父の日


父の日や母の日、それぞれの誕生日、それと盆正月くらいには実家に顔を出している。揃って手土産を渡した後、代わり映えのしない近況報告をしあってから帰路に着くのだが、今年は勝手が違った。
一番上が三十の大台に乗ったのだ。
数回の見合いは主に相手方の性癖によりことごとく失敗しているのだが、それにつけても長女には男運がなかった。
次女は仕事一辺倒、長男にも浮ついた話はない。しかし二人は遠い過去に結婚していたことがある。
三人揃った時に、結婚の話が長女へ集中するのは自然なことだった。

二人の主張は大抵が「親にも孫の顔を見せてやりたい」である。長女は小児科医であり、子供はいいものだといくら説いても普段から二人より接していた。
最初に失敗してからもう六年が経っていて、会う度言われ続けた長女はおおらかな人柄故に流し続けていた。
が。

今世結婚していない二人にジクジクと小言を延々と聞かされ、いい加減にしろと仕返しを始めた。
父の日、昼下がりの話である。


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bkm
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