クロノの妨害に成功した強子が勝ち気な態度で治崎を見やれば、奴は地面に手をついた姿勢のまま、忌々しげに強子を睨んだ。


「お前は・・・そうか、どこかで見た顔だと思えば、連合の“お気に入り”か」


治崎の声は、苛立たしげに震えている。相澤の『抹消』により個性が使えない状況に、イラついているようだ。
そう―――治崎の個性を消している、今が最大のチャンス。


「いけっ!デク!!」
「やれ、クロノォ!!」


相澤と治崎が 同時に叫ぶ。
・・・と、その瞬間にはすでにクロノの針が強子に向かって伸びてきており、超反射でひらりと躱す。針の動きは確かに速いのだが、そんな直線的な動きでは、強子を捉えられない。
とにもかくにも、クロノの個性は厄介だ。まずは彼の動きを封じようと、強子は彼に向かって走り出す。
一方で、緑谷は治崎に強襲をしかける・・・が、治崎は一介のヤクザとは思えぬ身のこなしで、彼の攻撃を躱していた。奴は今、個性を使えないというのに。しぶとい!
しかし、こちらには相澤がいる。彼は個性を発動させながら、緑谷の猛攻をかいくぐっていた治崎に向けて捕縛布を伸ばし・・・


「―――捕らえた!!」


相澤が、ついに、治崎を捕らえた!


「若っ!!」


慌てたようなクロノの声―――じゃ、ない。この声の主は・・・


「(は?・・・音本!!?)」


地面に転がっていた音本。あいつはとっくに通形によってダウンさせられたものと思っていたが・・・まだ意識があったとは。治崎に対する、並々ならぬ忠誠心が、奴の意識を今まで保たせていたんだろう。
拳銃を握る音本は、逡巡すると・・・その銃口を、クロノに拳をぶち込もうとしていた強子へ向けた。
それを目で捉えた瞬間、ドクンと、強子の心臓が大きく跳ねる。
このとき彼女の脳裏によぎったのは、強子が知っている物語の一片・・・音本が撃った“完成品”によって、個性を失ってしまう通形ミリオの姿だった。


「(まさかっ!?)」


強子は無意識のうち、音本の手元にある拳銃から、通形のいるほうへと視線を移していた。
全身ズタボロで、ナイトアイに支えられている彼。
彼はもうすでに“完成品”を撃ち込まれて、個性を失っていると思っていたけど・・・もし、そうでないとしたら?音本の拳銃には、未だ、“完成品”の弾が残っているんじゃ?あるいは、2発目の“完成品”が込められていたとしたら?


「(私も、個性を・・・っ!?)」


今まで培ってきた、『身体強化』の個性。
それを失えば、強子は ただの女の子に戻る―――卑劣なヴィランどもと戦うすべのない、非力な女子高生。ともすれば・・・ヒーローになる夢は あきらめるしかない。
これまで雄英で、A組の仲間たちとともに奮闘し、努力を積み重ねてきた時間が、無駄になる。彼らとともに蓄積してきた全てが、無に帰す。そして・・・もう、彼らと並んで、同じ道を歩むこともなくなる。
その可能性が脳裏によぎると、その恐怖ゆえに彼女は、一瞬、躊躇した。
あと一歩。ほんの一歩先にはクロノがいたのに。ここで躊躇せず、クロノを殴り飛ばしておけば良かったのに・・・


「・・・捉えやした」


すぐ傍で発せられた声にハッとする。まずい、一番厄介なクロノをノーマークにしてしまった!
強子に向け、伸ばされる針。瞬時に強子は直立の状態から後ろにのけ反り、ブリッジのような体勢になって、それをギリッギリで避けた。
けれど、のけ反った彼女の視界には・・・強子に向かって伸びてきた針と―――もう一本、あらぬ方向に向かって伸びていく針があった。


「!!?」


同時に、二本。クロノの頭部から二本の針が、二方向へと伸ばされていたのだ。
クソッ、と思わず心中で悪態をつく。
だって、そんなことが出来るなんて、聞いてない!警察から得た情報にも、強子が前世で得た知識にも無かったぞ!


「っ、先生!」


クロノが狙うのは、相澤だ。
強子が叫べば、相澤もクロノに狙われていることに気付いたが・・・捕縛布で治崎をおさえ込んでいた相澤は、回避が間に合わない。それでも、彼は咄嗟の判断で、まだ状況を把握しきれていないデクを突き飛ばす。それと同時、相澤の肩付近をクロノの針が貫いた。


