鳴門 | ナノ
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9.


カカシ先生の予想は怖いくらい的中していて、再不斬に止めを刺したはずのお面の人が彼と共に私達の前に立ちはだかった。再不斬の相手は先生にしか務まらないだろうし、と言うことは必然的にお面の人は私達だけでどうにかしなければならない。

「白、分かるか? このままじゃ返り討ちだぞ」
「ええ。残念です」

修行で培ったチャクラコントロールを駆使してサスケが優位に立ったからか、蹴り飛ばされた彼はゆらりと立ち上がると、冷気にも似た殺気をまといながら印を組んだ。直後、足元に撒かれた水滴がまるで磁力をまとったみたいに不自然に持ち上がり出して、次第に凍っていく。さっきまでとは明らかに違う雰囲気にごくりと喉が鳴った。

「秘術・魔鏡氷晶!」

サスケを取り囲んだのは、氷で作られた数多の鏡。

「あなたも、僕の術を食らってみると良い」
「!」

不意に訪れた衝撃と浮遊感。背中から地面を滑った先にはサスケがいて、体にまとわりつく冷気に彼の術の中に閉じ込められたのだと悟った。

「……なまえ、用心しろよ?」
「うん…!」

一瞬にして鏡の一枚一枚に彼の姿が映る。

「そろそろ行きますよ」

僕の本当のスピードをお見せしましょう───来る。感じた時には既に鋭い痛みが全身を襲っていた。

「うぐっ!」
「うぁ…っ、」

見えない。気配を辿ろうにも、捉えた時には既に別の方向から新たな気配を感じる。体が追いつかなければ意味がない。何かしらの対抗策を考えないと、このままじゃ唯々切り刻まれて死ぬだけだ。

「サスケくん! なまえ!」

ふと、サクラの声が聞こえて来たかと思うと続けざまに鏡の外側から忍術によるものだと一目で分かる煙が立つのが見えて、その中から現れたオレンジに思わず笑みが零れた。

「うずまきナルト、ただいま見参! 俺が来たからにはもう大丈夫だってばよ!」
「……はは…っ。えらく派手に登場しちゃって。ナルトらしいと言えばナルトらしいけど」
「チッ……あの目立ちたがり屋が。まあ、良い。ここはとりあえず俺達は内側、ナルトに外側から攻撃させて、」
「よ! 助けに来たぞ」
「! このウスラトンカチ、忍ならもっと慎重に動け! お前まで鏡の中に……」
「まあまあ。サスケ、一旦落ち着いて」
「くそ! もう良い。この馬鹿!」
「何だ、お前! せっかく助けに来てやったのに!」

まさかここまで堂々とこっちに入って来るなんて───さすがは意外性No.1忍者。サスケは腹の虫が治まらないみたいだけれど、今はとにかく彼の術を破る策を考えなければならないわけで。
サスケが火遁で氷を融かす気でいるのなら、私は次の策を練れば良い。もし、サスケの策が通用しなかった時のために。いざとなったら、全部の攻撃とまでは行かなくても、致命傷になりそうなものだけでも回避出来るように。

木登り修行が私の飛雷神の術をより本来の形に近づけるとカカシ先生は言っていた。二つの拠点を移動するだけではなく、移動出来る範囲そのものを広げる。例えば、拠点となる千本を中心に大きな円を描くように。
恐らくこの場から鏡の外側まで三人分の空間を繋げることは今の私には出来ない。なら、この策に失敗は許されない。絶対に。

「火遁・豪火球の術!」
「そんな火力ではこの氷の鏡は融けませんよ」

キラリと鏡の角が反射したと同時に印を組んでチャクラを一気に練り上げた。

「飛雷神の術…!」

目が役に立たないのなら、感覚に頼るしかない。再不斬と比べてずいぶんと薄い嫌なものを頼りに自分達の周囲の空間を歪ませた。

「!」
「なまえ!」

飛ばす先の配慮までは出来なかったけれど、どうにか致命傷になりそうな攻撃の導線から外れることには成功したらしい。

「ナルト。サスケ。大きな攻撃からは私が何が何でも守るから!」

飛雷神の術自体に殺傷能力はない。でも、代わりに敵の動揺が伝わって来て見せつけるようにニッと口角を上げたのだった。

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