好きか嫌いか、そう聞かれると困るんだが、たぶん前者の方だと思う。
たしかに奴らは無茶苦茶だ。酒の飲みっぷりも酔いっぷりも酷く無茶苦茶だ。だから、初めは興味本位なぐらいだったんだ。ただ物珍しさに見ていただけ。

その中でも、一番に目を奪う者が沖田だった。芹沢さん以外で俺のことを犬呼ばわりするのはコイツぐらいだろう。


「犬呼ばわりされたくないんだったら、もう少し人間っぽくなりなよ」
「はぁ!?俺のどこが人間っぽくねぇんだよ!」


すぐに突っ掛かってくる沖田は今日も健在で、いつものように厭味をこれでもかって程に言ってくる。
毎日の事だから、俺もそろそろ馴れていい頃なのに、どうしても奴の口車に乗ってしまう。
まぁ、これが俺と沖田のコミュニケーションとかいうやつだと思えば可愛いものなんだとか。


「あんたは俺に恨みでもあるのか!いつも俺ばかりいじめやがって!」
「たくさんあるよ」
「は!?俺にはそんな覚えないんだが」
「井吹君、」


急に名前を呼ばれたと思ったら、沖田の顔が近くにあって鼻先が触れる感触の後に言葉を遮るように口唇が沖田のものと重なった。


「‥っ!」


重なっていたそれがゆっくり離れると次は真っ赤になった俺の耳元へと口唇を寄せて、笑みを含んだ声で囁いた。


「やっぱり井吹君は面白いなぁ」
「〜〜っ、沖田ぁぁぁあ」


振り回す沖田、それに振り回される俺。
どんなことをされても嫌いになれないなんて、俺は夏の暑さに侵されいるだけだと叫びながら何度も言い聞かせた。


fin...

- 4 -

BACK | NEXT






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -