▽ 09
「よーし部活だー!」
「おー!」
「…あれ、なんでサッカー部のユニフォームなの?」
あ、つい…なんて答える守。けど今回は何も言わないでおく。だってサッカー部、みんなユニフォームに着替えてたから。
いつもの癖でユニフォームに着替えていたらしいサッカー部だけど、別にどの服でも問題はない。なのでそのまま音楽室に直行した。なんせ日にちも時間もないから、一分だって惜しいのだ!
「じゃあメンバー確認、まず名前と水希は?」
「二人ともいまーす」
「サッカー部二年は?」
「ああ、風丸が日直で遅れる以外は全員だ」
「オッケー、一年はホームルームが長引いてるみたいね…まあいいわ、始めようか」
「了解!じゃあ楽器準備しよー」
柚が半田達、パーカッション群に指示を出す。パーカッションは柚を入れて四人、手伝わなくても大丈夫そう。
金管楽器の担当になった人は水希に教えてもらっているらしい。それに秋は小学校の頃に楽器クラブとやらに入っていたらしいから、あっちも大丈夫そうだ。
で、こっち。僕たち木管楽器群ですが、マックスはクラってことしかわからない。ちなみに、今いるのはマックスと鬼道くん、一之瀬くん、土門くん。
「えーとー…誰が何の楽器?」
「僕はクラリネット。土門は?」
「俺もだぜ。あとは音無もか」
「これで三人…それじゃ、鬼道くん達が…」
「フルートだ」
クラが三人にフルートが二人。うん、把握できた。鬼道くんがフルート…ぷっ…あ、なんでもないです。
とりあえず、クラは面倒だから先にフルートを準備しよう。
++++
「これが頭部管です。二人とも、まずはこれで音が出せるようになって?」
「へえ、フルートって二つの部品に別れるんだね。吹き方は…」
「あーっと、吹き口に下唇を軽く添えるようにして、上唇を突き出す感じで。じゃあ、ちょっとやっててください」
フルートは頭部管っていう部品と本体みたいな部品の二つに別れている。まずは頭部管の音が出ないと何も始まらないのですよ。それに、あんまり肺活量がない人とか初心者が長くやってると、酸欠で頭がくらくらする。実際に僕も経験した。
けどそこは柚が選んだ二人だけあってか、ふーっと頭部管を息が吹き抜ける時、掠れてはいるがそれっぽい音が鳴るから、しばらくほっといて大丈夫だと思う。
それから、一年部員達も音楽室に集合した。次にクラ。正直組み立てめんどそう、否、めんどい楽器ですよー。
「名前先輩、組み立て方はこれであってますかー?」
「ん?あ、マウスピースの向きが反対ー。一番上のやつ」
がっちゃがっちゃと楽器を組み立てている三人。うあああコルクが硬くて繋げられないならコルクグリスつけてね春菜ちゃん、キィが壊れるよ!
「っと、できたよ名前。次はリードってやつをつけるの?」
「さすがマックス、早いな…」
「土門は遅い。このファンタジスタが」
酷いぜ!なんてうなだれてみせる細い腰なんて知らないよ僕。その細い腰は女子に喧嘩を売ってるんだろう色黒細腰ファンタジスタ!
だけども三人とも組み立て終わったし、マックスの言う通りリードをつけたい。うん、つけたいんだけどね。
問題なのが、クラリネット用のリードほとんど全部(っても全部で七枚)にヒビ入ってるっていうことさ!
別に多少なら問題なく…いやリードミスが出てきたりするから問題あるけど……とりあえず問題なく吹けるんだけど、あるのはけっこう派手に欠けてるのばっか。普通なのは二枚くらいだ。
うーん、どうしよう。あとは全部使用中だし、二枚じゃ確実に足りない。一人三枚は欲しいとこだからなあ…。
……仕方ない、最終手段だ。どうせ場所を教えなきゃいけなかったし、僕もリードとクリーニングペーパー補充したいし。ついでだから部内で不足してるのはまとめて補充するかな。
「…うっし決めた、出かけるよクラ三人!」
「へ?先輩、どこに行くんですか?」
「どこってもちろん、音楽用品店に。張り切ってこー」
指揮棒振ってお買い物(柚、水希、補充したい物リストと部費ちょーだい?)
prev /
next