鳴門 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
28.


「ようやく追いついた」
「シカマル! 大丈夫?」
「アスマ!? なんで……それになまえまで」

突然現れたアスマは文字通りあっと言う間に音隠れの忍達を倒してしまうと、短くなった煙草をポイッと血溜まりに向かって放り投げた。

(ふぅー、助かった……)

もう強がらなくて良いと分かった途端、足元から急激に力が抜けていく感覚に任せてその場にドサッと腰を下ろした。自分で言うのも何だが、柄にもなく相当緊張していたらしい。

「アスマ先生! 私はこのままナルト達を追いかけます。シカマルのこと、お願いします」
「ああ。気をつけろよ」

小さく頷き、瞬く間に遠ざかって行くなまえの背中をぼおっと見つめながらふと思う。あいつはナルト達を心配して追いかけて来たんだろうが、なぜアスマやカカシ先生がそれを許したのか。どこに居ても危険なことには変わらないし、それなら会場に居た方がまだ安全なはずだ。なのになぜ───。

「……なまえが言い出したんだよ。自分も連れて行ってくれって」
「?」
「自分ならお前達を探せる。痕跡を辿れるってな」

まるで分かっていたかのように俺の疑問に答えるアスマは苦笑を浮かべていて。だが、一つ解消出来たと思えば、また新たな疑問が生まれる。痕跡を辿れるとは、自分なら探せるとは一体どう言う意味なのか。

「俺も始めは半信半疑だったんだが、あいつは迷う素振りを一度も見せなかったし、こうしてお前を見つけたのが何よりの証拠だよ」
「……」

アスマも分からないまま連れて来てしまったのか。呆れながらも、なまえがついて来てくれたお陰で命拾いをしたのだと考えると責める気にはならない。ただ───。

(無茶すんなよ。なまえ)

それだけは願わずにはいられなかった。





─────土色のように薄く濁った煙と共に生き物の焼ける嫌な臭いを放ちながら、なまえがどさりとその場に倒れ込んだ。
肌の露出した部分がひどく焼け爛れているが、中でも首から頬に掛けてが特にひどい。医療忍術をかじっていない俺の目から見ても深刻な火傷だと言う診断を下すのは容易かった。

「なまえ!」
「うっ……ぐっ、」

呼びかけてみても小さく呻くだけでピタリと閉じられた両の目蓋が持ち上がる気配はあまり感じられない。

「、クソッ!」

ここからでもはっきりと分かるまるで嵐のような戦いに巻き込まれる前になまえを安全な場所へ移した方が良い。負傷した体になるべく負担をかけないように注意を払いながら、サクラ達の元に向かって一気に跳躍した。
さっきのあれは───なまえの全身から吹き出すように勢いよく伸びた青白い帯のようなあれは一体何だったのか。どうやってこの場を突き止め、追いかけて来たのか。化け狸の姿になった我愛羅の動きを止めるほどの力を持ったそれが奴の右手にきつく巻きついた瞬間からなまえの肌がみるみる内に焼かれ始めた。だが、激痛に苛まれながらもなまえは気を失う間際まで決してそれを解こうとはしなかった。あまりにも無茶なことを───だが、ああでもしなければナルトは砂に圧しつぶされていたかもしれない。

「……サスケ、」
「! なまえ、気がついたのか?」

パックンとか言うカカシの忍犬とサクラがいる場所まで戻って来たところで目を覚ましたなまえをそっと下ろしてやる。とは言っても自力で立つことは出来ないらしく再び倒れそうになった体を慌てて支え、木に寄りかかるようにして座らせてやった。

「夢を見たの。とっても不思議な夢……」
「夢?」
「夢、ううん。あれは夢なんかじゃなくて多分───サスケ、行って!」
「だが、」
「ナルトも我愛羅も同じだった。でも、我愛羅は───サクラの無事を伝えて? ナルトのことだから、きっと我愛羅のことを殺してでも止めようとするよ。だから、早く行って!」

今まで聞こえていた地鳴りのような音が止み、木の幹にしがみついていた砂がサラサラと崩れ始めたことでサクラの体がゆっくりと傾いてくる。

「……二人を頼む」
「お、おい!」

パックンにこの場を任せ、ナルトの元へと向かった。なまえが見たと言う夢は何のことなのか、すぐに言い直して不自然に言葉を切ったがそれは我愛羅に関わる何かなのか。なぜ、あんなにも必死にナルトを止めるように言ってきたのか。何もかもが謎のまま俺はただひたすら木々の間を縫うように走り続けるしかなかった。

prevnovel topnext