欠員につき、閑寂モード

「・・・さて!腹もふくれた、皿も洗った!お次は・・・」

「肝を試す時間だー!!」


合宿三日目。
本日も過酷なトレーニングに耐え、夕食も終えた我々は、クラス対抗の肝試しをするべく集まっていた。


「その前に、大変心苦しいが、補習連中は・・・これから俺と補習授業だ」

「ウ ソ だ ろ」


この世の終わりのような顔で相澤に引きずられていく芦戸たち5人を、強子は合掌して見送った。
残るA組の16人は、二人一組となるよう くじ引きを行ったのだが―――強子が引いた番号は8番。最終出発の番号である。
強子のペアとなるのは・・・


「よ、よろしくね!身能さん!」


はにかんだ顔で強子に声をかけてきた緑谷に、強子もよろしくと返す。


「(こうなったか・・・)」


くじという、完全に運まかせなペア決めだが―――何か、因果めいたものというか、宿命のようなものを感じずにはいられない。
本来であれば、奇数人数で肝試しを決行するため、緑谷は一人となるはずだった。その、緑谷のペアという空白の席に、強子というイレギュラーな存在が割り当てられたのだから。
他のどのペアにも、強子の入る余地はないということか。
しかし・・・これは好都合かもしれない。
緑谷はこの後、洸汰を救けるために一人で行動し、マスキュラーという恐ろしいヴィランと会敵することになる。
強子が緑谷と一緒に行動することで、きっと、緑谷の手助けをできるはずだ。


「おいデク・・・代われ・・・!」

「えっ!?」


イライラした様子の爆豪が、彼のペアである轟を指さしながら緑谷へと近づいた。どうせ、轟とペアを組むのが気に入らないとか文句を言うんだろう。
しかし、幼なじみの緑谷の解釈は違った。


「かっちゃん、そんなに身能さんと組みたいの!?」

「あ、そうなの?」

「ちっっっげぇわ!!」


緑谷が信じがたいことを口にするので驚いて爆豪を見たが、すぐさま怒鳴るように否定された。
そのやり取りを見ていた轟が、何か思いついたようで、こちらは強子へと歩み寄る。


「身能、爆豪と代わってくれ・・・こいつ、俺と組むのは嫌だっつーから」


いや、それ・・・強子が交換すると、爆豪&緑谷という 最悪なペアが出来ちゃうんですけど。爆豪的には、轟と組むよりも嫌がるだろう。
っていうか、強子も緑谷も交換したら、結局ペアが変わらないことになるんですが。
勝手なことを言うトップ2と、どうしたらいいのかと困っている緑谷を見やり・・・やれやれとため息をもらす。


「ダメです!私は、デクくんと組むの」


言いながら、強子は緑谷の腕に、するりと自分の腕を絡める。


「くじ引きで公平に振り分けたメンバーでしょ?あきらめなさい」


フン、と煽るように笑みを向ければトップ2の体がピクリと不自然に固まった。
同時に、緑谷も固まったのでちらりと顔色を伺うと、可哀そうなくらい真っ赤になっている・・・かと思いきやトップ2を視界に入れて、生気の感じられない青白い顔になった。


「ズリィぞ緑谷ぁ!身能っ、俺にも腕からめてオッパイ押し付けてくれよォ!」


這いよってくる峰田は、顔を足蹴にして食い止めつつ・・・爆豪と轟の二人をじっと見つめた。
それから強子は、ニコリと笑みを浮かべる。


「二人は二人で、頑張って!爆豪くんと轟くんなら、大丈夫でしょ」


肝試しが始まってしまえば、この先―――お互いどうなるかわからない。
それでも・・・何度も受難を乗り越えてきた我々ならば大丈夫だと、信じよう。










楽しい時間が過ぎるのはあっという間だ。
そして、とうとう恐れていた事件が起こる。それは、広場で肝試しの順番を待っている時だった。
こげ臭さが鼻につき、あたりを見回すと黒煙があがっていることに気づく。
さらに、こげ臭さの中に、嗅ぎなれない何者かの匂いを嗅ぎとり・・・はっとして、すぐ近くにいたピクシーボブを見た。


「わっ、何!?」


彼女の体が浮かび上がって、引き寄せられるように飛ばされる。飛ばされる直前、強子は咄嗟にピクシーボブの腕を掴んだ。


「ちょっ、君!?」


強子の行動に目を見開くピクシーボブとともに、勢いよく飛ばされていく。その先に、二人のヴィラン・・・スピナーとマグネの姿を視認する。
ピクシーボブを引き寄せているのはマグネの個性で、近づいたら攻撃を加えるつもりなのだ。
しかし、遠距離もちのピクシーボブがやられると、こちら側のアドバンテージが一気に削られる。彼女を守らなくては!
奴らとの距離がゼロになる直前―――強子が飛び出して、マグネへと殴りかかる。
けれど、強子の手がマグネに届く前に、ノーマークだったスピナーに強子の首をぐわしっと掴まれ、地面に叩きつけられた。


