早く気づいてね
鳥の声と暖かな日差しに目が覚める。
長い、懐かしい夢を見てた気がする。


少しぼーっとして、支度しないと、と動きはじめた。


ご飯を食べ、カバンをもつとお向かえから雪兎がでてきた。大きな欠伸をして。


『おはよう…眠たそうだね?』


私に気づいて雪兎はいつもの笑顔で「あ、おはよう!」といった。


「最近すごく眠いんだ。それに食べても食べても満足できないし…」


雪兎、いや月の魔力が弱まってる。


『…早く気づいてね』
「え?」
『ううん、いこ?』


雪兎はまた笑顔で頷いた。
いつもの場所で待ってると桃矢とさくらちゃんがきた。


「おはよう、とーや、さくらちゃん」
『おはよう』


桃矢はいつも通り「はよ」としか言わなくて、さくらちゃんは顔を赤らめながらあいさつを返してくれた。


『毎朝ごめんね…』
「別に、行くぞ」


荷台にのりそんな会話をした。


「あの、名前さん今日放課後予定ありますか?」


さくらちゃんは少し言いづそうに聞いてきた


『ないよ?どうかした?』
「相談したいことがあって」


私がいいよっと言うとさくらちゃんはパァッと明るくなった。


「じゃあ私のお家にきませんか!?私頑張ってお菓子つくります!!」
『うん、嬉しい!』
「怪獣の作ったもんにはなにはいってるかわかんねぇぞ?」


桃矢はニヤリと笑っていった


「さくら怪獣じゃないもん!!!」


桃矢は小学生か?



さくらちゃんと別れたあと雪兎が桃矢に「シスコンもほどほどにね?」と言ったのを聞いて吹いてしまった。


放課後さくらちゃんの家にお邪魔した。夕飯を一緒にとることになったので雪兎も一緒だ。

『なんかすごく優しいお家だね』


優しい空気と暖かさとほんのり懐かしさが感じる、そんなお家だった。

さくらちゃんと桃矢、雪兎と4人で食卓を囲み久々に楽しい夕食を頂いたあと桃矢はバイトだと出かけ、雪兎は後片付けしていくと残った。

玄関で桃矢を見送ったのを確認したケロベロスはタイミングよく飛んできた。


「元の姿に戻れや。月。」

ケロベロスの言葉に雪兎から月に変わるとムスッとした月が「別人格とは面倒だな」と呟いていた。


『あ、ケロちゃん』
「ぬあ!…まぁえぇわ。ねぇちゃんに相談があったんや」

ケロベロスが深刻な顔をし私に話しかけた。


『名前でいいよ。杖のこと?』
「せや」
『答えれることなら。…その前にその姿は初めましてだよね。』
「あぁ。雪兎を通して見ていたが、お前は相当魔力があるようだな。」
『でも、私は貴方達の主に害をなすつもりはないから安心して。』
「それは今決めれることではない。」
『そうね。じゃあ、挨拶も済んだしケロベロスの話しを聞こうか。』

お茶を入れているさくらちゃんの所にいけば、突然の月の登場に驚き、叫んでいた。

さくらちゃんの部屋に移動し、先程のケロベロスの相談に話しを戻した。

『さくらちゃん、杖だせる?』
「それが、鍵のままで杖にならないんです」


さくらちゃんはかなそうに鍵をみた。


『さくらちゃん、相談してくれたのは嬉しい、でもこの問題は自分で解かないとダメだよ。』
「そう…ですよね」
『でもヒント。あなたは“新しい”主になったの。それだけ覚えていて。』
「ややこしいわ!答えわかるんなら教えてくれてもええやろ!」
『だめよ。これはさくらちゃんの問題だもの。…あ、さくらちゃんお茶のおかわり貰ってもいいかな?』


さくらちゃんは「はい」とポットを持ち上げ中身が入ってないから入れてくると部屋から退出した。

「わざと部屋からだしたな。」
『ええ。ケロベロスが他にも聞きたそうだったから。』
「あるで。まだわいの考えが正しいかわからんから、さくらを出してくれたのは助かったわ。…この雨どう思う?」
『誰かが意図的に降らしている』
「問題は、誰か」


ケロベロスは本来の姿に戻った。


「昨日感じた気配。わいらがよう知ってる、アイツの気配やった。」
「アイツ…」
「名前は知っとるんやないか?」
『なんとも言えないね。私もこの町に来たばかりだし、その気配を彼だと断言は出来ない。』
「そうか」

やや納得いかないと顔を歪ませたケロベロス。その時「おかわりもってきましたよー」と入ってきたさくらちゃんが、元の姿に戻ったケロベロスに驚いて叫んだ。


「とりあえずや!もういっぺん行ってみるしかないな。」
「うん…ケロちゃんいこう!!」

『私お留守番してるね?もしなんかあったら上手くごまかしておくから(多分無理だけど)気をつけて』
「ありがとうございます!名前さん!」


きっとさくらちゃんなら大丈夫だよ。
みんなを送り出し、少したったときだ。


ガチャ…「ただいまーさくら?」


『お帰り、桃矢。バイト行ったはずじゃないの?』
「この雨で無くなった。連絡貰って帰ってきた。さくらは…行ったのか」


私は無言で頷いた。


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bkm
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