甘い匂いに誘われるように 


夜も更け、男性は恋人のローの部屋でローとともにくつろいでいた。
「最近、手ごたえのある海賊いないねー。」
男性は座り心地の良いソファに腰かけながらローに話しかける。男性に抱きかかえられるような形で本を読んでいるローはああ、と興味なさげに返事をしてくる。本を読んでいる時はいつもそんな感じなので、あまり気にはならない。シャワーを浴びたてのローの身体は熱を持っていて温かい。その時、ふと柑橘系の香りが鼻を掠める。好きな香りだ。匂いの元をたどると、目の前にあるローの頭かららしい。
「……何してる。」
低いローの声が聞こえる。
「ちょっと、ローの頭の匂いを嗅いでる。」
ローの頭に顔を埋めて、すんすんと匂いを嗅ぐ。若干嫌がるような素振りをみせるものの、本気の拒否はしない所に好かれているんだなと実感する。
「シャンプー変えた?俺の好きな香り。」
「そう、か。」
ローは何気ないように返したつもりかもしれないが、耳が赤いので照れていることはバレてしまっている。男性はそのままローの髪を食む。
「男性、やめっ」
頭を振られて、髪の毛がするりと口から出ていく。
「何やってんだ馬鹿。」
流石に本を読む余裕が無くなったのか、こちらをご覧振り返って声を大きくする。ちなみに顔は真っ赤なので全く怖くない。
「いい匂いだから美味しいかと思って。」
へらりとそう言うと、んな訳あるかと怒られてしまった。
「えー、ローだったらどこでも美味しいよ。ココとか……」
際どい所に触れると、ローは艶っぽい声を出す。このままソファで致しても良いのだがローの身体が痛くなるのはいただけない。男性はローの身体の向きを変え、横に抱いてソファから立ち上がる。急に不安定になった身体に動揺したローは咄嗟に男性の首に腕を回す。ベッドに移動しながらその様子を見ていた男性は普段見る事が出来ない姿を見ることが出来るのは恋人の特権かもしれないと心の中で微笑んだ。




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