「ひ、あぁあ"ッ!?ま、まって……!んんっふ、ぅ、んん……」

 足を開かれ、押し倒された想の性感帯を圧迫する新堂の熱に想は目を見開いた。甘い声が鼻から抜け、良過ぎる快感に身体が跳ねる。
 想の制止を笑みで受け流し、色付く唇を新堂は奪った。逃げる舌を追い、絡めると呼応する様に想の内部はひくひくと新堂のペニスを食む。
 口付けで想の動きを制限したまま新堂は腰を打ち付けた。肌を打つ音といやらしくペニスをしゃぶるアナルから漏れる音も、想の快感を煽る。
 想の身体を知り尽くした新堂はひたすらに想の気持ち良いところを攻める。イッているのか、イきそうなのか、もう想には判断できないほどに蕩けきっていた。
 翻弄されまいと抵抗するように新堂の腰に絡めていた想の脚から次第に力が抜け、だらしなく開いた脚はベッドへ投げ出された。
 想は力の抜けかけた腕を新堂の首へ回し、とろんとした視界を閉じた。夢中でキスを味わう。ちゅ、くちゅ…と水音が想の耳を犯し、自分の息継ぎと新堂の呼吸が脳を麻痺させる。甘く、疼きを生むキスに想のペニスから少なくなった精液がとろりと滴った。

「は、ん……れ……ん、すき……すき……」

 うわ言のように繰り返す想の告白を受け、新堂は抵抗の無くなった想の身体を優しく抱き込み中へ熱を放った。
 新堂が達するのを感じ、想もまた息を詰めた。腰に力が込もり、微かに浮く。身体だけではない、胸の奥が満たされる。
 
「あ、あ……あっ、……あぅ……れ、ん」
「想……」

 新堂は薄っすらと開く想の目蓋に優しく唇で触れた。
 こんなにも欲しくなる、際限無く欲しいと思う。どんな願いでも叶えてやりたくなる。些細なことにも嬉しそうに、照れる顔が可愛いと思う。挫けない強さを持って、時にはその腕に背中を押される。どんな暗闇を見つめていても、その瞳に少しの光を映してやりたいと思う存在。
 新堂は消える事のない自分のハッキリとした欲望の子供っぽさに自嘲しながら、再び名前を囁き、身体を解放した。
 行為の余韻にほんのりと赤らみ、体液で濡れ脱力している姿に誘われて、新堂は首筋に口付けた。

「…れん」
「風呂沸かしてあるから。捕まってろ」

 うん。と小さく頷くものの、眠ってしまいそうな想を抱き抱え、新堂は寝室を後にした。









「あ"ぁ……頭痛い……商店街の打ち上げ会、断ったのに……」
「飲み過ぎだ」

 想は笑っている新堂から痛み止めを貰い、険しい顔で唸った。

「昨日はご機嫌だったな。シャンパンは早めに、って思ったが心配なかった。想は酔うとエロさもすごい」
「ぅ……?え?!何それ……ホントやだ……」
「若林に援助してやった甲斐があった」

 想は恥ずかしそうに顔を両手で隠していたが、新堂の言葉に顔を上げた。

「……若林さんて……花火?」
「なかなか良かったろ?」
「……あの花火って、漣が……?……いつもより豪華で数も多いなとは思ったけど……いくらくらいなの……」
「諸費用込みでハイグレードの大型ワンボックスくらいだ。警備は凌雅くんの仕事関係で安く上がったしな」

 想はゆっくりと立ち上がって新堂の前に立つと、両腕を首へ回した。新堂の瞳に自分が映る。この目が、どれだけ自分を想っているかよく知っている。
 目が離せなくなるほどの距離で想は微かに頬が熱くなるのを感じながら言った。

「みんな、俺と同じくらい楽しかったはずだよ」

 ありがとう。と伝えて、照れ臭くなった想は新堂の首元に顔を埋めた。甘えるように顔を擦り付ける。
 新堂はそっと想の髪を撫で、満足そうに目を閉じる。そして愛しい背中を大事に抱き締めた。




end.






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