この世界で泣いて、笑って 


やっと楽になれた。そう思ったのに……。
男性が目を開くとそこに居たのは見覚えのあるシロクマ。
「あ、キャプテン!目を覚ましたよ!」
切られたんじゃないのか?そう思って辺りを見渡すと、見たことがある身体が倒れている。きっとあれは自分の物だろう。では、やはり切られたのかと考えていると、トラファルガーが前に現れた。よく見ると周囲をつなぎを着た集団に囲まれている。
「なんで生きている。」
「おれの能力だ。死にたそうだったから、生首にして生かしてみた。……気を失っている間も魘されていた。カウンセリングは専門じゃねぇが聞いてやる。話してみろ。」
話してみろと言われたので、どうせ信じて貰えないが、と前置きして男性は話し出す。別の世界で自殺したら、この世界に居たこと。前の世界では仕事ばかりだった上に上司が酷くて、ひどく疲れきっていた事。死んでやっと楽になれると思ったのに、違う世界に生まれたこと。淡々と話していると、派手な色のキャスケット帽を被ったサングラスをかけた男が、声を上げながら泣き出した。
「お前、大変だったんだな!その上司も酷すぎるぜ。よく頑張ったよ。」
頑張った?周囲からはまだ足りないと言われて、やってもやっても駄目だった。誰も褒めてなんてくれなかった。
「っ、」
何かが、頬を濡らした。

この世界で泣いて、笑って


prev / next
[back]