「ぐっ・・・!」


後頭部を強く打ち付け、ぼやける視界の中・・・マグネが、自身の武器をピクシーボブへと振り下ろすのが見えた。それ以降、彼女の動く気配がない。おそらく気絶してたのだろう。
そうならないよう、強子は飛び出したというのに。


「(クソ!守れなかった・・・!)」

「自分の身もかえりみず、他者を気にかけるとは・・・」


強子の首をしめたままじっと見下ろしてくるスピナーに焦点をあわせる。


「やはり、ステインが認めただけのことはある」

「(は!?)」


首を絞められていなければ、思わず聞き返していただろう。
息ができず、意識を手放しそうになった瞬間、スピナーの手が離れた。咳き込むようにして酸素を取りこむ強子をしり目に、スピナーは広場に声を張り上げた。


「ご機嫌よろしゅう、雄英高校!我らヴィラン連合――開闢行動隊!!」

「ヴィラン連合・・・!?何でここに・・・!」

「何でヴィランがいるんだよ!!万全を期したハズじゃあ・・・!?」


ひっ迫した空気の中、虎とマンダレイはヴィランを警戒し、ピクシーボブと強子に近づけずにいる。


「あら、飼い猫ちゃんにオマケが付いてきたと思えば、“ターゲット”の一人じゃないの!自分から飛んでくるなんて、わざわざ見つけて捕まえる手間が省けたわ。連れていきましょ」

「!?」


マグネの言葉に目を見開く。その話しぶり・・・強子も、爆豪と同じように、誘拐対象ということか!?


「こっちの飼い猫ちゃんには、もう用はないわね。この子の頭・・・潰しちゃっていいかしら?」

「させぬわ このっ・・・」

「待て待て!早まるなマグ姉!虎もだ、落ち着け・・・生殺与奪は全て、ステインの仰る主張に沿うか否か!!」


スピナーの言い分に、混乱するばかりだ。
緑谷や飯田の話では、ステインは強子を殺そうとしていたのでは?であれば、スピナーは強子を殺そうとするはず。
・・・いや、違うな。
ステインは「身能 強子は、命を狙われている」と言ったんだ。ステイン自身が強子を殺すとは、言ってない!
―――では、なぜ強子を拐う?
ステインはすでに逮捕されているから、関係ない。ヴィラン連合の司令塔は、死柄木・・・奴が、強子を連れ帰るように指示したのか?でも、なんで!?


「何でもいいがなぁ貴様ら!その女・・・ピクシーボブは最近婚期を気にし始めててなぁ。女の幸せ掴もうって、いい歳して頑張ってたんだよ」


そちらを見ずとも、虎の憤りが空気を通して肌に伝わってくる。
女を捨てて男になった虎は・・・きっと、自分には叶えられなかった“女の幸せ”ってものを、仲間には叶えてほしいのだろう。


「そんな女の顔キズモノにして、男がヘラヘラ語ってんじゃあないよ!!」

「ヒーローが 人並みの幸せを夢見るか!!」


一触即発。虎とスピナーの怒声が響くと同時、広場は戦場に変わった。
虎とマグネが、マンダレイとスピナーが 交戦を始める。
プロと手練れヴィランの戦いに圧倒されていた強子だが、すぐさま我に返ると、ここから離れなくてはと立ち上がる。


「こら、逃がさないわよっ!」


強子の動きに気づいたマグネが、肉弾戦を繰り広げていた虎の猛襲をかいくぐり、強子に向かって急接近してくる。


「(まずいっ!)」


強子はまだ先ほどの酸欠を引きずっており、回避したくても体に力が入らない。
強子に明らかに攻撃を加えようとしているマグネの腕が、強子に届く―――


「っさせて、たまるかァ!!」

「!?」

「何!?速いっ!」


ぐんと強子の体が引っ張られ、マグネから引き離される。強子を抱え、凄まじいスピードで走るその人は、


「飯田くん!」


彼の個性“エンジン”でさらに加速すると、尾白や峰田、口田が集まっている場所まで強子を連れ戻した。
振り返ると、マグネは虎に足止めされて、もう強子を追う余裕はなさそうだ。


「よし!身能を回収したな!?」

「みんな、行って!!良い?決して戦闘はしない事!委員長 引率!」

「承知いたしました!行こう!」


マンダレイたちの指示を受けて、すぐさまそこを離れる。
強子も飯田におろしてもらい、彼らとともに足早に施設へと向かうが、ふと あることに気づく。


「・・・デクくんは!?」


慌てて周りを見回すが、どこにも緑谷はいない。


「緑谷くんは、マンダレイの従甥のところへ向かった」

「一人で!?」

「ああ。俺たちも止めたのだが・・・」


うん・・・止めて、止まるような男じゃないよなぁ、アイツは。
やはり彼は洸汰のところへ行ってしまったのか。そこに強子が入り込む余地も与えずに。
敵は、強い。緑谷ひとりで、本当に大丈夫なのだろうか・・・。