「二人まとめて串刺しにしたつもりでしたが、さすがヒーローだ」


クロノの個性により相澤の動きが鈍くなると、捕縛布でギチギチに封じられていた治崎の身体が、ゆらりと動く―――
やばい、やばい、やばい・・・!
形勢が逆転する。状況がいっきに劣勢に傾いてしまう。
焦りつつも、強子がのけ反っていた体勢を戻す、その反動で、クロノの顔面に向けて拳を振りぬいた。
脳震とうを起こしてダウンさせるつもりだったが・・・強子の行動を予測していたのだろう、奴の顔面に拳がめり込む前に、クロノはかろうじて腕でガードした。
とはいえ、パンチの衝撃に耐えきれずにクロノは後方へ吹き飛んだ。すかさず追撃しようとしたところで、今度は音本が、強子に向けていた拳銃の引き金に手をかける。


「!」


パンッ、パンッ、パンッ・・・!と、耳障りな銃声が連続して鳴り響く。
躊躇いなく 何発もの銃弾を放つということは、この銃弾は“完成品”ではないと考えていいだろう。
いずれにせよ、銃弾が強子に掠ることはなく、彼女はすべての弾を華麗に避けきった。
お返しとばかりに、足元に落ちていた こぶし大の砕石を蹴り上げ、音本の頭にクリーンヒットさせると、彼はどさりと倒れこんだ。
ナイスショット!ホールインワンを決めたときのような爽快感・・・だが、それに浸る余裕もない。これ以上、クロノを自由にさせておくわけにはいかない。

再びクロノに距離を詰める・・・!そう判断した強子が動く前に―――
再び治崎を殴って、止める・・・!そう決断した緑谷が動く前に―――

すでに―――治崎は動いていた。
ゆっくりとした動きを止められない相澤の、まばたきする瞬間・・・その一瞬で、治崎は自身を拘束していた捕縛布を分解し、解放された彼は、その手を叩きつけるように 地面についた。


「「「!?」」」


途端に、治崎の手元の地面から この広い空間全体に向かって、目にも止まらぬ速さで、地面に鋭利なトゲを無数に創り上げられる。あっという間に地面はとげとげで覆いつくされ、まるで 茨の森だ。あちこちから、あらゆる大きさのトゲが不規則に乱れ咲いている。
“分解”と、“修復”・・・?そんなレベルの話じゃない。
一瞬で、治崎の思うがままにフィールドを創り変えられる。このフィールドすべてが 奴の手中。こんなの、普通の人間には到底避けられたもんじゃない。
強子もヒヤリとしながら、眼球に刺さりそうだったトゲを避けて後ずさると・・・ガクッと、突然の浮遊感に襲われた。
はっとして足元を見れば、強子の足元だけ、ぽっかりと穴が開いている。


「(落ちる・・・っ!!)」


咄嗟に腕をのばし、強子の眼球を貫こうとしていたトゲを掴んで、しがみつく。


「あっ・・・ぶな・・・!?」


危うく、どこまで続くかわからない階下へと落とされ、戦線離脱するところだった。下手すりゃ 落下死させられていたかもしれない。
治崎の地形変形・・・トゲだけでなく、足場の自由まで奪われるとは、厄介なものだ。
強子はトゲを掴んだまま身体を前後に揺らし、遠心力を利用して近くの足場まで飛びうつると、ふうと ひと息つく―――その間にも、戦況は秒ごとに目まぐるしく変わり続けていた。


「さァ・・・壊理を返してもらおうか」


緑谷の前に立ちはだかる治崎の おぞましい姿。
強子に気絶させられた音本と、治崎自身――二人を“破壊”し、融合させたのだ。
今の治崎の姿は奇怪な腕を4本も生やして、肌は赤黒く変色していて気味が悪い。そして、ゾッとするようなしゃがれ声で奴は告げる。


「悲しい人生だったな、ルミリオン・・・壊理に、俺に関わらなければ、“個性”を永遠に失うこともなかった。病(ゆめ)にかかったままでいられた」


それを聞き、唖然とする緑谷とナイトアイ。
そんな彼らを見ながら、治崎は、4本の腕を地面につける。


「失ってなお、粘って・・・そしてその結果が―――増援(なかま)を巻き込み 全員死ぬだけなんてな!」


そして、治崎は4本の腕に個性を発動させた。壊理を守る通形とナイトアイ、二人を殺すために・・・壊理もろとも殺る気だ。そんな奴を止めるべく、緑谷がトゲの先端をへし折り、奴に向かって投げつける。
立て続けにフルカウルで攻撃をしかける緑谷だったが、


「力と速さ・・・それだけだ」


緑谷の攻撃は治崎に見切られ、通用しない。おまけに治崎は、音本と融合すると同時に、先ほどまで受けていた怪我も、疲労さえも修復するというチートぶり。
打つ手がないと焦燥する緑谷にナイトアイから声がかかる。


