PDA
 
暦の上ではもう秋だというのに、まだ夏の暑さの残る昼。

「めーると とーけーちゃーいーそーおーだよー…」

両手に買い物袋を携え並んで歩く彼はVOCALOIDとは思えない安定しない音程でそう歌ってみせた。
交通量、人通りもそこそこある通りの交差点での信号待ち。ただ立っているだけで、照りつける太陽の日差し…それこそ真夏に比べれば和らいではいるけれど、そのせいで汗ばむ。
…と、それに追い討ちをかけるかのようにカイトは私の肩に顎を乗せてきた。

「ちょっと、暑いから離れてよ!」

ずしりと、細身とはいえ成人男性の彼の体重が身体全体にかかるが両手が荷物で塞がれているため振り払うことが出来ない。
小声で、周りの視線が気になるから離れてと言っても彼は「えー」と口を尖らせる。

「めーちゃんまさか無自覚?」
「な、何が…」
「肌露出してるせいで元からジロジロ見られてるよ。」
「そんなことは…」
「だからこうやっていちゃついても気にならないんじゃない?」

どう反論しても丸く言いくるめられてしまった。
こっち向いて、と囁かれ、向いては奴の思うツボと分かっていながらも、ぞくりと感じてしまった身体は反射的に振り向く。
信号が青に変わり、人が流れ出す。その中で止まったままの私たちは周りの視線などもろともせず口づけを交わした。

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PDA=Project DIVA Arcade
の略のはずが
Public Display of Affection
(公共の場での愛情表現)
と勘違いされたことが発端(ぇ

やーい、このバカップル(

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