08 修学旅行・京都



「うおー!都会はすごいっぺー!」
「なに、上京したみたいになってんの。」

京都は綺麗だった。舞妓さんはあんまりいないみたいだけど、空も広くて地面もきちんと舗装されている。地図に視点を置けば、噂通り碁盤みたいだ。

「はー、3日間で満喫出来るかな?」

その後も、私は興奮しっ放しだった。旅館は友ノ浦中学貸切の文字をはりだして、見慣れた人達と知らない土地にいる 異様な雰囲気がまたアドレナリンをという具合。小躍り気味の私の少し先を友達は歩く。

先に開けられた、部屋に入る。

「綺麗綺麗!」
「町が見えるね〜。」
「畳の匂いだよっ!」

噛み合わない会話を楽しみながら、部屋の中を散策する。

すると、少し部屋のドアが開いた。

「佐藤です。入っても大丈夫?」
「う!うん!」

浮かれた足をぐっと掴まれ降ろされる。

「これ、明日行く場所が載ってるガイドブック。お昼ご飯とか食べたい場所があったら、明日の朝言って。」
「うん。」
「それじゃ。」

「……」

「花子!」
「あ、なに?」
「ガイドブック、見よ。」
「そ、そうだね。」

「花子って何でそんなに分かり易いのに、佐藤くん気付かないんだろうね。」

「えっ?!」
「…何?」

持っていたガイドブックを落としかけてしまう。変な声をあげた私を真っ直ぐみる友達がすごく驚異に感じる。

「佐藤…好きじゃないよ。」
「なにハッタリ言ってんの。」

茣蓙に腰掛ける友達。この緊張感が伝わらない様にいつも通りを考えながら、私も床に座る。

「…何でそう思うの?」
「表情に出てるし。ずっと目で追ってんじゃん。」
「え、ええ…???」

「何処が好きなの?」

「…あ、いや…」
「まあ、そっかー。佐藤は王子様みたいだもんね眉目秀麗、品行方正。何処をとっても良いところって感じ。」

「でも佐藤、野球のことになると少し感情剥き出しになるし。」
「うん」
「すっごい考え込んで、眉毛がくっつきそうになったりするし。」
「うん」
「たまに意地悪だし。」
「うん」

「佐藤は好き。」

私が初めて好きになった人を初めて誰かに言った。時間は依然と止まっている気がした。



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