「こいつの相手は私がする!貴様はルミリオンとエリちゃんを!!」

「了解です!」


ナイトアイは超質量印を投げつけ、治崎の手数を封じつつ、距離をつめていく。そうして奴に厄介な地形変形をさせない。


「イレイザーをどこへやった、側近もいないのは?」

「個性を消すヒーローには興味があるんでね。VIPルームに案内しといたよ!」

「ビヨンドも一緒にか?」

「ああ、あいつは連合への切り札に使える」


互いに攻撃を躱し、躱され、そしてまた攻撃を繰り出しながら、奴から情報を聞き出していくナイトアイ。
彼は別段、速いわけじゃない・・・だが、相手をよく見て、予測を立てて先手を打つナイトアイの動きは、読みづらい。それは、治崎でさえも手こずるほどだった。
ほんの一瞬の油断も許されない、命を削るやり取りを繰り広げながら・・・ナイトアイは、感情昂った様子で治崎を問いただす。


「永遠というのは“銃弾”は完成していて、ルミリオンに使用した ということか?それを隠すためにコソコソ逃げようとしていたと思っていたが・・・よっぽどルミリオンが恐かったか!?」


個性を失ってなお、ぼろぼろになるまで戦った通形――彼はもう、立つことすらままならない様子だ。
緑谷が通形とエリの二人を抱えると、塞がれていた通路に再び蹴りで穴を開け、少しでも治崎から距離をとろうと移動していく。
その間、たった一人で治崎の相手をしながら―――ナイトアイは、未来予知を発動していた。

見た未来は、変えられない。過去、何度も試してきた。
見た未来とまったく異なる行動をとっても・・・長くて数分の後、帳尻を合わせるように元の流れに戻されてしまう。余分なカットを挟みこむだけ。そこから未来が分岐することはなかった。
ひょっとしたら、自分が“見る”ことで、その人の未来が決定づけられているのではないか・・・?そう思えるほど、彼の見た未来は 確実にやってきた。
そして・・・“オールマイトの死”を見て以降、彼は、他人の将来の予知を やめた。

ゆえに、彼は今、一秒先の未来だけを見て動く。
治崎が己に触れそうになる未来のたび、異なる行動をとった。彼の行動は、単なる先延ばし・・・わかってはいるが、それが最善手。
しかし、それも限界。
ナイトアイには・・・治崎が変形させたトゲが 己の腕を引きちぎり、己の腹部を貫く、そんな悲惨な未来しか見えなかった。


「(ああ・・・もう、)」


間に合わない。もう、帳尻が合わさってしまう。
ナイトアイの身体をトゲが貫くまで、たった数センチ・・・残り1センチ・・・いや、あと ほんの数ミリ・・・―――トゲに貫かれる覚悟をしたナイトアイの耳に、その声が届く。


「ひゃく・・・―――」


ズドン、と地面が揺れるほどの衝撃。
そして直後、ナイトアイと治崎の間の地面が、ナイトアイに迫っていたトゲが・・・バリバリの粉々に ひび割れた。彼の身体を貫こうとしていたトゲが、すべて 塵くずとなる。彼の身体に風穴はあいておらず、五体満足のままだ。


「―――ごじゅっ パーセントぉ!!」


激甚の威力で地面を踏みつけ、地割れを起こしたそのヒーローの名は、ビヨンド。まったく予想だにしない人物の助太刀だ。期待してないどころか、お荷物とすら思っていた人物である。
けれど・・・敗色濃厚の中、突然ふって湧いた一縷の望みに、ナイトアイが目を見開いた。
彼女を階下へ落とした気でいた治崎も、目を見開いている。


「!落とし損ねたか・・・!」


真正面から治崎と睨み合うと、強子は・・・今すぐUターンしてダッシュで逃げたい気持ちに駆られた。
奴の手に触れられた瞬間に、バラされる。
奴と距離をとっても、地形変形攻撃で 一秒後には殺されてるかもしれない。
・・・そりゃあ、治崎とサシでやり合うのに、恐怖を感じないわけがないよ。
それでも、震えそうになる手をぐ、と固く握る。強張りそうな表情筋は、不敵な笑みを浮かべて誤魔化す。


「VIPルームとやらにご招待いただいたようだけど、私は遠慮するわ」


強子は、絶対にここを退けない。退けるわけがない。
だって―――ナイトアイの腕や腹部がトゲに貫かれるその未来を、強子も見ているんだから。


「治崎・・・アンタが誰かを殺す――その“未来”をねじ曲げるまで、私はここを退かない!!」

「英雄症候群の、病人がっ・・・!」


治崎が地に手をつき、個性を発動させる―――それを確認してから、地面を蹴りとばした。
強子は治崎が創り上げる全てのトゲを超反射で見切り、限界速度で全てを回避していく。
そうすれば、彼女に傷ひとつ付けられずにいる治崎が殺気立ち、刺すような目を彼女に向けた。


「ちょこまかと・・・反応速度だけじゃないな、勘もいいのか・・・」


強子は内心で僅かに安堵する。
直前に、トガの戦い方を間近で見ておいてよかった。アサシンやら忍者やらを思わせる彼女の面妖な身のこなしは、相手に動きを悟らせず、攪乱させるのに適している。
トガの身体さばきを模倣し、治崎の地形変形による攻撃をかいくぐって・・・強子は奴へと、確実に距離を詰めていく。


