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放課後、日直の仕事があるので千隼くんに断りを入れ先に帰らせて貰った。
和泉家の前に着いたが、流石に広いな。
チャイムをならすとすぐに千鶴さんが出迎えてくれた。
「いらっしゃい、ウサギちゃん。待ってたのよ💗」
『こんにちわ。何かご用でしたか?』
「ふふふ💗手伝って欲しいの💗」
『え?手伝い?』
怪しい笑みを浮かべた千鶴さんに家に引き込まれた。
───千隼side────
日直の仕事で真希とは一緒に帰れなく、ひとりで帰宅した。
真希に何回か連絡しているが一向に返事がない。何か変なことに巻き込まれていないといいけど…
「ただい…」べしっ!「まっ!?」
いきなり何かが顔に飛んできた。
『ちょ!千鶴さん!?っわぁ!ち千隼くん!お…おかえりなさい…』
何かが飛んできた方をみればバニー姿の真希がいた。
「真希!?なにして…」
『私の意志じゃないの!その…助けて〜!!』
「あら千隼いいところに!次コレ(乳牛ちゃん)着せるから手伝って💗」
『え!コレで最後って言ったじゃないですか〜!!』
変なことに巻き込まれていた…我が家で。
「おい、コイツで遊ぶなって」
来ていたブレザーを真希に渡し千鶴から回収した。
「全くなにオモチャにされてんだよ。」
『ごめんなさい。衣装のモデルになって欲しいって言われて、着替えてたら最終的にコレになって…助かりました。』
しゅんっとした真希になんだか怒る気も失せ改めて真希の今の格好を見てヤバいと思った。
肩だしのボディスーツタイプのを着ているため、露出が多い。あまり好きじゃなかったが好きな女が着ていると悪くないと思ってしまうから不思議だ。
『千隼くん?』
無言で見ていたからか真希が不思議そうに俺を呼んだ。
ばつが悪くなった俺は顔を手で隠した。
「悪い。その姿はちょっとヤバいから早く着替えろ。」
『そうしたいんだけど…制服がなくて…』
「探してくる」
部屋に真希を待たせ千鶴から制服を回収した。着替えた真希は『迷惑かけてごめんね』と言っていたが、むしろ迷惑かけたのはアイツ(千鶴)だから逆に申し訳なくなった。
「ウサギちゃん、お詫びにすき焼き食べて行って。いいお肉もらったの〜」
『でも…』
「食ってけよ。あのテンション俺ひとりだとキツイ。」
そう伝えれば真希は『じゃあお言葉に甘えて』と笑った。
「千隼、千隼!」
「?なんだよ。」
「あなた、ウサギちゃんのバニー姿の写真欲しいでしょ?送ってあげるから待ち受けにでもしときなさいよ💗」
「二度とアイツで遊ぶな。」
「あら随分とつめたいのねー」
こっそり呼ぶからなんだと思えば、本当にこの姉は…。だけど送られてきた写真は保存しておいた。
『はぁー!満腹!美味しかった!!』
ご飯を終えたあと真希を連れて自室に移動した。
『それにしても、やっぱり千隼くんの部屋も広いね!それにイメージ通りの部屋!』
「なにもなさそうって?」
『すっきり片付いてるって意味で』
物珍しそうに部屋を眺める真希に思い出してあるものを渡すために手を引いた。
「真希、コレ」
『なに?』
真希の手に置いたのはスクールリング。
『千隼くん、コレ!』
「渡そう渡そうっておもってたけどタイミング掴めなくて今さらになってごめんな。」
『貰って、いいの?私…』
「だからわたしたんだけど?」
『嬉しい!ありがとう!』
真希はそう言うと自分の指につけて手をかざしてみせた。その表情は嬉しそうで、本来こういうイベントには興味はないが真希の表情を見ていると、こう言うのも悪くないな、なんて思えて笑いそうになる。
『あ、私の家にあるから明日渡すね!』
「あぁ。そろそろ帰らないと、だろ?駅まで送る。」
喜んでいる真希を駅まで送り届け、見送ったあと家に戻った。
どこかで覗いていたハイテンションな姉達にしばらくからかわられることになったのはいうまでもない。