▼ 第4話
翌日の休日、私は少年を家に置いて、図書館へと立ち寄っていた。
どっさりとトートバッグに詰め込んだのは、『妖怪辞典』『妖怪大一覧』『妖怪イラスト集』『妖怪ウ
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頭にツノが生えた人間なんて、聞いたことがない。それに、悪魔のような邪悪さも、少年からは一切感じなかった。となると、残る可能性は一つ……彼は妖怪の一種なのではないかと、想像したわけだ。
家に帰ると、お昼寝でもしていたのだろうか、少年がぼんやりとした目をこすりながら出迎えてくれた。
「おかえり」
「ただいま。さっそくだけど、見てほしいものがあってね」
私は彼の前に妖怪以下略をずらりと並べる。
「思い当たるもの、ある?」
「……言いたく、ない」
ここでまでシラを切られた私は、ついにイライラが沸点を超える。
「誰があんたを助けてやったと思って……ッ」
怒鳴りつけた先にいたのは、なんの力もない(?)少年。
震えながら私のことを見上げて、座ったまま少しずつ後退していく。
「ご、ごめん。私も、早く君のことが知りたかったんだ……」
どうして彼が自分のことを言い淀んだのかは分からない。だけど確実に言えることは、この妖怪以下略の中に、彼がいる、ということだ。
結局その日は一度も、少年と口を聞くことはなかった。
正体
(隠すということは、悪い妖怪?……まさかね)
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