キルに友達というものができた
ゴンとはまた別、しかも女。友達なんか作る必要はないとあれ程言ったのに、キルは俺の言う事を聞かない。殺し屋としての本業を忘れているんじゃないか?
兄としては、友達というものは邪魔な存在になる、ここは素早く片付けるのが手っ取り早い、早速その女を殺しに行くことに決めた
キルの兄として挨拶に行くと嘘をつき、その女と待ち合わせをする。女は無防備にそこに突っ立っていた
(こいつがキルの友達、、、)
「あの、イルミさんですか?」
「あぁ、君がキルの友達かい?」
「はいっ、いつもキルア君と仲良くさせてもらってます!」
「ふぅん、、、」
キルより少し年上、か。茶色く長く伸ばした髪の毛が風になびいて、光を放っていた。その髪に一瞬目を奪われながらも俺は言った
「悪いけど、、、キルに友達は必要ない」
「えっと、それはどういう意味で、、、?」
「キルの本業は知っているか?」
「ハンターですよね?」
キルの奴、殺し屋だということを言っていなかったのか。まぁ2度目のハンター試験を受けて合格し見事ハンターとなったわけだが、キルは根からの殺し屋だ、それを忘れてはいけない
「キルと君の住む世界は違う、君には消えてもらおう」
「えっちょ、待っ、、、」
女は俺の殺気を感じたのか、後退りをするとダッシュで逃げ出した。逃がすものか、と念を込めた針を取り出し女に向かって投げようとする
「イルミ!」
「キル?」
そこに現れたのはキルだった。女を庇うかのように前に立ちはたがり、俺のことをギロリと睨み付けている
あぁ、その目だよ、それでこそキルだ
「やぁ、キル」
「イルミ、、、何してんだ」
「お前に友達はいらないと思ってね、排除しようとしてたんだ」
「コイツは俺の大事な友達だ!勝手なことすんじゃねーよ!」
「はぁ、、、あのねキル、お前の本業が殺し屋だってこと忘れてないか?」
「俺はハンターだ、殺し屋なんかじゃない」
そう言ってキルは怯えてしゃがみ込む女に優しく声をかけた
「大丈夫か?」
「う、うん、、、」
「俺が守ってやるから、な?安心しろ」
友達は、いらない、邪魔なだけだ
「キル、その女から離れろ」
「やだね、それだけは無理だっつーの」
「兄の言うことが聞けないのかい?」
「こいつは俺が死んでも守り切る、いくら兄貴が敵に回ろーが手加減しないよ」
はぁ、とまた溜め息をつく。これじゃあテコでも動かない。どうしたものかと思っていると、、、
「キルアー!どうしたの?」
「あっゴン!実は兄貴がさ-----」
今度はゴンがやってきた。これは厄介だな、、、
「----ってわけでコイツのこと守らなきゃなんねーの」
「うん、そうだね、大丈夫、君のことは俺達が守るから安心して!」
「ありがとう、、、」
3人の会話を聞きながら、俺は眩しい光に包まれたような錯覚に陥った。これが友情、というものか?兄である俺が殺すと言っているのに、キルとゴンは死んでも女を守ると言う
、、、俺には理解できないね
「わかったよ、キル、今日の所は見逃してあげる、但し、次はないからね」
「そっちこそ次もその次もねーかんな!」
「じゃ、またね」
その場を後にし、歩き始める。キルとゴンが守ろうとするもの-------
何だか興味を持ってしまった
あの女の何処に魅力があるのかわからないが、もし俺が手にし生きるも殺すも俺次第に操ったら、、、随分楽しそうじゃないか
欲しいな、あの女
強引に手に入れるのも、アリだよね、、、?
Fin
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