第四話
――――――小夜視点
どれくらい時間が経っただろうか…
塗籠に入ってから幾分時間が経った気がする…
近くにある鏡を見てみると、目の周りが赤く腫れていた。大分泣いたから当たり前かもしれない。
少しぼぅとしていると扉が激しく叩かれる。
「小夜様!いい加減にしてくださいませ。早く此処からお出になってください。私たちが大名様に叱られます。」
「煩いわね!少し考えたいのよ。一人にさせて…!」
女房達はいいわね。此所に居られるんだもの。
第一、忍の家に嫁ぐなんて私の身が危険じゃない。いつ敵がやってくるかも分かりはしない屋敷に行くなんて真っ平御免よ。
お父様も私なんてどうでもいいんだわ。
何もかもが嫌だ。
「小夜!いい加減にしなさい!」
御姉様の声が聞こえる。良いわよね、御姉様は。自分が普通の家に嫁げたのだから…私の気持ちなんて分からないんだから。
「婚約のこと聞いたわ。だから、その事について話したいのよ。」
「……。今更何よ!」
「いいから、開けなさい!」
私は渋々扉を開けた。
「御姉様と二人で話したいから、あなた達は向こうへ行ってて。」
「かしこまりました。」
そう言って、女房達は静かに帰って行った。
そして、私は御姉様を部屋に入れ、二人で話すことにした。
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