「だ、大丈夫だろ!緑谷は、前と違ってすげぇ速さで走れんだぜ!?一人ならヴィランの目にもつきにくいし・・・あのガキ見つけて すぐ戻ってくるって!なっ?」


不安げに後ろを振り返っている強子を見て、峰田が元気づけるように言う。


「俺たちはマンダレイの指示どおり施設に行って、早く先生たちと合流したほうがいい。身能さんはとくに、奴らに狙われてるみたいだし・・・」


緊張したような面持ちで尾白が言うと、口田もこくこくと必死に頷く。
強子が緑谷の身を案じるように、ここにいる彼らも、ヴィランに狙われている強子の身を案じている。彼女を、一刻も早く、安全なところへ連れて帰らなくてはと。


「うん、そうだね―――戻ろう」


奴らの標的である以上、強子が無駄に動きまわるのはリスクでしかない。
爆豪ひとりが拐われてあれだけの大事件だと言うのに、もし、強子まで拐われたとなれば、もう雄英はおしまいだ。
自分にも出来ることがあるかも なんて思っていたけれど―――ここから先は、強子の出る幕じゃないってことなんだろう。


「(みんな・・・頼むから、うまくやってくれよ)」


暗い闇夜でちりぢりになっている、A組とB組の皆。まだ子供で、学生の身分だけど・・・彼らの強さは 本物だ。
今ごろヴィランと会敵しているだろう各々を思い浮かべた強子は、血が滲むほど手を握りしめながら、一心に 彼らの無事を祈った。







『A組B組 総員―――プロヒーロー イレイザーヘッドの名において・・・戦闘を 許可する!!』


マンダレイからそのテレパスが届いたのは、ちょうど強子たちが施設にたどり着き ブラドキングや補習組と合流したときだった。


「お前たち、無事だったか!!」


安堵した表情で部屋に迎え入れたブラドキングへ、飯田が代表して 戦線の現状を報告していると、補習組の芦戸や切島たちが強子を取り囲んだ。


「強子!よかったぁ・・・無事だったんだね」

「ヴィランに狙われてるって聞いて心配したぜ!」

「他の皆は!?外はどうなってんだ!?」


先ほどスピナーやマグネと相対していた際、ヴィランが現れたこと、そして強子が狙われていることも、マンダレイがテレパスで皆に伝えていたらしい。強子は奴らから逃げることに必死で聞いていなかったけど。


『ヴィランの狙い もう一つが判明!生徒の「かっちゃん」!!』


戦闘許可に続き新たなテレパスが届いて、室内に再び緊張が走る。


「爆豪・・・!?」


その知らせを聞いた強子は、相反する二つの感情にさいなまれる。
一つは、緑谷が無事であることに対する喜び。爆豪がヴィランの標的だとマンダレイが知っているということは、緑谷がマスキュラーに打ち勝って、マンダレイに情報を伝えたということだ。
これなら、洸汰も無事に救出できているだろう。強子の知る展開の通りに進んでいるようで、ひと安心である。
そして、もう一つは・・・強子の知る展開の通り、爆豪が狙われていることに対する 失望。


『少なくとも「かっちゃん」と身能は ヴィランに狙われてる!二人ともなるべく戦闘は避けて!単独では動かないこと!!』


・・・ああ、まただ。ヴィランに狙われる感覚。悪意を自分に向けられている感覚。ああ、もう・・・気分が悪い―――
けど、それ以上に、今の彼女の心を占めているのは、


「(ムカつく・・・)」


内側からふつふつと沸きあがる、怒りの感情。
強子がヴィランの標的だ?身勝手なヴィランどもに振り回され、こちらは行動を制限され、まわりから気遣うような視線を向けられて。楽しい林間合宿は一瞬にして おじゃんになってしまったし・・・強子は何も悪くないというのに、どうしてこうなった?
ヴィラン連合のやらかした事を冷静に考えてみると、だんだん腹が立ってきた。
そのとき、強子の耳にけたたましい声が響いた。


「ダチが狙われてんだ!頼みます!行かせてください!!」

「ダメだ!」


切島がブラドキングに申し出たが、却下される。
切島だけではない、普段は聞き分けのいい飯田も、いてもたってもいられぬようでブラドキングに詰め寄っている。


「ヴィランの数が不明ならば戦力は少しでも多い方が!」

「戦えって!相澤先生も言ってたでしょ!!」

「ありゃ 自衛のためだ。皆がここへ戻れるようにな」


ブラドキングは部屋から誰も出そうとせず、部屋の扉の前に陣どっている。
彼の行動は当然である。我々の安全のためには、ブラドキングの目の届くここに我々を留めておくのが最も合理的。
まだ外にいる他の生徒たちだって、安全地帯であるここを目指して集まってくるのだから、ここを留守にするわけにもいかない。


