ヒソカが全然帰って来ない、そう思い上着を来て家を出た途端私は小さく悲鳴を上げた

壁にもたれかかり、ぐったりとしているヒソカを見つけてしまったから。地面には血の池が広がっている。私は急いで救急車を呼んだ

病院に向かっている救急車の中で私はヒソカの手を握り締めながら泣くのを堪えていた。確かヒソカはライバルと会ってくるよ、そう言い昼頃に家を出た。いつから家の前に居たの?何で私はそれに気づかなかったの?何で、何で、、、

病院にやっと着き、ヒソカは手術を受けた。その待ち時間がとてもとても長く感じ、私は震える体を抱きしめてとにかく無事を祈った

手術が終わったのは8時間後で、今は病室で静かに眠っている。手術を施した担当医に言われたのは「いつ目覚めるかわかりません」という言葉。一瞬にして目の前が真っ暗になった

----3日が経った。ヒソカは相変わらず目を覚まさない。私は泊まりがけでヒソカの看病をし続けた。体を拭いてあげたり、髪の毛を洗ってあげたり。動かないヒソカを見て何度も涙が零れそうになったけど、ヒソカの前では泣くもんかと意地を張っていた

ライバルに会ってくると言って、タイマンでもしたのだろう、こてんぱにやられたんだ、ヒソカより強い人っているんだな、と病室の窓際に座りながらそう思った

-----1週間が経った。一向に目を覚まさない。いつになったら目を開けてくれる?私の名前を呼んでくれる?今も握っている手で握り返してくれる?もしこのまま目を覚まさなかったら、私はどうすればいいの?

----さらに2週間が経った。ヒソカはまるで死んでいるかのように寝ており、時折本当に死んでるんじゃないかと焦り、何度も何度も心音を耳で確認していた。ねぇ、私の声聞こえてる?返事をしてよ、ねぇ、ヒソカ

駄目、泣いちゃ駄目、今辛いのはヒソカなんだから、私が泣いてどうするんだ。再びぎゅうっと手を強く握ったその時-----

「えっ、、、」

ヒソカが、目を覚ました

今までは私が一方的に手を握っていたけど、握り返された手を見て、ヒソカを見て、目を開けてることに気付いた私は、もう涙を堪えるなんてことはしなかった

「ヒソカ、、、!」
「、、、やぁ」
「心配したんだからね!馬鹿、、、!」
「ちょっと油断しちゃってね」
「もう、本当に馬鹿だよっ、、、」

とめどなく溢れる涙。ヒソカはそんな私を見てニッコリと笑った。目を覚まさないかもしれませんと言われた人が奇跡的に目を覚ました、それはもう神に感謝する勢いで

「、、、言いたいことがあるんだ」

ヒソカが静かにそう言った

「ん?何?」
「------て良かったよ」
「聞こえないよ、もう1回言って」



「目を開けて1番最初に見れた顔が君で良かったよ」




Fin

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