「アンタの野望を、私がぶち壊してやる!」


これ以上、治崎にエリを利用させてたまるか。
もう、エリに つらい思いをさせやしない。
この先、誰ひとりとして、犠牲を出してなるものか!
奮い立つ強子を見て、治崎は鬱陶しげに眉をひそめた。


「“個性”なんてものがあるから、お前たちはそうやって勘違いをする!自分が何者かに“なれる”と・・・!」

「なら、そう言うアンタはどうなの!“個性”を壊すクスリで、人類の進化に逆らって・・・神様にでもなったつもり!?」

「俺はただ 人類を“正常”に戻してやるだけさ!これは治療なんだ!」


怒鳴るように言い合いながらも、二人の距離はどんどん縮まって・・・ついに、強子が治崎のふところへと潜り込んだ。
そこまで近づけば、4本もある治崎のごつい腕が、強子を捕らえようとグワッと荒々しく振り下ろされる。


「俺の邪魔をっ、するな!!」


だけど強子はひるまない。ひるんでる場合じゃない。
そもそも、ひるむ必要はないんだ―――たとえ強子が邪魔をしなくとも、


「お前は“ヒーロー”に負ける!!私にはその未来が 見えてんだッ!!」


振り下ろされた治崎の腕―――その1本を、膝で蹴り上げて骨折させる。もう1本は、両腕で掴んでバキッとへし折る。残す2本は、身体をよじって躱すと・・・彼女はそのまま片足を振り上げ、治崎の顎下を思いっきり蹴り上げた。


「っ・・・!!」


脳天を揺さぶる打撃が入った。ふらりと、奴の身体が傾く。しかし、治崎は倒れながら、折れていない腕を強子に向けて伸ばしてきたので、即座に奴と距離をとる。
その離れた一瞬の隙に、己の頭部と折られた腕のダメージを“修復”し・・・治崎は、攻撃を受ける前と変わらぬピンピンした様子で、再び強子を見据えた。
『オーバーホール』のチートぶりを目の当たりにして、強子の顔が引きつった。


「・・・何それ ずっるい。個性を消してやるって言うわりに、個性に頼りすぎなんじゃないの?」


敵の強さを改めて実感し、冷や汗をかきながら、強子は悔しまぎれに吐き捨てる。


「そんなに個性を消したいなら、まずはアンタ自身の個性から消したらどう?」

「・・・死柄木がお前を殺したがる理由がわかったよ。お前と話してると、気分が悪くなる・・・!」


奴が地面に手をつく動作を見せる・・・が、どうする!?こんな、ヒットアンドアウェイで せこせこダメージを稼ぐ方法では、治崎を倒しようがないぞ!


「――― デク!!!」


唐突に、ナイトアイの発した大声が響き渡り、強子はびくりと肩を震わせた。


「ビヨンドに 加勢しろ!ここで治崎と・・・ケリをつけるぞ!!」


ナイトアイの言葉に、強子がハッと目を見開いた。
耳を疑う言葉だった。だって・・・彼は、もう、治崎に負ける未来を見ているはずだろう?ナイトアイも、緑谷も、もしかしたら強子さえも、みんなが治崎に殺されて、治崎が逃げおおせる未来を・・・。
その未来を見ていながら、「ケリをつける」という強気な宣言―――それって、つまり・・・


「(未来を、変える気になったってこと・・・!?)」


彼のとった行動に、彼の心境の変化を感じ取って・・・嬉しさと、期待に、強子の胸が熱くなった。


「さあ、行くぞ 二人とも!!」

「「はいっ!」」


ナイトアイのかけ声を合図に、三人が一斉に動く。
今まで 強子一人で治崎と戦っていたところに、ナイトアイと緑谷の二人が加勢し、一緒に戦ってくれる・・・それが、こんなにも心強いとは!
ナイトアイが『予知』を発動させながら、超質量印を武器に治崎の手数を封じる。
緑谷がフルカウルを発動させながら、お得意の小賢しい手法で治崎を追い詰めていく。
強子も、先程よりずっと冷静に、視野ひろく動いて、治崎の隙を突いていた。
しかし・・・治崎も そう簡単には決着をつけさせてくれない。
ナイトアイの攻撃も、緑谷の攻撃も、強子の攻撃も・・・どれも決定打にかけるのだ。どれだけ奴にダメージを与え、奴の体力を削ろうとも、“修復”されては、振り出しに戻ってしまう。


「駄目だっ、ダメージを稼いでも修復される!一撃で決めないと!!」

「パワーなら そっちが“上”でしょ!?」


トゲトゲ攻撃を避けながら、わかりきったことを言い出した緑谷に、「お前がやれ」と強子は言外に示す。強子の知っている“未来”で、治崎を倒したのは緑谷――お前なんだから。頼むよ!
そして強子は、緑谷が暴れやすくなるようにと治崎に連続攻撃をしかけ、奴の意識を強子に集中させる。
つかみどころない強子の動きに、治崎はイラついた様子を見せた。


