チクリ、そう感じて目を開けると、ヒソカの顔が目の前にあった。少し乱れた服を見て、先ほど感じた痛みを思い出すと、あ、キスマークをつけられたんだとわかった
「本当、悪戯好きね」
「こうでもしなきゃすぐ他の男のところへ行っちゃうじゃない」
「そんな、行くわけないわよ」
貴方がいるから、と言う言葉はグッと飲み込んで。ヒソカが思っている以上に私は貴方に恋をしている。それに気付いていない貴方はどこまで鈍感なのだろうか
時計を見ると夜中の3時で。こんな時間に起こされるなんてきっと今日は寝不足だなと思いながらベッドから降りた。洗面所へ向かい、つけられたキスマークを確認しようとし、私はあんぐりと口を開けた
「何これ」
「ん?愛の証ってやつ」
つけられたキスマークの数は約10個程。首筋やら鎖骨やら、胸にまでつけられている。これじゃあ髪の毛縛れないじゃない!とヒソカの胸を叩くとその手を止められた。グイッと引っ張られそのままヒソカの胸の中に収まる
「暴れないの」
「、、、悔しいから、上着、脱いで」
「え?」
「いいから、早く」
脱いで、と私は言ったがほぼ強引に私がヒソカの上着を脱がせた。鍛え抜かれた上半身にドキッとしながら私は仕返しのつもりでキスマークをつける。困らせてやろうと首筋のモロ見える所にも
「ボク明日仕事あるんだけど」
「ヒソカが悪いんだからね」
「しゅんも随分可愛いことするね」
「か、可愛いって何よ」
「まぁ、飼い犬に噛まれたってことで」
私は犬か。そもそも人がぐっすり寝ている時にキスマークをたくさんつける貴方が悪いのよ。仕返しされたって文句は言わないの、と言わんばかりにヒソカを見ると、ヒソカも鏡を見てキスマークを確認していた
「ねぇ」
「ん?」
「何で人は好きな人にキスマークつけるんだと思う?」
「、、、マウンティングみたいなもの?かな」
「何それ」
プッと私が吹き出すとヒソカもつられて笑った。ベッドに戻ろうか、とヒソカにエスコートされながら部屋に戻る。そのまま布団に潜ってヒソカと向かい合わせの形で横になった
「ヒソカ」
「なんだい」
「ぎゅってして」
「甘えん坊だねぇ」
そう言いながらも私のことを抱きしめてくれるヒソカ。彼の体温はとても温かくて、段々とウトウトしてきてしまった。でもこのまま寝るのが勿体なくて必死に目を擦っていると
「寝なよ、お肌に悪いよ」
「起こしたのはヒソカじゃない」
「そうだっけ」
「そうよ」
「寝れないなら子守唄歌ってあげようか?」
「嫌、ヒソカ歌下手だもの」
「失礼だなぁ」
横になりながらヒソカの胸に顔を埋め、深く深呼吸する。いい匂いがするから何回も嗅いでいると「やっぱり犬だね」と言われてしまった。好きな人の匂いって特別じゃない?そう思うのは私だけ?
「昨日ね、仕事で怒られたんだ」
「その上司、ボクが殺してあげようか?」
「もう、ヒソカはすぐそうやって気に入らない人を殺そうとする!」
「嘘、ジョーダンだよ」
「ハンターの仕事って大変?」
「全然、楽しい玩具がなかなか見つけられなくてさ、今のところゴンぐらいかな」
「程々にしなよ、ゴン君困ってるよきっと」
なんて会話をしているうちに眠気は限界で。ヒソカがずっと1人で私に話しかけているけど正直聞き取れなくて、ウトウトしちゃって------
「寝ちゃったかい?」
「、、、寝てる」
「起きてるじゃない」
「もう、寝る」
「うん、寝なさい」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
-------いい夢を見てね、そしてまた起きたらお話を聞かせてね
Fin
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