「せんぱい、好き…好きです」
「んん゙っ、し、知ってる…つの」

 ベッドに戻された智也の上に覆い被さり、服を脱がしながら身体中を舐めるようにキスする理玖が『好き』と繰り返す。智也は恥ずかしくて爆発しそうだった。

「ちょっと黙れって!」
「先輩が我慢するなって言ったんです」
「へ?あ、そか…」

 全裸に剥かれた智也が組み敷かれたまま間抜けな顔でいると、理玖が頬に擦り寄る。
 飼い主にメロメロな動物の様で、智也は髪を撫で回した。真っ黒で硬い髪質。シャンプーの香りが好きで、同じものに変えたのを思い出す。
 智也は無意識でも理玖が自分の中になくてはならないものに感じて笑った。

「俺も理玖が大好きー。お前が俺を好きになってくれてよかった。これでもっとゴーインだったらサイコー!なんつってー」

 鎖骨を舐めていた理玖が止まる。ぽろりと漏れた呟きに、理玖は理性の蓋がぶち壊れる音が聞こえた。





「やだやだ!りくぅ…っもう、閉じなく、なる…ってば!」
「ダメです。ちゃんと慣らしといた方が絶対いいから」 
「はう…も、変なりそ…」

 抵抗する体力も削がれるほど、長い前戯に智也は三回達し、くたくただった。久しぶりに思えるアナルセックスだったが、ローションと指でこれでもかと解され、理玖の指が三本埋まって今も蠢いている。ペニスは理玖の口の中。前立腺を掠めるだけで身体が反応し、腰が跳ねる。智也のトロけた表情と甘い声に、理玖自身も完勃ち状態だった。

「あぁ゙っん、りく…ぅ、ホントそろそろ…腰がぁあっあ!」

 奥まで入っていた指がズルルと音がなる程の滑りを伴いアナルから出て行く。その刺激に智也は達して、量の減った精液が理玖の咥内へ消える。

「も、出ねぇ…っ、…は」

 ひくつく腰を撫でられるだけで甘い息が自然に漏れ、足を開かされてもされるがまま。散々解されたアナルとペニスはドロドロだった。
 理玖は少し緊張している様子で、けれど興奮を隠せずコンドームを装着したペニスにローションを纏わせて智也のアナルに擦り付ける。

「そだ…まだ、りくの…っ、ん゙っん、あ゙ぐっ」
「っせんぱい、好きです」

 ぐじゅ、と滑るローションのおかげと、入念に解れたアナルは大きく成長している理玖のペニスも簡単に飲み込んだ。
 痛みはないが、大きな圧迫感に智也が苦しそうに呼吸を繰り返して理玖の腕を握る。無意識に締まるアナルが理玖の形を覚えようとひくついて止まない。

「イ、りくっ…やば、…ーーっ!」
「ぅあっ…キツ…せ、せんぱい?」
「はぁっ、はぁ、…ンだ、これぇ…りくの、っ…ばか」

 智也は射精していないのに、それと似た感覚を味わった。びくっびくっと身体を反応させる智也を理玖が心配そうに見つめている。
 もはや指一本動かせず、呂律もあやふやで視界が滲み、身体が重いのに軽く感じて智也は目を閉じた。

「え…智也先輩っ!?」

 気を飛ばした智也に、理玖は青くなって身体を離す。頬に触れても肩を揺すってもされるがまま。

「ど、どうしよ…」

 理玖は大パニックで涙目になり、生きていることを確認して深呼吸をした。冷蔵庫から冷却シートを取り出して額に当て、タオルで身体を拭こうとすると理玖の頭に手が乗った。

「…りく」
「先輩っ!大丈夫ですか!ごめんなさいっ」

 怠くて仕方がない智也は少し笑って手のひらで理玖の顔を撫でた。理玖の顔が世界の終わりのようでおかしかったのだ。
 床に跪いてベッドに横になる智也を心配そうに理玖は見つめる。

「ビビったけど大丈夫ぽい。理玖は泣き虫だよなあ」
「俺だってビビりましたよ!もう絶対しません」
「っは?!」

 無理させたんだと自己嫌悪している理玖に智也が寝たまま、傍に来いと命じる。
 智也の顔をのぞき込むように理玖が移動し、頬を強く引っ張った。痛みに理玖が目を閉じる。

「まじヤバい…相性良いんだ絶対」
「はひ?」
「気持ち良すぎてヤバいってこと!」

  手を離して、ふいっと壁を向いてしまった智也は理玖から見ても分かるほど耳まで赤い。

「俺、アナルの感度が良いって、内田先輩にいろいろ試されたけど、あんなンなったことねぇもん」

 今思うと、遊び感覚で様々なセックスをされた気がして智也は黙った。
 理玖の思いや自分がかなり理玖とエッチをしたがっていた事が快感を増幅させたのかも、と良い方に考えて目閉じた。内田はセックスに関して嫌がると怒ったが、理玖は彼の方が心配だと嫌がっている。大事にされていると、強く感じた。

「…だからさ、またしよー?俺すごく気持ちよかった」

 きっと自分から誘わなければ理玖は手を出したりしないだろうと智也は確信できる。

「り、理玖とだから、気持ちいいんだと…思う」

 智也の告白に返答はなかったが、後ろから抱き締められて幸せな気持ちで目を閉じた。
 肩や首にキスされるとくすぐったくて身を捩って向きを変える。向き合って顔を合わせると理玖は心底疲れた様子で言った。

「付き合い始めて先輩に『理玖』って呼んでもらった時以上に今日のことは忘れられないです。ある意味」
「しょーがねぇじゃんっ。こっちこそ予想外だわ!」

 真っ赤になって言う智也に理玖が擦りよる。

「でも最高の誕生日でした。先輩がたくさん『好き』って言ってくれた」
「名前も、好きも、タダじゃん。バカじゃね」

 へらへらする理玖に、智也も笑った。






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