鳴門 | ナノ
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27.


心なしか気怠く感じる体を起こそうとした瞬間、凄まじい速さで迫って来る銀色の影が視界を埋め尽くした。

「! カカシ先生?」
「起きたか、なまえ」
「先生、これは一体……」
「砂と音が攻め入って来たんだ。俺達は敵の数を減らすから、お前は少しの間そのままじっとしていろ」

カカシ先生はニッコリと微笑みながらそう言うや否やキーンと鉄がぶつかる音を立てながらあっと言う間に戦いの中心へと戻って行ってしまった。

(……確か、後回しにされていたサスケと我愛羅の試合がやっと始まって。それから……カカシ先生、幻術返ししたんだ)

記憶が途切れる直前、目の前を覆い尽くした羽毛の大群は敵の幻術だったのだろう。そして今、それを躱した人達が里を守るために命懸けて戦っている。カカシ先生だけじゃない。アスマ先生や紅先生、ガイ先生やアオバさん。知っている人達が木ノ葉のベストを血で赤く染めながら。

(きっと、ゲンマも……)

どこにいるのだろう。顔を見て無事であることを確認したいのは心配だと言うことももちろんあるけれど、それ以上に自分が安心したいから。ゲンマだってどこかで同じように戦っているはずだから。

「……チッ、カカシ! 俺はナルト達を追うぜ!」
「ああ。頼む」
「! カカシ先生。ナルトはここにいないの? それに"達"って……」
「ナルトならサクラやシカマルと一緒にサスケを追っている」
「どう言うこと?」
「俺が任務として言い渡したんだ。砂の我愛羅達を追っているサスケを止めろってな」
「そう言うことだ。加えて、あいつ等には十中八九砂か音の追っ手がかかっている。俺が今からそれを追い掛けると言うわけだ」
「……アスマ先生、私も連れて行ってください!」
「なっ!? いきなり何を言い出すんだ! これは遊びじゃないんだぞ」
「分かっています! でも、私なら三人の後を辿れます。絶対に役に立ってみせるから……お願いします!」

砂の殻を隔てていても伝わってきた嫌な感覚は、今でもはっきりと覚えている。それを頼りに我愛羅へ近づけば、自ずと三人にだって追いつけるはずだ。追いつきさえすれば、三人のそれだって察知出来る。大丈夫。私ならきっと出来る。

「ハァ……カカシ、なまえも連れて行くぞ。文句はないな?」
「ああ。なまえ、無茶はするなよ」
「はい!」

結局、ゲンマがどこで誰と戦っているか分からないまま。でも、今はとにかく自分にも出来ることを。グッと奥歯を噛み締め、アスマ先生の後を追って背後の大穴から飛び降りた。

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