きなり抱き着いた想に新堂は微かに笑った。

「おいおい、知らねぇオヤジだったらどうするんだ」
「分かります。漣じゃなきゃ投げ飛ばしてる」

 照明も外灯も控えめになった微かな暗がりで、想は新堂の胸に顔を埋めて背中を抱く腕に力を込めた。
 新堂も優しく抱き返しながら、汗ばむ想の首筋に唇を当てた。

「せっかく浴衣を着て来たのにこれじゃ見せられねぇな」

 その言葉に想は勢いよく顔を上げた。浴衣姿ではなく、微かに笑みを浮かべる新堂が視界に入った。ゆっくりと視線を下げ、想はゆっくりと再び新堂の胸に顔を埋めた。

「前、俺があげたやつ……」
「着れば想は喜ぶと思ったよ」
「うん、……かっこいいです」

 顔を埋めたままもごもごと喋る想に、新堂は頭を撫でながら小さく笑った。

「見てねぇくせによく言う」
「見なくても分かるよ。前も素敵だった」

 嬉しいような、照れ臭いような、なんとも言えない感情に負けた想がゆっくり顔を上げる。

「来てくれて、嬉しいです」

 打ち上げ花火が始まり、低く身体に響く音を爆発させながら頭上をキラキラと照らし始めた。
 暗がりで放たれる花火の灯りが映り込み、想の黒い潤んだ目が不思議な光を持つ。
 新堂は誘われるように唇を重ねた。

「来たばっかりで悪いが、早く連れて帰りてぇな……」

 新堂は眉を寄せた。まだまだ片付けまで残る想の仕事に、不機嫌そうに目を細める。

「あはは、子供みたい。花火が終わったら片付けも始まるから、もう少し待ってて下さい」
「……想はどうして花火が好きなんだ?」
「うーん……理由はないけど。真っ黒な空が一瞬すごく綺麗に見えるからかな」

 想は笑って身体を離すと、指を絡めて手を繋いだ。隣に立ち、空を見上げる。

「……こういうの、ずっと憧れてた」

 想の小さな呟きに、新堂はその横顔を見た。そして微かに口端を上げ、握る手に優しく力を込めた。









「……ん、あぅ……ここ、気持ちぃ……」
「だろうな。腰がずっと揺れてる」

 想はアルコールで頭の天辺から爪先までくたくたに酔っ払っていた。熱い身体と、速まる鼓動はセックスの良さも相まって不思議な快感を植え付けていた。

「中も熱くて放そうとしねぇ」
「ん、ん……好き」
「想はロゼが気に入った?4本も空けたな。ワインも2本。この酔っぱらい」
「んー……分かんない……多分、それ好き。漣が美味しいお酒、出すから……だよ……あ、ぁっ!」

 想は目蓋を閉じ、アナルに埋まる新堂を締め付けてはその存在感に身体を震わせた。騎乗位でのろのろと腰を揺らす想の焦らすような動きを新堂は目を細めて見守る。いたずらに想の湿るペニスに触れると、腰が大きく揺れた。
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「ぁ、ん……そっち、だめ」
「イきそう?」
「んん、イっちゃうから……だめ、漣を気持ち良く、したい……」
「だったらもっと頑張れ。自分ばっか良くなってちゃな」

 ぐっと新堂が突き上げた。桃色に主張する乳首を指先で押し潰され、想の閉じていた目蓋がパッと開き短い悲鳴が上がる。

「眺めは最高だが、これじゃ俺はイけない」
「は、ぅ……も、むり」
「無理じゃねぇ。ここまで煽って終わりか?」
「こしが……あつ、い……」
「だな。ほら、頑張れ」

 新堂は想の腰を掴み軽く揺する。それに合わせて腰を使えば、想は胸を反らせて甘い声を漏らす。

「ん"っ、あぁ!すご、い……気持ちぃ!イ、く」
「まだだ」

 想は崩れそうな身体をなんとか保ち、新堂の太ももに手を置いて動きに合わせて腰を揺らした。先ほどより大胆に、腰を振り絶頂を目指したが、新堂は想のペニスの根元をぎゅっと握った。それにさえ感じて、想は垂れてしまいそうな涎を手の甲で拭い、新堂を見下ろした。

「んん"っ、はぁっ、はぁ……ん、う……漣、俺……よく出来てる…?」
「ああ、上手いよ」

 達する事を遮られ、眉を寄せながらも想は腰を揺らして新堂へ刺激を与え続ける。新堂の熱い吐息混じりの声が想の耳に届き、揺れる腰が跳ねた。新堂をイかせたいと、動けばうごくほど己の快感も高めてしまい、イけないもどかしさに腰の動きが激しくなる。グチュグチュとローションが糸を引く、いやらしい挿入部に新堂が触れた。

「んぅっ、れんっ、……はぁ、っんん"!」

 グリュっと深く挿入され、想は喉を反らせた。
 身体が硬直する。腰が震え、想はアナルで達し、内部に埋まる新堂をこれでもかと締め付けた。
 新堂は熱い息を吐き出し、想の腰を支えながらベッドへ押し倒した。











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