「お前らのような、現代病にかかった奴らをっ・・・壊理の力で、治してやるんだ!!」


奴の動きを見て、強子は一つの確信を得た。
治崎と戦っている間に気づいたことだが・・・奴は感情が昂ると、動作が大きくなるようだ。
ならば、と強子はニヤリと口を歪ませ、治崎を見据えた。


「そうやって、あんな小さい女の子の個性に頼るなんて・・・そんな情けない奴に いったい誰が付いてくる?ねえ、若頭さん!?」


治崎を―――煽る。
“煽り”に関しちゃ、普段から煽り 煽られを繰り返す強子には、腕に覚えがあった。


「組のトップがこれじゃあなァ・・・八斎會、終わったな」

「・・・お望みどおり、まずはお前から殺してやるッ!!」


治崎が、大きく腕を振りかぶる―――その瞬間、緑谷は攻撃を回避しつつ高くジャンプして天井に達すると、天井を足場にぐっと踏みしめ、勢いよく蹴って治崎に向かった。彼が片足を高く上げて繰り出すのは、脳天一撃の マンチェスタースマッシュだ!!
彼の一撃が降りそそぐ直前、強子はバックステップで治崎から距離をとった。


「いくら速かろうが、」

「「「!」」」


強子の煽りで、冷静さを欠いてると思ったのに、強子に意識を集中させていると思ったのに・・・存外、治崎は冷静で、


「他の連中より、動きの“線”が素直で見えやすい」


緑谷の攻撃が躱された。そして、彼の足が地に着く前に、治崎の手が、割れた地面のブロックに触れる―――


「っ・・・デク!!」


治崎の手元に巨大なトゲが構築されていくのをスロー再生で見ながら・・・強子は察する。あのサイズのトゲじゃ、地に足がつかない空中で緑谷が避けるのは、不可能だと。
焦った強子は、慌てて緑谷へと手を伸ばす。


「・・・ヒーロー気取りのお前なら、当然 そう来るよな」


治崎は強子のとる行動を、勝利を確信したような顔で見ている。
緑谷に手を伸ばし、強子が彼の身体を突きとばす―――それを確認してから、治崎は手元のトゲを放った。トゲの先端が狙う先は・・・強子だ。


「っ!!」


咄嗟に、身体をくにゃりと猫のようにしならせれば、トゲの先端は強子の横腹をかすった。
ギリギリ回避できたことにホッとしながら、強子が体勢を整えようと足を踏みしめると、ふわっと・・・本日何度目かの浮遊感を味わう。


「っ!!?」


驚いて足元に視線を落とすと、強子が足をついた場所――その場所だけ、地面がぼろぼろと 土クズのように崩落していく。強子の足元だけ、地面がなくなっていく。


「(治崎っ!いつの間に地面を分解して・・・!?)」


気づいたときには、強子の周囲に、半径1メートルほどの穴がぽっかりと空いていた。
バランスを崩した体勢の強子では、穴のふちまで手が届かない。他に掴めるものもない。このまま、階下に落ちていくしかない・・・っ!


「ビヨンド!!」


落下していく強子に、焦ったような声が届く。
ふと見上げれば、穴へ落ちゆく強子に向け、ナイトアイが手を伸ばしていた。考えるまでもなく、その手をつかもうと 瞬時に強子も腕を伸ばして・・・


―――ドシュ。


彼の腕をつかむ・・・その直前だった。強子に手を差しのべたナイトアイの背後から、鋭利なトゲが 彼の腹部を突きやぶったのは。


「(えっ―――・・・)」


トゲに貫かれた拍子に、ナイトアイが吐血する。
唖然とする強子の頬に、彼の血がピシャリとかかった。
温みのあるそれを肌で感じ・・・目の前の、悪夢みたいなこの光景が現実なんだと理解して、強子の顔がみるみる歪んでいく。


「(あぁ、そんな・・・―――)」


悪夢のような光景を見てられなくて、きゅ と目を細める。
どっと押し寄せる悔恨に目の奥が熱くなって、くしゃりと眉間にしわを寄せる。
胸が苦しくなるほどのやるせない思いに、ぎりっと奥歯を噛みしめる。


「(―――変えられなかったんだ)」


こうなる結末を、どうにかして 変えたかった。
ナイトアイに、“本来の物語”のとおりになってほしくなかった。


「(この“未来”を、ねじ曲げたかったはずなのに・・・)」


見た未来とまったく異なる行動をとっても、長くて数分の後、帳尻を合わせるように元の流れに戻る。余分なカットを挟みこむだけで、そこから未来が分岐することはない―――彼の、言う通りになってしまった。
未来をねじ曲げようとしたところで、強子にいったい何が出来た?
相澤がクロノの個性にやられないよう妨害してみたって、結局は先延ばししただけで、クロノの針は相澤を貫いた。
ナイトアイがトゲに貫かれないよう妨害してみたって、結局はほら、目の前で惨劇が起きてるじゃないか。


