やわらかな肌に淡い紅色 


ノックの音で目が覚めた。ベッドの周りに散らかっている衣類の中から自分の下着とつなぎを取り、つなぎを腰元まで身につけてからドアを開ける。
「はい、……なんだシャチか。」
「なんだじゃねーよ。もう昼だぜ。」
そう言うとシャチは男性の姿を見て顔を歪めた。
「……お前、ちゃんと服着ろよ。」
「仕方ねーだろ。昨日そのまま寝ちまったんだから。」
自身の裸の上半身を見ながら男性が言う。シャチは大きく溜め息をつくと、いーから服着て船長起こせよ!と持ち場へ戻っていった。扉を閉め床の衣類を拾いながら、部屋の奥にあるベッドへと向かう。人ひとり分膨らんでいるシーツを捲ると、未だ静かに寝息を起てているローがいる。その身体には、昨日愛し合った印が無数に残っている。そのうちのひとつにキスを落とすとローが身じろぐ。
「ん……」
「ロー、おはよう。」
頬を撫で下ろしながら額にキスをして朝の挨拶をすると、掠れた声で返事が帰ってくる。
「昨日ヤりすぎたかな?」
そう問うとローはふにゃふにゃとした顔をして、気持ちよかったからいい、と男性にキスを返してくる。ローの気怠げな雰囲気と甘い表情に下半身が反応しかける。ローにのキスの雨を降らせながら覆い被さろうとすると、大きな足音が船長室に近付いてくる。
「キャプテーン!お昼食べよう!あれ、男性もいたの?」
ノックもせずにドアを開けたのはベポで、どうやら昼食の誘いに来たらしい。
「ベポ、おはよ。ローなら今起きたところだから、支度させてから食堂に連れていくよ。」
「男性おはよう!うん、分かった!でもおれ、お腹ペコペコだから早く来てね。」
はやくね!と念を押してベポは食堂へと向かって行った。ベポの登場に、甘くなりかけていた空気は戻され、ローの眠気もいくらか覚めてしまったらしい。起きる、と男性の身体を押し退けるとシャワーを浴びに行ってしまった。男性は残念だと肩を竦めながら、未だ裸だった上半身にTシャツを被せつなぎを着こむ。ベッドを整えている間にローが浴室から帰ってきた。
「目が覚めた?」
「ああ。」
ローはガシガシと頭を乱雑に拭きながら、クローゼットから服を取り出す。服を着てしまったことによってキスマークが隠れてしまうのが残念だ。
「……何見てやがる。」
「キスマークが隠れて残念だなって。」
じとりと見てきたローにそう返せば、ローは途端に顔を赤くして下を向いてしまう。その無防備な項に唇を寄せて吸い上げる。
「ひぅ!」
涙目で睨んでくるローをにやにやとしながら見てその手をとる。そのまま船長室を出て、我慢出来なくて先に食べ始めているだろうベポがいる食堂へと向かっていく。




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