「切島くん、飯田くん・・・」


ブラドキングに詰め寄る二人の腕を引いて、二人と視線を合わせる。


「気持ちはわかるけど・・・ここで大人しく皆を待つべきだよ」

「しかしっ・・・」

「こんな時に!大人しく待てるわけねぇだろ!?」


強子に言われ、飯田は苦渋の表情を浮かべて葛藤をみせるが・・・切島は聞く耳もたず、熱くなってしまっている。


「爆豪や他の皆が 危ない目にあってるかもしれねえ!!何か・・・何か、あるはずなんだ!俺たちにも出来ることが!」

「勝手な行動は、ダメだって!先生にも言われたでしょう!?」

「なら!!ここで、皆が帰ってくるのをただ待つのか!?今この瞬間に、ダチがヴィランに襲われてたとしても・・・身能は知らんふりできるのかよ!」

「そうだよ!!」

「!?」


怒鳴るように肯定され、切島は驚いて言葉を失った。その隙に、強子が言葉を続ける。


「・・・悔しいけど、私たちは 今はまだ“守られる立場”なんだよ!先生たちには、私たち生徒を守る義務がある!ここにいる私たちをブラド先生が!外の皆を、ワイプシと相澤先生が!守らないと いけないの!」


相澤は、強子が施設に戻ってきたときには既にいなかった。入れ違いで、皆を保護しに出ていったらしい。


「私だって、出来るなら、今すぐに皆を救けに行きたい。そんでもって、ヴィランどもをぶっ飛ばしてやりたいよ!でも―――」


先ほど開闢行動隊の手練れどもと相対して、わかってしまった。
腹立たしいことに、今の強子程度の実力では、奴らに一矢報いることができない。
さっきは後手にまわったせいもあるし、二人同時に相手したせいもあるだろうけど・・・


「まるで歯が立たなかった・・・あいつらは“殺し”のプロで、一撃一撃が容赦なく こちらの命を削ってくる。プロヒーローじゃないとマトモに太刀打ちできないよ。USJ襲撃の時にいた奴らとは、次元が違う」


本当に腹立たしいが、奴らの実力はホンモノだ。
奴らと会敵してから 僅か一瞬で、強子の命は奴らに握られていた。飯田が救け出してくれなければ、今ごろどうなっていたか・・・考えたくもない。


「落ち着いて考えてみて。守られる側の 私たちみたいな弱者は・・・守ってくれる人の近くで、大人しく守られてるべきなんだ。“自分の身の安全を確保すること”が、今 私たちに出来る最大限なんだよ」


切島や、ここにいる他の生徒たちにも・・・危ない目にあってほしくない。
死人を出すわけにはいかない。ケガ人も出したくない。
ここにいれば安全なのだから、大人しくここにいてくれと、切に願う。守る側―――先生にとっても、生徒たちには目の届く範囲にいてほしいはず。
とくに補習組は、期末試験で、非常時の立ち回りの弱さが露呈したから赤点になったわけで・・・そんな彼らをヴィランと会敵させるのは、危険だ。


「身能・・・」


強子の必死さに、切島も何かを感じとったらしい。彼は神妙な面持ちになって口をつぐんだ。
そのとき―――部屋の外・・・廊下を歩く何者かの足音が強子の耳に届いた。


「先生!誰かが・・・こっちに来ます」


ブラドキングに知らせると、強子は廊下側の壁にぴとりと耳をつけて足音を聞き取る・・・一人分の足音。こんな事態だというのに、ずいぶんと落ち着いた足どり。
嗅覚を強化すると、


「・・・知らない人の匂いだ」


強子はトレーニングの一環で、合宿に来ている全員の匂いを一度は嗅いでいるけど・・・今ここに向かって来ている人物の匂いは、嗅いだ覚えがなかった。
強子の言葉を聞いて、ブラドキングは生徒らに部屋の後方へ下がるように指示した。強子も壁につけていた耳を離し、後方へと静かに後ずさる。
皆が下がったことを確認したブラドキングが、部屋前方にある扉の前で身構えていると・・・何者かが扉の前で止まった。
次の瞬間―――廊下から 扉を突き破り、凄まじい火炎が部屋へと流れ込んできた。


「「「!?」」」


爆発的な炎の波にブラドキングの体が包み込まれ、彼の姿が見えなくなる。


「先生!?」


残された生徒らが、目の前で燃え盛っている青い炎に唖然としていると、扉から一人の男が姿を現した。焼け焦げたように変色した皮膚をつなぎ合わせたような そいつは・・・


「(荼毘!?)」


忘れていたけれど、この男は教師の足止め目的でこの施設にやってきていたはず。
荼毘はブラドキングを囲うよう 両掌から炎を出すと、部屋の中をぐるりと見回した。
最後に、廊下側の部屋のすみにいた強子に目を留め、


