大きく息を吸い込んで 


空中ではどうすることも出来ず、男性はそのまま海に沈む。元々、死んだつもりだったのだ。このまま沈んで楽になろう。そう思ったが、如何せん苦しいのは苦手だ。息苦しさに負け、海面へ浮上する。ぷはっと大きく口を開け、酸素を吸収する。潜水艦の様な船から、あのシロクマが飛び込んできた。こちらへ泳いできて男性を捕まえる。
「キャプテン!いきなり海に落とすなんて酷いよ!!」
どうやら、先程から話していたのはこのシロクマだったらしい。驚愕に何も言えないでいると、隈男が甲板からこちらを窺っていた。
「能力者か調べただけだ。」
どうやら違ったみてぇだな。そう言うと隈男は再び"ROOM"と呟く。気が付くと甲板に居て、海には男性の代わりに樽が浮かんでいた。

大きく息を吸い込んで


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