「(やっぱり、私の知ってる“未来”は、変えられないの・・・?)」


思い描いていたビジョンが 崩れていく。強く望んだ明るい未来が、壊れていく。
ナイトアイの痛ましい姿から目をそらせぬまま、ただただ強子は、重力にしたがって落ちていく―――その情景をスローモーションのように眺めていると・・・ふいに彼が、ふっと小さく笑った。


「!」


やめてくれ・・・そんな顔、しないでくれ。
眉を下げ、失意にのまれた顔で笑む彼は、“やはり、こうなった”とでも言いたげで・・・己の“終わり”をさとった顔で、すべてを諦めて、すんなりと 受け入れてしまっているじゃないか。


「(―――ごめんなさい、ナイトアイ・・・)」


一度は、彼も、未来を変えられるかもと考えてくれたのに。未来を変えてみようと、もがいてくれたのに・・・。
彼に淡い期待を芽生えさせておきながら、その期待を 強子自らが砕いただなんて・・・私は なんて酷い仕打ちをしてしまったんだろう。
こんな・・・こんなはずじゃ、なかった。


「(私は、あなたの為になりたくて ここに来たのに・・・!)」


そうして、絶望を突きつけられた強子の中にふつふつと沸き上がるのは、純度の高い怒りの感情。頭に血が上り、激情に駆られる。
許しがたい、殺してやりたくなるほどの、途方もない怒りの感情。


「っ、治崎ィイイ!!!」


猛り狂うような強子の叫びが響き渡る。


「諦めろ、俺の言った通りになるだけだ―――“全員死ぬ”」


その知ったような口ぶりに、カッとさらに激昂する。
だが、階下へ落ちゆく強子には、治崎に一矢報いるどころか、重力に従って落下するほか何も出来ない。
それでも、何かしなくてはと、どうにか出来ないかと思考をめぐらす彼女の背に、ザクリと何かが突き刺さる。


「ようやく アンタを刺せた」

「(クロノッ!?)」


奴の針に刺された瞬間、落下していた強子の動きがカチリと、時が止まったかと思うほど遅くなる。
こんなときに、一番厄介な個性を食らってしまうなんて・・・。あげくに、治崎が再び地形変形させ、強子の落とされた穴が閉じられていく。
強子の視界から、ナイトアイの痛ましい姿が遠ざかっていく・・・強子の 手の届かないところに行ってしまう・・・!
ついに穴が塞がる、その直前、


「・・・そんなことはさせない!そう決まっていたとしても!―――その未来を ねじ曲げる!!」


強子の耳に届いたのは、緑谷の声。
せめて、どうか・・・彼が、治崎を思いっきりぶん殴る未来だけは、変わることがありませんように。
ゆっくり、ゆっくりと階下へ下りていく彼女は、じわりと濡れる瞳を瞬きもせず、ただただ祈った。










地面に横たわる強子が、睨むように見つめている天井――その上では、緑谷が治崎と熾烈な戦いを繰り広げているのだろう。断続的に大きな衝撃音が響き、強子の睨んでいる天井にまで振動が伝わってきていた。
ああ、なんて、もどかしい!本当は、強子は、こんなところで横たわっている場合じゃないのに・・・!
カタツムリ並みの速さでしか動けないせいか、時間の流れが、ものすごく遅く感じる。


「・・・・・・長い」


ぽつりと、クロノが呟いた。
そして、何やら思案すると表情を険しくし、懐からスッと小刀を取り出した。


「どうやら、アンタらの世話をしてる余裕なんて無かったようだ」


あわよくば相澤と強子を利用しようと考えていたはずだが・・・治崎が手こずっている事実に、それどころじゃないと、クロノはそう決断したようだ。
天井を見ていた強子の視界に、小刀を掴むクロノが入り込む。


「悪いが、ここで死んでもらう」


淡々とした声でそう告げると、クロノは小刀の刃先を強子に向け、振り下ろす―――その腕に ドスッと何か鋭利なものが突き刺さった。


「玄野(クロノ)だな!動いてろ・・・お前の発動条件は把握してる!」


強い口調で言い放ったのは、天喰だった。
彼が腕に『発現』させているのは、カジキである。クロノの腕に突き刺さったのはカジキマグロの鋭いツノであり、そのカジキをビチビチと絶えず動かし続けることで、クロノに個性を使わせない。
それから、彼の背後には、


