第五話


望みうるかぎり最高の女を得たいものだ……
………忍一族の繁栄のためにな…



とオレは思っていたが、あまりにも気高い女はどうなのだろうか?

大名の娘が遣わした女房達は部屋を見るなり、もう少し広い部屋はないのかとか、この掛け軸は不要だの煩い。


その女房達はうちはの女中らと色々揉めていた。巻き込まれると厄介だ……

オレは部屋から出て縁側に座っていた。

……女房達があのようだと小夜とかいう女はそうとう強気な女だと思われる。

あと婚儀まで二日だ……。
色々生活が変わるんだろうな……。


揉め合いが終わったのか静かになったな……

…様子を見てみるか……

部屋に行ってみると、今度は女房達が家具を置いていた。
なかなか珍しいものばかりで少し驚く……。
大名共はなかなかの生活をしているようだ。

ひらひらした、まるで暖簾のようなものが目立つ。
こんなもの要らないだろうと近くにいた女房に聞いてみる。



「……これは何だ?これだけの量…いらないだろう……」



「これは几帳ですわ。小夜様が他の殿方に見られては大変ですからね…」



「……何が大変なんだ?」


「…………女は殿方に無用に見られてはいけないというのは当たり前ではありませんか……しかも、人妻になられる小夜様は尚更ですわ…」



「………訳がわからんな。」


大名の一族は妙なものにこだわるな……
部屋を一回り見てみると、なかなかの部屋だ。
色合いも良いし、何より風情がある……。
品も感じられるしな……。


「小夜という女はいくつになる?」



「……今年で18になられます。」


オレより3つ年下か……。まぁいい……。


「………では、こう伝えておけ。オレは楽しみにしているとな……」


「………分かりました。」

女房は素っ気なく答えた。本当に冷たい女たちだ……

こうして、婚儀への準備は着々と進めまれた……。



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