飽き反芻

飽き反芻_オポチュニスト | ナノ
オポチュニスト



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私は今、キングス・クロス駅
9と4/3番線に来ている

先日、お父様に連れられて
ダイアゴン横丁に行き買ってきたばかりの杖
(本体=椿、芯=ドラゴンの心臓の琴線)
を服に忍ばせ
これまた買って貰ったばかりの
カラス、ロズを籠に入れて
空いているコンパーメントを探していた


(ここで良いか)


私は適当に誰もいないコンパーメントに入り
ロズを籠から出した

ロズはおとなしく
とってもお利口だ
手紙も運んでくれるし
私の言うことを恐らく理解しているのだろう
ちゃんと言うことを聞いてくれる



「窮屈だったでしょ、ゴメンね」



窓の近くで羽を休めるロズの頭を人差し指で優しく撫でると
ロズは気持ちよさそうに一鳴きした


私は手持ちカバンに入れていた
本を取出し読書に耽る事にした


――――――――
――――――――――――――


少しの間本を読んでいると
汽車が動きだしたのか大きく揺れた



「キャ!!」


―――ガタンッ!


(何事ですかぁ!?)


大きく揺れて少しすると
廊下を歩いていた女の子が
勢い良くコンパーメントの中に倒れこんできた



「・・・・だ、大丈夫ですかぁ?」



私は持っていた本を閉じて
女の子に手を貸して
向かいの席に座らせた

女の子は頭をぶつけたのか頭を擦りながら
涙目で私を見た



「悪かったわ」



強い口調で芯のある言葉
何処かトゲトゲしいが
彼女なりの謝罪の言葉



「いや、別に謝れるような事されてないですよ・・・・」


「お邪魔してしまったでしょ、直ぐに出るわ」



彼女は私が読んでいた本を見てそう言って
直ぐにカバンを持ってコンパーメントから出ていこうとした



「暇だったから読んでいただけだから、もし良かったら、話相手になってくれたら嬉しいのですが」


彼女は出ていこうとして掴んでいたコンパーメントの扉から
手を離して私を見て
また、席に座りなおした



「話相手になってあげても良いわ」


「本当ですかぁ?良かった!」



よく見てみると綺麗な顔立ちだ
黒に近い茶色の髪がサラサラと揺れ、黒い瞳が強さを引き立てる
少しキツい物言いも
照れ隠しだと分かると可愛く思える



「私はルクレティア・ブラックよ」


「私はミシア・ラッシモアです」



私達は握手を交わした・・・・

(ん?・・・ブラック)

あぁ!!ブラックと言えば
シリウス・ブラックの家系!?


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