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湿り気を帯びた微量元素が漂うこの場所は、どこか異質。
日常と異常との境目は、いつも、とても不確かで曖昧だ。
知らずの内に闇の中に抱き込まれるように、僕は毎日ここで眠り、また目覚める。
僕をすっかり包み、抱きしめて離さない異常な世界。
地表部分は、ひんやりとしていて、堅く、とても寂しい。
僕は冷たい地面に小さく丸まって、自分を抱きしめながら静かに眠るのだ。
僕が両腕に抱きしめるのは自分自身。
小さな世界。
これが僕の全てだ。
起きている時間、僕は微光ながらも差し込んでくる、淡い陽の光を頼りに歩き続ける。
探しているのは、本当に出口だったのか、朝はどこからで夜はどこから始まるのかすら、何もかもが紙一重で分からなくなったのは遠の昔。
それでも歩き続ける。
そうしなければいけない気がしたから。
僕に今わかるのは、見えている闇は、ほんの一部分だという事。
穴は、あちらこちらに、ぽつりぽつりと口開いているのに、どれも僕の向かう出口とは異なるものだ。
これは誰の穴?
…もしかしたら、
僕の脇にある穴はあなたのすぐ足元に繋がっているかもしれないね。
「…ほら、今日も誰か来た」
***
「湿」と「抱」と「微」を全部使って文章を作りましょう。
2012/02/28
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