▼ 第2話
見知らぬ少年は、私の部屋で嬉しそうにメロンパンを頬張っている。
なんの警戒心もなくついてくる少年を保護したはいいが、これでは誘拐扱いになるんじゃないか……?
まずは警察に連絡すべきなんだろうか。
私が思考を巡らせていると、男の子が首を傾げながら、こっちを見てくる。
「君、ねえ君。名前はなんていうの?お父さんお母さんは?」
「名前……ない。お父さんもお母さんもいない。」
「そう……ってそうじゃなくて!」
ここまで言いたがらないというのは、よほどの事情があって家出したんだろう。だけど、このまま見過ごすわけにはいかない。
「おうちは?お父さんとお母さんはどんな人なの?」
「おうち、ない。お父さんとお母さんは……あ」
口の端についたメロンパンのカスを舐めとって、男の子が口を開く。
そして紡がれたのは、信じ難い言葉だった。
「人と、牛」
苦悩
(まさか電波系少年だとは)
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