鳴門 | ナノ
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20.


バサバサと生き物が羽ばたく音に紛れて聞こえてくる人の悲鳴。
いよいよ始まったんだ。第二の試験が。

「な、何か緊張してきた」
「ど、どうってことねーってばよ。サクラちゃん!」

ナルトは弱々しい声で呟くサクラを元気づけようとしたかと思えば、急に黙りこんで───。

「俺ってば、ちょっとションベン……」
「レディの前で何晒そうとしてんのよ! 草陰行きなさいよ。馬鹿!」

今回ばかりは配慮の足りなかったナルトが悪い。サクラに叩かれ、大人しく草陰に向かうナルトを苦笑いで見送ったのが今から数分前のこと。

「あーすっげー出た。すっかりー!」
「だからレディの前でそう言う……」
「! サスケっ」
「ああ」

違う。ナルトじゃない。
ガサガサと草木を鳴らしながら戻って来たナルトを見た瞬間そう確信したのは私だけじゃなかったようで、声を掛けると同時に踏み込んだサスケが思い切り拳を振りかぶった。

「! サ、サスケくん。いくら何でもそこまでしなくたって……」
「本物のナルトはどこだ!」
「きゅ、急に何わけ分か……」
「ホルスターが左脚についてる。あいつは右利きだ。それに決定的な違いはさっきあの試験官つけられた傷跡がお前にはない。テメーはナルトより変化が下手だな。ニセモノ野郎!」
「……アンラッキー! バレちゃあ仕方ねえ。巻物持ってんのはどいつだ?」

咄嗟に構えを取る。

「こうなったら実力行使だ!」

サスケが火遁の印を組みながら敵へ向かって行くのなら、私は別の方向へと駆け出した。あの短い時間では入れ替わるのに精一杯でナルトを遠くに隠すことまでは出来ないはずだから。

「なまえ―!」
「ナルト!」

予想通り。眼下に気を配りながら木から木へと飛び移っていれば、縄でグルグル巻きに拘束されたナルトを見つけることが出来た。縄を解いて私達もサスケに加勢すれば、一気に有利な流れへと持って行けるに違いない。

「! なまえ、避けろ!」
「ほら、隙が出来た。ラッキー!」
「サスケ!」

波の国で一度経験しているお陰か、サスケが私の飛ばした千本を受け止めてくれたことを確認してナルトを抱えてチャクラを練り上げた。

「飛雷神の術!」

次の瞬間、たった今までいた場所で盛大な爆発が起こった。

「! うっ」

相手が死角から迫るサスケに気づけなかったのは、私達が爆発に巻き込まれたと思い込んで油断していたからだろう。

「サスケくん…!」
「手荒いがこうするしかなかった。ボケボケすんな! こいつ一人とは限らない。良いか? 気を抜いたら本気で殺されるぞ!」

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