13 鬱陶しいやつ
同じ志望校の隣りの席の女子と自分の事が好きとまるわかりの可愛い後輩がいるとする。ちなみに隣りの席の奴は、馴れ馴れしく自分の事をらしくないから心配する、ただの大食い。合格発表の日に後輩の子と公園で話していた。
・帰り際に公園から出て行く隣りの席の女子をみた
・隣りの席の女子はみなかった
このどちらにしても、今から隣りの席の女子は自分の家のお店に停めている 自転車に乗り込む訳だ。私なら間違いなく、こう思うだろう。鬱陶しい奴。
「さっき何で走って逃げたの?」
「あ…。」
「ていうかおばあちゃんから聞いたけど、海堂合格したんだね?」
「え、うん…。」
「僕も合格したよ。高校も一緒だね!」
「うん…。」
本当に嫌みのない笑顔で私にそう言ってくる。優しいのか、鈍感なのかわからないけれど。
「山田、お弁当は買うの?」
「あ、買うよ。」
「そっか、ありがとう。」
私は適当なお弁当を注文して、お会計を済ませる。
「じゃあ…。」
「あ!山田、もしかして僕に用事あった?質問ばっかりして気が付かなかった…。」
何も知らないんだろうなとおもう。それは私が何でわざわざ志望校が同じなだけの隣りの席なだけの男子の家にまで来る理由も、公園から走って逃げた訳も、笑いかけられて嬉しいのに少し切なくなる事も、佐藤を好きというので済むけど、それひとつ分からないだけで私が佐藤にあてる言葉や行動の全て、真意がわかってない事になるからだ。
「ううん、好きだから来ただけ。」
自転車の鍵を外して、漕ぎ始める。
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