「あぁ、そこにいたか」


荼毘がひとりごちる。
そして彼はすいっと視線を移すと、部屋の奥に固まっている生徒たちを見た。


「“こっち”は 要らないな」


強子がその言葉の意味を理解するより先に、荼毘の掌から、ゴォッと勢いよく炎の渦が放たれた。
切島が、飯田が、芦戸が、峰田が、尾白が、口田が、瀬呂が、砂藤が、上鳴が、そして物間が―――驚き 戸惑う彼らの姿が、彼らの悲鳴とともに、炎の海に呑み込まれた。
悪夢のようなその光景を、炎の渦の外側から見ていた強子の瞳孔が開き、考えるより先に 炎に向かって腕を伸ばす。


「みんな・・・ッ!?」


しかし、ジュウゥゥと嫌な音とともに猛烈な痛みを覚えて、反射的に腕を引き戻した。
腕に視線を落とせば、自分の腕は黒く変色しており、焦げくさい匂いを発している。
腕の神経まで焼けたのか、もう痛みも感じず、強子の腕はだらんと垂れ下がったままピクリとも動かない。
ほんの 一瞬だ。それでも、腕が焼け焦げるくらいの高火力。


「・・・お、ま えぇぇえッ!!」


強子は焼け焦げた腕を もう一方の腕で抱えながら、目尻をつり上げて荼毘を睨み付ける。
怒りのせいで、声が震える。視界が歪む。腹わたがグツグツと煮えくり返る。
こんなにも、何かに腹を立てたのは、生まれて初めてだ。


「よくも・・・」


人体が一瞬にして 焼け焦げる。炎が直撃しなくとも、呼吸をすれば肺まで焼けるほどの灼熱。そもそも酸素は取り込めず、一酸化炭素中毒で倒れるだろう。
あの高火力の炎に囲まれたら、無事ではすまない。
荼毘の個性の威力を目の当たりにしてから、ようやく理解する。
奴が「要らない」と言ったのは・・・標的である強子以外は要らないということ――つまり、強子以外の人間を排除するという意味だった。


「よくも 私の大事な人たちをっ!」


自分でも驚くほどに、怒りがこみ上げてくる。
今まで自分でも気づかなかったが・・・自分で思っている以上に、彼らの存在は、強子にとって大切なものになっていたらしい。
入学してから、前期過程を過ごすうち、ゆっくりと絆を深めてきた友人たち。
いや、入学する前から、生まれる前から、仲良くなりたいと思っていた人たち。
口うるさく過保護な彼も、セクハラざんまいな彼も、ちょっと心がアレな彼も、強子には辛辣な態度の彼さえも・・・もう、強子の日常にあるのが当然で、なくてはならない存在になっていたのだ。


「絶対、ゆるさない・・・!」


強子にとって大切な友人たちが、こうも無下に殺傷されるなんて!強子の日常を、こうも無惨に奪われるなんて!
青筋をたて 強子は今にも噛みつかんばかりに目の前の男を睨んだ。


「さすがはヒーロー志望。たった一人、片腕を失ってもヴィランに立ち向かうか・・・それで?片腕で俺を倒すつもりかよ、“ヒーロー”?」


荼毘は「ハッ」と嗤い、怒りを滾らせて威嚇する彼女を見下ろした。


「実力差を考えりゃ、ここは逃げるべきだろ。後手に回ってる時点ですでに負けてんだ。それとも、仲間をやられて冷静さを欠いたか?」


確かに、奴らの標的である強子は逃げるべきだ。強子と爆豪を捕まえることが奴らの勝利条件ならば、なおさら。
それでも・・・友だちがヴィランに襲われて、知らんふりなんか、出来るわけがなかった。


「ヒーロー育成の“最高峰”が 聞いて呆れる。けどまぁ、ヴィランの襲撃を何度も許すような杜撰な管理体制、あげくに生徒たちを奪われる弱さ―――そりゃあ雄英への信頼なんて すぐに地に堕ちるよなァ」

「黙って聞いてりゃ・・・っ」


怒りのままに、強子は力強く床を蹴って荼毘へと距離をつめ、動くほうの腕で彼に殴りかかる。


「思った通りの言動だ」


だが、強子の腕が届く前に、荼毘の掌が動いた。


「ッ うあぁああ゛!!」


動くほうの腕が炎に包まれ、ジュウジュウと炎熱に蝕まれていく。その熱さと痛みに、強子の口から悲鳴が出る。
痛みのあまりフラついた強子は、壁に寄りかかるように体重を預け、倒れることだけはどうにか堪えた。