「警察だ!!」
「抵抗は無駄だ!」


大勢の警官たちが拳銃を構えている。
多勢に無勢。この状況を打開するすべもなく、クロノは警察に拘束された。
その傍らで、


「身能さんっ!」


倒れている強子のもとへ、天喰が慌てて駆けよってきた。
強子の横にしゃがみ込んだ彼は、強子の横腹から 血がとめどなく流れ出ているのを見やり、顔をくしゃりと辛そうにしかめた。そして、少し怒ったような顔になって強子と目を合わせた。


「怪我、してるじゃないかっ!早く治さないと!!治癒強化は!?」

「・・・ぁ、たっ・・・・・・」


天喰に答えようと口を開いた強子だったが、しかし・・・まだクロノの個性が効いていて、喋るための口もまわらない。


「!そうか・・・クロノの個性で、治癒強化も遅らされてるのか!」


瞬時に理解すると、彼は、近くで横たわっていた相澤の元へと走る。強子と同じく クロノの個性のせいでカタツムリ状態の相澤を抱え起こすと、彼の目隠しを外し、顔を強子のほうへと向けた。
相澤の目がギン、と強子をとらえて、たちまち 強子がピョンと飛び起きた。そして、


「ありがとうございましたっ!」

「・・・え、」


礼を述べながら、ヒュンッと音が鳴りそうなほどの機敏な動きで、彼らの横をダッシュで通り過ぎていく強子。


「ちょっ、身能さん!どこに行く気だ!?」


天喰が、慌てて彼女の腕を掴んで引きとめた。
動けるようになった途端に、たった一人で、そんな大怪我でどうするつもりだ!?と 狼狽する天喰だったが―――振り返った彼女は・・・治崎にやられた横腹の傷も、クロノに刺された背中の傷も、すでに元通りに回復していた。いつの間に・・・と、天喰は目を瞬く。
怪我ひとつない 万全な強子は、引きとめてくれるなと言わんばかりに、目をつり上げて天喰を睨んだ。


「そんなの、決まってるでしょ!治崎の 負けっ面を拝みに行くんですよ!!」

「えぇ・・・」


遠くで鳴り響く音を聞くかぎり、たぶん、まだ緑谷は戦っている。でも、きっと、もうすぐ決着がつく。緑谷が、治崎を倒してくれる。
それをこの目で見なければ・・・強子のこの煮えたぎる感情がスッキリしないのだ。いや、倒れた治崎をさらに強子もぶん殴ってやらなきゃ、気が済まない。


「ビヨンドちゃん!先輩!!良かった、みんな無事!?」


蛙吹の呼びかけに、ハッとそちらを振り向いた。


「フロッピー!!」


ぴょんこぴょんこと駆け寄ってきた彼女は、ナイトアイの指示で通形を探しに来たらしい。
通形なら、地下通路で倒れていたところを天喰が運んできていた。意識はないが、大事には至らないだろう。


「ケロケロさん、そっちは?」

「デクちゃんが・・・っ、こっちへ来て!」


強子たちは蛙吹に案内され、さっきまで治崎と戦っていた場所へと戻ってきた。
しかし、ここはまだ地下だ。治崎も、緑谷とエリも、彼らがいるのは地上・・・いや、今や“上空”にいる。強子の手の届くところではないのだ。


「何人か動けそうね――― 乗って!!上まで運ぶわ!」

「!」


竜化したリューキュウが、乗りやすいようにと姿勢を低くする。
それを見た強子が、真っ先にリューキュウの背に飛び乗った。
天喰は通形を抱えているし、蛙吹は相澤を抱えているけど・・・強子は負傷者を抱えてないし、ピンピンしているので、ここは強子が適任だろう。
強子に次いで、何人かの警官もリューキュウの背中に乗ると・・・彼女の大きな比翼がバサリと広げられ、ブワっと身体が上空に持ち上がる。
リューキュウは、ぽっかりと大穴が開いた天井から地上へとよじ登りながら、先に上がってきていた麗日に「状況は!?」と短く問う。


「ナイトアイは後方にいます!周辺住民には避難を呼びかけました!治崎はデクくんが・・・!」


そう答える麗日は、気絶している治崎をガンヘッド・マーシャル・アーツで取り押さえていた。
よかった―――これは、強子の知っている通りの未来。強子の知る通り、緑谷が治崎をぶん殴って倒したのだ。
満身創痍で 白目をむいて倒れている治崎を見て、少しだけスカッとした。


「―――・・・けど、様子がおかしい!」


麗日の話を聞きながら視線をやると、エリを背負っている緑谷も、緑谷に背負われているエリも・・・双方、苦しそうにうずくまり、身動きをとれずにいた。


「デクくんが超パワーで倒してから、急に苦しみ出して・・・!」

「(エリちゃんの力が、暴走してるんだ・・・!)」


エリの額にある“ツノ”から、びりびりと 途方もないエネルギーが放出されているのを肌で感じる。
彼女は、個性の使い方も、止め方もわからず・・・ベタ踏みで力を発動しているのだ。そして、個性を発動する彼女自身があんなにも苦しむということは、個性の許容限界を超えてるんじゃないだろうか・・・。
今すぐに止めさせないと!
しかし、止め方を本人がわからないとなると・・・相澤の『末梢』を頼るしかない。


