあいつは消える」



やっぱり、桃矢は自分の力を…
本当に大切な友達なんだね。

桃矢の悲しそうな顔をみていたらこっちまで悲しくなってくる。
私は手を伸ばした。


「!!」
『大丈夫。ね?』


撫でられたことにおどろいた桃矢がずっとそらしていた視線を私にむけた。
私はにこにこしながら撫で続けた。


願わくば、彼の辛さが和らぎますように、と

その日は木之本家に泊めてもらうことになった。



翌日


『すいません…ご迷惑をかけて』
「迷惑なんて思っていませんよ。食卓が賑やかになるのは嬉しいばかりですよ。」

藤隆さんはにこにこ笑って言ってくれた。
藤隆さんをみてると安心してしまう。


「それにしても、さくらさんは大丈夫かな?」


心配そうにさくらちゃんの部屋の方をみた。
きっと星の力を使ったからだ。まだなれていない魔力は負担がかかってしまう。


「気持ちよさそうにぐーすか寝てたし大丈夫だと思うよ」


桃矢はいつも通りイヤミをいった。でもそれは、彼なりの気遣いなんだろうな。


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bkm
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