「爆豪(あっち)は丁重に扱えと言われてるが、お前は 生きてさえいりゃどうなっても構わないから連れてこいって話だぜ」

「い゛っ・・・!」


かろうじて立っている状態の強子に歩み寄ると、乱暴に強子の髪を掴んだ荼毘。
髪を思い切り引っ張られ、強子の顔が苦痛に歪む。


「子供だからって 加減すると思うな・・・これ以上痛い思いしたくなけりゃ、大人しく従ってろ」


荼毘は強子の髪を掴んだまま、彼女を引きずるようにして部屋を出ていく。
荼毘に、ヴィラン連合に・・・連れ去られてしまう。


「―――お前こそ、」


スプリンクラーから消火するために水が放出されているが、まったく炎の勢いは弱まらず、部屋に広がった炎の勢いは止まらない。
炎に巻き込まれた皆の姿も確認できず、不吉な予感に強子の胸のざわつきも止まらない。
けれど、強子は―――


「子供だからって、舐めんな」


毅然として言い放つ。
強子も、皆も・・・まだ子供だけど、ただの子供じゃない。ヒーローの卵――そう、有精卵なのである。
志を同じくする仲間たちと、ときに競い、ときに支え合い、一致団結してきた。
強くなるためなら、血反吐を吐くような思いにも耐えてきた。
男女のアレコレなんかで青春したり 恋バナしたりと、俗な面もあるけれど、それすらも成長するための糧にしてきて、今がある。
雄英ヒーロー科の我々は、皆・・・目の前の壁を、何度だって乗り越えてきたから、今の我々があるんだよ。


「言っとくけど・・・私も、爆豪くんも―――ヴィラン風情にいいようにされるタマじゃないっ!」


あの爆豪を ヴィランの思い通りにコントロール出来ると思われているのが、最高に腹立たしくて仕方ない。
ヴィランごときに扱える程度の男ならば、奴はとうに、強子の前に膝をついているだろうよ。そんな簡単な男じゃあないんだよ、アイツは!


「もう一つ、言わせてもらうと・・・」


そして強子が見せた行動に、荼毘は瞠目する。
両腕の自由を失い、髪を掴まれ、ただ引きずられていた強子が・・・床を強く踏みしめて勢いをつけると、荼毘に思いっきり 頭突きをかましたのだ。
髪を引っ張られる力よりも強い力で、頭を押し込んでしまえ!頭突きでごり押しして、憎たらしい荼毘の手なんか はね除ける!ようするに・・・ちから技だ。
突進してくる強子の頭に押しやられ、荼毘の手指がグキッと痛々しい音をたてる。それにより、彼の顔が僅かに歪んだ。
強子がさらに踏み込めば、力負けした荼毘の体が後ろへ押しやられて、彼の背中がついに廊下の壁へと激突した。
今こそ・・・反撃する絶好のチャンス!
とはいえ強子の両腕は、荼毘に燃やされたせいで、感覚がなくピクリとも動かない。
でも―――問題はない。


「お前を倒すのに・・・」


強子は軸足を一歩後ろに引いて床を踏みしめた。そして、もう一方の足を高く振り上げる。
とっさに荼毘は、掌を再び強子に向けた。
強子に炎を浴びせるつもりだったのだろうが―――炎は、出ない。
驚いた様子の荼毘を見て、強子はすぐに“相澤が近くにいる”のだと察する。
そして強子は、迷いなく、頭上より高く上がった足を・・・


「腕なんか要らねーんだよ!!」


荼毘の脳天めがけて、かかとを振り下ろした。
ズドンとヘビー級のかかと落としを食らった衝撃で、荼毘の姿が、ドロリと崩れる。


「(やっぱり、ニセモノか・・・)」


倒した相手は、トゥワイスが個性で作り出した コピーの荼毘だ。ドロリと崩れた荼毘は、泥のようなものに姿を変えてしまった。
それを見下ろし、強子はフンと鼻を鳴らした。
腕の自由を奪ったくらいで勝った気になりやがって・・・ムカつく野郎だったぜ。


「身能!」


相澤が駆け寄ってくる。その背後には、怯えたような固い表情の洸汰もついて来ている。
彼は緑谷に救けられた後、相澤に保護されてここまで連れてこられたのだろう。見たところケガがないようで安心した。
相澤が強子の腕を見て、その眉間にシワを刻んだ。


「・・・遅くなってすまない」


申し訳なさそうにこぼした相澤に、焦ったように首を振る。相澤が来てなかったら、今ごろ強子は火だるまになっていた。完璧なタイミングで登場した彼は、さすがプロヒーローと言ったところか。


「それより先生!みんながっ!!」


ハッとすると、慌てて炎に包まれた部屋へ駆け戻ろうとした強子の肩を、相澤が掴んで引き留めた。


「みんな無事だ。ブラドが“操血”で炎から庇って、もう屋外に逃げてる」


そうか―――どうりで、部屋に人の気配がしなかったわけだ。人肉が焼ける 嫌な匂いもしなかった。
そんなことにも気づかないなんて、どうやら強子は、荼毘の言うとおり冷静さに欠けていたようだ。
なんにせよ、皆が無事とわかり、強子は心から安堵する。


