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宇宙人3






次の日も
幼馴染みに導かれて神社にきていた。
昨日は結局うわさ検証してほしくて俺を探索に行かせたらしく、自分はばあちゃん家でかき氷をつくっていたというなんとも憎たらしい幼馴染みだ。

スマホでかき氷の写メが送られてきたときはあいつも削って粉々にしてやろうかと思い、急いで帰った。だがしかし俺の分のかき氷まで用意して「おつかれ」と言った幼馴染みに怒りが沸かなかったので、今日もまた1人うわさ検証に身を呈してるわけだ。


「なんで今日もいるの飯島さん」

「俺は地主だよ。それを言うなら何で君は今日もきてるの」


地主だったんだ。

それは問い方が悪かったな、すみませんでしたと頭を下げる。
昨日石段を下りて帰っていったからてっきり丑三つ時のお祈りのためだけに来たのだと思ってた。べつにいいよと俺の頭を上げさせる飯島さんだけど、よく考えたら自分の土地に藁人形たくさんいて怖くないのか。
疑問を圧し殺しながらうわさ検証で来たんだと言うと、首を傾げられた。


「まさかオバケがでるとかいう」

「そう、白い服にバサバサな黒髪で長身のオバケだって言ってた」


明らかに飯島さんだよこれ。

言われたときは白い着物の女性を想像してたけど、飯島さんをみて飯島さんとしか思えなくなった。また今日もむさ苦しい黒髪に、無地の白いティーシャツ。ちなみにひだりてにはヘリウム缶が握られていた。ヘリウムを吸って声を変えて遊んでいたのだろうかとか考えていたら、視線に気がついたのかヘリウム缶をかかげて気になるのかときいてくる。素直に気になると答えると投げ渡された。


「わっ」
「手伝ってよ」
「はあ」
「1人でしてたら気が滅入ったんだよね」


声変えて遊ぶことに気が滅入ったんだろうか。

神社の裏の方にまわっていく飯島さんの後ろに、渡されたヘリウム缶を気にしつつ付いていく。
神社の裏には小さな小屋みたいなものがあって木の戸を飯島さんが開くと、一面風船で埋まっていたファンタスティック。
戸惑いを隠せない俺を小屋に入るよう催促して、俺が入るとじぶんも入り戸を閉める。神社の涼やかな雰囲気とはうって変わり色とりどりの浮いてる風船にまじり、よくみればアコースティックギターやらUSENやらスピーカーやらパンクな置物が数々みたある。床に散らばる楽譜を指さし、飯島さんをみた。


「作曲家?」

「ふっ……うん、まあ」


眼鏡と前髪で表情が分かりにくかったが、確かに笑った飯島さん。
そうか、作曲家なんだ。人は見かけに寄らず様々なことに手を伸ばすものなんだな。そう思いながらアコースティックギターをみて、風船に目を移す。


「こんなに風船つくって、まだ作るの」

「うん。今日は特別な日だから。はいこれ膨らまして」

「はあい」


うさぎ型だ。
飯島さんってとことんギャップの激しい人なんじゃないだろうか、たまに頭がついていかなくなる。