▼ 第3話
「人と……牛」
少年の口から紡がれた事実は、信じ難いもので。
「ふぇっ?」
私は心底情けない声を出していた。
「信じられないなら、ほら、これ……」
少年は自らの羽織った紺のパーカーのフードを外すと、頭を指差して私に何かを促してくる。
ツノだ。
よく見ると、少年の頭には、小さいながらも雄牛のようなツノが生えていた。
理解不能な事態が多すぎて、頭がずきずきと痛んでくる。
「その……大丈夫?顔色、悪いよ」
少年が困った顔をして覗き込んでくるが、答える元気もない。
とりあえず、取り急ぎ確認しなければならないことがある。
「こ、これって、誘拐じゃないよね?私捕まらないよね?」
「お姉さん、何言ってるの……?」
両親は行方不明(?)。お家も名前も不明。そんな少年を保護しただけなのだ、私は。
「わかった。わかったよ。君の話を信じるね」
私がそう言うと、少年の瞳が微かに嬉しげに光った気がした。
納得
(人と牛のハイブリッド少年って何て呼ぶんだろう)
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