「・・・っ!!」


相澤を頼ろうと背後を振り返った強子が、絶句する。


「(相澤先生・・・まだ、地下じゃん!!)」


リューキュウが地上に優先して運んできたのは 身動き可能な者であり、負傷した相澤はまだ地下に居残っていた。
そのリューキュウは、活瓶にさんざん活力を奪われたせいでヘトヘトな様子。もう地上と地下の往来は厳しいだろうから、彼女に相澤を運んでもらうのは無理。
でも・・・早くしないと、緑谷が“巻き戻される”。
それ以上に・・・痛いのか、苦しいのか、悲しいのか・・・涙で顔をぐしゃぐしゃにしているエリを、放っておけない。
ならば―――


「(私の150パーセントでっ・・・)」


触れると・・・いや 触れずとも、近づくだけでも“巻き戻し”させられる エリの個性。
緑谷が 超パワーで“全身を破壊し続ける”ことで彼女と接触できたのなら・・・強子は、“全身を強化し続ける”ことで、彼女に接触できるかもしれない。


「エリちゃんっ!!!」


地を蹴って加速し、突進するかのような勢いで彼女に駆け寄ると・・・意識を失いかけ、もはや自我もおぼろげなエリが、それでも救けを求めるように、強子に向けてその小さな手を伸ばした。
その、弱々しい姿が―――かつての“私”と重なって見えた。
怖くて、痛くて、不安でたまらなくて・・・藁にもすがる思いで、救けを懇願するよう腕を伸ばした、あの瞬間を思い出す。
あのときは、誰も、“私”の腕をとってはくれなかった・・・けど!


「もう、大丈夫っ・・・!」


強子も手を伸ばし、救けを求める小さな手をしっかりと握る。そして、彼女の小さな体を ぎゅうと抱き上げた。
途端に強子に襲い来る、体の内側からびりびりと引きちぎられるような感覚に、思わず「う゛っ」と声が漏れる。


「(これは・・・150パーセントじゃ、無理だ・・・!!)」


彼女を緑谷から引き離している間にも、強子がどんどん“巻き戻し”されていくのがわかる。
・・・このまま猿にまで戻されるとか、消滅なんてさせられるなんてのは、御免だぞ!?


「こうなりゃ、超秘っ・・・200パーセント!!!」


強子の100%(馬鹿力)の、さらに倍増しの超パワーだ!
・・・ただし、これを発揮すると、強子の身体が追いついてこないのか・・・筋肉も神経もブッチブチに切れて、骨もバッキバキに割れる、諸刃の剣であった。
だけど、今は・・・


「っ、痛くない!!」


痛みから解放された“超パワー”状態に、強子はニカッと笑う。なるほど、緑谷が“優しい個性”と言い表すのも納得である。
とはいえ・・・首の皮が一枚つながった状態なのに変わりない。急いで地下にいる相澤の目が届くところに、エリを連れていかなくちゃ。
すぐさまダッと駆け出した強子は、力加減ができず、地面を勢いよく蹴りすぎて・・・大穴を軽々と通り越してしまうほどの大ジャンプをしていた。


「!!?」


痛恨のミス!!まさか こんなに跳ぶとは!きっと、初めて月面に下り立った人たちも 同じような気持ちだったんだろう・・・なんて言ってる場合じゃないぞ!?


「せ、先生ぇぇえ!!」


困ったときの イレイザー・ヘッド。
大穴の上空を飛びながら強子が大声を発すれば、蛙吹が機転を利かせ、自力で動けずにいる相澤の顔をこちらに向けた。
瞬間―――フッ と、エリの角から発せられていたエネルギー放出が止まった。同時に、全身こわばっていた彼女の力が抜け、かくりと気を失う。
エリの個性を止めた『末梢』は、強子にも作用しており・・・200%ではなくなった彼女は、いつもの安定したパワーで しゅたっと地面に降り立った。


「(・・・お、終わった?)」


そっと視線を落とせば、強子の腕の中には、確かにエリがいる。気を失ってはいるけど・・・彼女の温もりと、彼女の息遣いを感じ取って、強子はほっと息をついた。


「・・・・・・終わったんだ」


一人の少女を救けるための戦いが、幕を閉じた―――大勢の人間が強く望み、奮闘して・・・決して少なくない犠牲を払い、ようやく叶えられた “未来”であった。










==========

もっと夢主に暴れさせてやりたかったのですが・・・相手が強すぎました。ガッツリ近接型の夢主では、オバホ相手にこれ以上の活躍は無理でした。
結果として、夢主のフラストレーションがより一層たまったような気がしてます・・・。
頑張れ、夢主!負けるな、夢主!!


[ 73/100 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -