冬のある日


吐く息は白い。
お前との張り込みの担当番の日に限って気温が下がるんだよなァ、とぼやきながら缶コーヒーを啜る先輩はばっちり防寒している。
貰ったポタージュで暖を取りながら、こちらの台詞ですよと返すつもりが、へくしと小さくくしゃみしてほんとに冷えましたねと呟いてしまった。
冷えるって言ってたろ、どうしてそんなに薄着なんだよ日奈子さんよ。しょうがねえなあと寄越されたのは一番上に着ていたものだった。

丈の長いコートは冬用の厚手の生地で、随分と暖かい。人が着ていたものなら尚更。
小さいくしゃみを聞きつけて寄越されたそれは少しだけ煙草の匂いがした。
お前よりは体温低いんだから平気だと長い舌が言うのにありがたく暖を頂戴して、せめてもと背中を合わせた。


prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -