第六話

……オレは今日、婚儀を挙げる。


いつもは朝早く起きて、イズナと修行をするのだが、今日は流石に止めておいた。

今はこの広い畳の部屋で一人で寝ているが、今晩から寝床を共にするのか……と色々考えていた。


考えてもらちがあかない……
オレは廊下に出て、伸びをした。

…気持ちが良い朝だ……。


顔を洗っていると、イズナがやって来た。


「兄さん、おはよう。
何だかんだ言って楽しみ なんでしょ?」


「……何がだ。」


「とぼけても、無駄だよ。」


イズナはそう言って、顔を洗い髪を整えていた。


「……じゃ、お先に。」


オレは洗面場からイズナが居なくなったことを見計らい、いつもしたことはない髪の手入れをした。

少し夢中になってやっていると、


「………へぇ。……やっぱり……」


イズナが急にやって来た。こいつめ……


「………あっちへ行ってろ!!」



オレは自分でも知らないうちに、意識しているようだ。
うちは一族の長であるこのオレが……こんなことで……




―――――



オレはいつも来ている忍装束を脱ぎ、正装した。
着なれないな……

動きづらいしな……

鏡に写る自分を見て何故か違和感を感じる。


「ご立派ですわ。マダラ様。きっと小夜様も惚れ惚れすると思いますわ。」

「………。」


「兄さん、本当に似合ってるよ!」


「……そうか。」


オレは屋敷の本殿へと向かい、大名の娘を待つ。
父上や意見番、長老、うちはの上層部全員が揃っている。
男が一人やってきた。


「小夜様がおいでになりました。」


「……通しなさい。」

「……はっ!」


父上が命じると男はさっと居なくなる。


衣擦れの音が次第に近づく……
この音からして、たいそうな着物を着ているに違いない……


そして、音がやみ……
襖が開く。


「…蔭山小夜と申します。長らくお待たせして申し訳ございません。」


そう言って、女は顔を挙げた。


……ああ、綺麗な女だ。

……美人というより可愛らしさの勝る顔だ。

……小さい顔に凛とした目……

確かに気が強そうな女だが、中々のものだ……。

「……さぁ、こちらへ。」

女は女中に招かれ、オレの前に座る。


近くで見ると、髪もなかなか美しい……。

女の方も何故かは分からんが、オレの顔をまじまじと見る。
………何だろうか?
そして、安心したような顔をした。




「……オレがうちはマダラだ。宜しく頼む。」


「此方こそ、よろしくお願いします……。」



そしてオレ達は盛大に婚儀を挙げた。


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