勝手に高鳴るこの動悸は鎮まらなくて‥


「やっと出来た、」
「たしかに受け取った」

今回も途中までは調子がよかったのに、またまた調子が急下降してしまい、締め切りを延ばしてもらうことになってしまった。

トリに迷惑をかけないように頑張ったのに自分が甘いからやり遂げれなかったんだ。優の誘惑に負けて一緒に漫画を徹夜してまで読み更けてしまったのがいけなかった。

「‥ごめん、トリ」
「何がだ?」
「また締め切りまでに終わんなくて」
「反省してるなら、もういい」

(毎回のことだからトリも呆れてるんだろうな‥)

トリの冷たい反応からそんなことを思って小さなため息を吐いた。
そんな俺に気付いたトリは俺の頭に手を置いた。

「次があるだろ」
「え、」
「お前が落ち込んでると調子が狂う‥」
「ごめ‥っ!」

顔を上げるとトリが優しい笑みを向けていて、とっさに顔を伏せたけど熱が集まっていく。その俺を心配して顔を覗くトリに余計に火照る。

「熱っぽくないか?」
「え、ああ!この部屋暑いからな!」
「そんな暑がりだったか?」

どうして俺が顔を赤くしているのか分かってるくせにわざとらしく聞いてくるトリ。
その余裕な仕草に一々反応してしまう俺。

(トリだから、こんなにドキドキするんだけど‥)

トリだからキスしたくなる。それ以上のことも‥などと考えてしまう俺は重症だ。

「‥‥から、」
「は?」
「トリが変に優しくするからだろ!」

それだけ言い捨てると次回の話のプロットを立てようと机に向かおうとするけれど、腕を掴まれて阻止されてしまった。

「と、トリ!?」
「それは吉野が悪い」
「なんで俺になるん‥んっ!」

遮るように重ねられる口唇に思考が停止してしまい、抗うことができなかった。

「疲れてるだろうから我慢しようと思ったが、無理みたいだ」

耳元で囁かれた言葉にきゅっと胸が締め付けられた俺を抱きかかえれば、そのまま連れて行かれてベッドへ身体を沈められるのだった。


Fin..

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