「お前も 無事でいてくれて良かった」


いつになく優しい声色で、相澤が強子に告げる。と同時に、強子の足がかくりと崩れて座り込んだ。


「あ、れ・・・?」


安心したら、今になって腰が抜けたらしい。
そんな強子に、相澤は小さくため息をもらす。


「とにかく、この建物(ここ)はもう火がまわって駄目だ。外に出るぞ」


気づけば、建物全体に火の手が回っていた。先ほどまでは火災警報が鳴り響いていたはずだが、それも機能しなくなり、スプリンクラーももう動いていない。
相澤は強子を抱きあげると、外へと続く廊下を進もうとするが・・・


「火が、ここまで・・・!」


外へ続く通路を炎が阻んで、外に出られそうにない。どうするのかと相澤の顔を見やると、


「洸汰くん、頼めるか?」

「!」


驚く強子をよそに、洸汰は迷わずしっかりと頷いて、通路に広がる炎へと水を噴き出した。
彼の個性は、水を出す個性。相澤が洸汰をここまで連れてきたのは、このためだったのだ。
洸汰の活躍のおかげで、強子たちはどうにか屋外へと脱出することができた。





屋外に出て皆の様子を確認すると、皆も多少のヤケドは負っていたけれど、ブラドキングのおかげでそこまで被害は大きくなかった。
救急や消防がもうすぐ現着するらしいが、それまでの間、誰よりも重度の熱傷を負った強子に洸汰が付き添い、水を出して強子の両腕を冷やしてくれていた。


「ありがとね・・・洸汰くんには救けられてばっかりだなぁ」


宿の前のスペースに設置された、大人数が座れるような木製のテーブルと椅子。その隅っこにある椅子に腰かけ、両腕に流水をあててもらいながら、強子は洸汰に話しかけた。


「・・・別に・・・・・・」


こうして、無愛想な洸汰と向き合っていると、合宿初日の夜を思い出す。
ただ、あの時とは、まわりの状況がまるで違う。


「ケガ人はこっちへ!」

「動ける者は、ケガ人のサポートを!」


現場は忙しなく、騒然としていた。
ちりぢりになっていた生徒たちが、少しずつ集まってきている。恐ろしい思いをした者、痛々しいケガを負った者、意識がない者も・・・。
その皆が目指していたはずの施設は・・・青い炎に包まれて、もう見る影はなくなっている。
時が経つほどに、事態の悲惨さをリアルに思い知らされるばかりで・・・誰も彼もが暗い表情でうつむいていた。


「洸汰くん、個性 使いっぱなしで疲れない?つらかったら言ってね」


洸汰へ笑顔を向けるが、例にもれず彼も俯いていて、二人の視線が交わることはない。


「・・・なんで、」


俯いたまま、洸汰がぽつりと呟いた。


「なんで、あんたも“アイツ”も・・・こんな、ボロボロになってまで、戦うんだよ・・・」


疑問を口にした洸汰の声は少し鼻にかかって、震えていた。


「怖ぇやつらに襲われて、こんなケガして、こんな痛い思いしてんのに・・・なんでヒーローなんかになりたいんだよっ」


“アイツ”というのは、緑谷のことだろう。
洸汰は、強子の腕の傷を見て、同じく腕をケガしていた緑谷を連想していた。


「ヒーローも、ヴィランも!個性をひけらかして、バカだろ!個性なんか無けりゃ、こんな風に傷つけ合うことも、殺し合うこともないのに、なんで・・・」


緑谷はマスキュラーとの戦いで、個性のフルパワーを使い、腕を犠牲にした。そうでもしないと、緑谷も洸汰も殺されていたからだ。
ケガをするのは、誰だって嫌だ。死ぬのも嫌に決まってる。


「でも・・・誰かがやらないと、困ってしまう人がいるから。救けを求める人がいるなら、誰かが戦わないと・・・」

「なら、“誰か”に任せておけばいいだろ!?」


皆がそれを言ってしまえば、結局は、誰もやってくれないんだよ。だから、誰にも手を差しのべてもらえず、ひっそりと道端で死に絶えるような人がいる。
だったら―――


「・・・出来る人が やらないと」


怖くても、それを人任せにしないで出来る人だから、“ヒーロー”と呼ばれて讃えられる。
強子は、その“出来る人”でありたいのだ。


「出来る人、って言ったって・・・」


強子の言い分を理解できず、洸汰は怪訝そうに眉を寄せた。そんな彼に、強子は眉を下げて笑みをこぼす。


「適材適所ってやつだよ。みんな、出来ることや得意なことがそれぞれ違うから・・・今の、個性ありきの超人社会では特にね」


視た相手の身体能力を把握できる人が医者をやってたり、犬の個性をもつ人が警察署長だったり、全身レンズの人が新聞記者だったり・・・個性を活かして生活してる人がたくさんいる。
もちろん、個性で活躍してる最たるものは、ヒーローという職業だろうけど。


