それは夕日が教室に射し込む放課後だった

私の目の前にいるのは同じクラスメイトの露草。顔を真っ赤にしたかと思いきや、さっきからずっと下を向いている

「好きだ」

先程された告白は、私の人生の中で1番最初、つまり初めて。初めてということもあり、私の頭の中は軽くパニックを起こしていて、

「、、、ドッキリ?なの?」

と、露草に対して失礼なことを言ってしまった。露草は勢いよく顔を上げる

「ドッキリなんかじゃねーよ!」
「え、な、何、露草が私のことを---」
「好きだって言ったんだよ」

信じられない。クラスの中で圧倒的な地位に君臨する露草は一匹狼で寄るもの全てに噛み付く勢いがある。周りからは怖いだとか、近寄り難いとか、そんな言葉をちらほらと聞いたことが私はあったのだ

だからこそ、先程の告白は信じられなかった

お互い沈黙が続いた。私は何を言えばいいかわからず、それは露草も同じのようで。長い長い時間が過ぎていくような気がした

「あの」

先に声に出して言ったのは私で。

「どうして私なんかを、、、?」

露草はくしゃくしゃっと髪の毛を掻いて言う

「、、、笑顔がいいなって思ってたんだ、しゅんが笑ってるところを見るとすげぇ胸が苦しくなって、いつの間にかしゅんを目で追うようになってたんだ」

その露草の言葉に私までカァっと熱くなり、両手で顔を隠した

「何やってんだお前」
「こっち見ないで!」
「は?」

胸のドキドキが止まらない。鼓動、聞こえてないよね?大丈夫だよね?

「私でいいの?」
「しゅん以外他に考えられねぇよ」

あぁもうこの人は恥ずかしくなる台詞ばっかり言ってくる。でも恥ずかしいのは私だけじゃない、耳まで真っ赤になっている露草もそうだ

「私で、よければ宜しくお願いします、、、」
「いいのか?」
「は、はい」

顔に被せていた手をどけて露草を見ると、もうそれはそれは、嬉しそうで。初めて露草が笑ったところを見たかもしれない。あの一匹狼の露草が私に告白してくるなんて。しかもドッキリではなく本気みたいで。



私達は今日、恋人同士になった



露草は付き合ってることを隠したがるけど、2人だけの秘密も有りなのかもしれない




2へ続く

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