5人の王子様の話3
授業もいつも通り難なく終わり
ぼんやりお昼ご飯の笹餅を食べていたら、陽平がルー波盛りカツカレーを持ってやってきた。
おま、それ家から持ってきたの?
「なあ聞いた?白鳥様学校来るんだって」
「え…あ、いや。そうなの」
あの引きこもり根暗オタク照れ屋さんと称される王子様のことか。
噂でしか聞いたことないが、相当な人間不信?恐怖症?だかで
入学式の代表挨拶以来人前に姿を表すことのなかった時の人なはず、それが何故なんにもない登校日に来るんだか。
「なんでも、人間恐怖症が治ったらしい」
「階段からでも落ちたの?」
「記憶喪失違う。なんとなんと、聞いて驚け!その人間恐怖症治したのおまえの兄だよ!」
さすがお姫様だな。
陽平が、カツカレーのにんじんを避けながら凄い凄いと絶賛する。
ほんと、凄いよあの人。
どういう経緯でとか、どこで顔を合わせたとか。予想もつかないけど。あの人なら出来る。
「にんじん食いなさい」
「やだ。それよりまだ話続くんだよ」
「……」
「その白鳥様さ、姫にベタ惚れしててさ。今日、王子様たちがすげーバトルしてた」
もう知らねえよ。
俺の話を聞かないなら俺だって陽平の話なんか聞くもんか。
ふいっと笹をむきながら陽平に返事をしなかったら、ガタンと陽平が立ち上がる気配がした。
え。と、陽平のほうへ顔を向ける。
「無視しないでよ!」
「!!?」
泣きそうな声でそう叫びながら、口ににんじんを突っ込まれ噎せる。
なになになに、こいつ!!
逆ギレして嫌いなもの食わせやがった!!
「げ、ほっ…らにすんだ、ど阿呆っ」
「俺は史季に無視されるのが一番悲しい!」
お前の一番って可笑しいよ。
いやそれよりこいつの阿呆さが心配になる。なんかもう色々と阿呆すぎて、ツッコミきれない。
よくこんなんで恋人できるよな。
確か、今はB組のかわいこちゃん(ちまたに聞く男の娘)だったはず。
何故、恋人と一緒にごはんを食べないのか。
前にそう問ったら、俺が一人になるからと言って馬鹿にしてきた。
いっておくが俺には友達は他にもいるし、決してそんなことはない。
それに俺と食べることによって、ことごとく陽平は相手に振られていると聞く。
まるで俺のせいだと兄は言っていたが、ほんとにそのとーりだ。
「俺も恋人つくろーかなあ」
「え」
「なんだよ」
「あ…いや、興味ないと思ってたし……女子のあてなんてこな男子校じゃ無いだろ?」
「ん…男だよ」
男を恋人にしようと思ってんの。
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