「洸汰くんもだよ」

「え・・・?」


だいぶ冷えた腕を試しに動かしてみると、強子の意のままに動いたので、洸汰の頭に そっと自分の手を添える。


「水の個性を使って、私を救けてくれた。今もヤケドの応急処置をしてくれてる。これは、他の誰にも出来ないことだよ」


強子の言葉に、洸汰ははっと目を見開いた。
施設が燃えたことで貯水槽がやられてしまい、蛇口をひねっても水は出ない。まわりの山々に川が流れているが、夜道は危険で移動できない。つまり、水がないのだ。
火災現場から強子を連れ出すことも、強子のヤケドを冷やすことも・・・大げさではなく、本当に、洸汰にしか出来ないことだった。


「そう考えると・・・“個性”って、素敵だよね」


人類に個性が発現する前の社会と比べて―――この超人社会は、「この人なら活躍できる」、「この人じゃないと出来ない」という場が多いように思う。


「洸汰くんだって怖かっただろうに、救けてくれて ありがとう。私たちのケガを心配してくれて、ありがとう」

「・・・っ」


また俯いたかと思えば、グスッと鼻を鳴らした洸汰の頭を優しく撫でつける。
合宿初日とは違い、手を振り払われなかったことを感慨深く思いながら、強子は願う―――個性を、超人社会を、そしてヒーローを否定してきた洸汰の中で、何か 少しでも変化があればいいな、と。





救急や消防が到着し、洸汰と別れて一人になった強子に、無機質で低めの声がかかった。


「いいトコあんじゃん」


強子にそう告げたのは、上鳴だった。
先ほどの洸汰とのやり取りを見ていたんだろうか。彼にしては珍しく、強子に対してポジティブな言葉である。
しかし、強子はゆるゆると首を振ると、長い長いため息をつく。この合宿で一番大きなため息だ。


「良いところなんて、一つもないよ。私は、何も出来なかった・・・」


ピクシーボブを守ろうと試みたが、出来なかった。
マグネやスピナーには容易く捕まり、飯田がいなければ逃げられなかっただろう。
荼毘には散々いたぶられ、ようやく反撃できたかと思えば、トゥワイスの作ったニセモノ。それも、相澤の援護がなければ無理だったろう。
終いには、まだ幼い洸汰に救けられるという醜態だ。

そして―――先ほど、意識のある者たちに伝えられた、陰鬱な現実。
生徒41名のうち、ガスによって意識不明の重体が15名。
重・軽傷者が21名。
無傷で済んだのは たったの4名。
それから行方不明が1名――言わずもがな 爆豪だ。ヴィランに奪われたのだ。
また、プロヒーロー6名のうち、ピクシーボブは頭を強く打たれ重体、ラグドールは大量の血痕を残して行方不明となっている。
それを知らされた面々は絶望的な表情を見せ、誰も彼もが口をつぐみ、ひっそりと静まりかえっていた。


「(覚悟、してたはずなのに・・・)」


いざ、爆豪がヴィランに連れ去られたと聞くと・・・今どこにいるかもわからない彼を思い、ズキリと胸が痛む。
爆豪だけじゃない、ラグドールもだ。
強子はこうなると知っていたのに、何も出来なかったことを、ただ悔やむ。


「“何も出来なかった”ってことはないだろ?」


いったい何を言い出すのかと眉をひそめると、


「“自分の身の安全を確保すること”が、俺たちに出来る最大限なんだろ?だったら身能は、お前の最大限 出来ることをやってんじゃん」

「!」


強子は狐につままれたような顔で上鳴を見つめる。彼の言葉に、度肝を抜かれた。
いつだって強子に辛辣な態度の彼。だからこそ、彼の言葉には同情だとか忖度はなく、彼の本心の言葉なのだとわかる。
強子は皆の力を借りて、かろうじて自分の身を守った。ということは、つまり―――彼の言うとおり、強子は最大限やれることをやれたのだ。
爆豪を奪われ、我々は敗北したと思っていたけれど・・・強子が奪われなかった点だけは、負けてない。


「・・・上鳴くんも、いいトコあんじゃん」

「いや、俺はいいトコしかねーだろ!」


まるで喪に服すかのような、息がつまりそうになる閑寂モードの中で―――ほんの一筋の光がさしたような気がした。










==========

ブラド先生の操血は、荼毘の炎を防ぐことも出来るだろうと勝手に推測してます。
強子が荼毘とやりあってる間に、彼は炎から生徒たちを庇いつつ、熱で割れた窓から外に逃がしていました。
ただ、血(ほぼ水)と炎の相性は悪いだろうなと。長期戦になると不利なんじゃないでしょうか。
皆を逃がして強子を救けに戻ろうとしたところで相澤が来たので、彼にバトンタッチしたというわけですね。
以上、先生側も必死だったという補足でした。



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