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「遼平、紹介するわ。南沢英人(みなみさわひでと)さん!」
「よろしくね、遼平くん」




 遼平がゆっくりと瞼を持ち上げると夢は終わった。
 よろしくね、と微笑んだ英人の笑顔が脳裏に焼き付いて、大切な母よりも鮮明に思い出せる。
 遼平がベッドから立ち上がるとジャラジャラと細かい鎖が後を追ってくる。それは遼平の左足首に繋がっており、狭い部屋の中だけは自由に動けたが、扉の外には行くことが出来ない長さだった。
 強化ガラスで区切られたユニットバスに入ってシャワーを浴びながら消えそうな音で鼻歌を歌った。遼平は題名はしらないが、小さい頃に母が子守歌として歌っていた記憶があった。

「今、何時かな…」

 何年の何月か、それも分からない。
 遼平はこの部屋に監禁されていた。まだ子供だった彼は、もう今年で二十歳。細く、白い身体は不健康そうで、その白さに反し身体中には赤い鬱血が散っている。
 シャワーを終えて綺麗で柔らかいタオルで身体を拭いてると、部屋のドアが開く。遼平はそちら見て微笑んだ。

「パパ、おかえりなさい」
「ただいま遼平。イイコにしていた?」

 パパ、と呼ばれた南沢英人はベッドに近づいてその上に散らばる卑猥な玩具を一つ手に取った。コンドームを被ったままのバイブはまだ濡れている。

「コレ、気に入った?」

 英人がバイブをちらつかせると遼平は微笑んだまま迷うとなく頷いた。

「でも、パパのが好きだよ」

 濡れた髪のまま遼平が英人に抱きつき、甘えるように胸元に顔を擦り付ける。
 そのまま、英人の服の上からゆっくりと股間を撫でると遼平は甘い息を吐きながら既に自分のペニスを勃起させていた。

「パパ、遼平のお尻に入れて欲しいよ…」
「ああ、いいよ。イイコにはたくさんして上げるよ」

 熱い息をしながら英人のベルトを急いではずした遼平が下着からペニスを引っ張り出して頬ずりする。匂いを吸い込んで唾液が咥内に溢れ、こくりと喉を鳴らしたが、口では触れずに英人を見上げるように足元に跪く。

「よし、舐めて良いよ」

 英人の許可が下り、はむ、と音がしそうな勢いで萎えたままのペニスを頬張ると、手は使わずに舌と唇で奉仕始める。ふぁ、ふぁと荒い息をしなから夢中でしゃぶりついているとすぐに硬さも長さも出てきて苦しくなってくる。遼平はそれでも放さず、慣れた口使いでのど奥までくわえてディープストローを繰り返す。溢れる唾液が口周りを汚していくが全く意にも留めずにひたすらジュルジュルと舐めまわした。遼平が角度を変えてくわえ込むとペニスがびくっと反応し、そろそろだと思い、きつく吸い上げた。
 英人は遼平の後頭部を抑えるとのど奥へ容赦なく腰を入れた。えずきなからも必死で舌を絡める遼平の目に涙がにじむが、そんなことはお構いなしにガツガツとペニスを押し込み、イキそうに鳴った瞬間に引き抜いて顔に精液を放った。

「ぅえ、う……っはぁ、パパのせいえき……ぬるぬる」

 だらしなく涎を垂らしたまま顔にぶちまけられた精液を指先で絡め取り舌に塗りつける。
 英人に教えられたように指をしゃぶって何度も精液を味わう。
 遼平にはそれが死ぬほど辛かったが、もう何も感じなくなっていた。毎日教え込まれた通りに、実行する。
 言うことを聞かないと食事は一掴みのドッグフードになり、水も貰えない。八年という年月は遼平の精神を壊し、成長過程で教え込まれた唯一の行為と思考は性行為だけだった。

「綺麗に舐めて、立ったら好きにしていいよ」

 ベッドに寝転んだ英人は携帯電話をいじりだした。
 一度出したペニスはだらしなく垂れていたが、遼平は一心不乱にペニスにしゃぶりついた。顎がおかしくなりそうな程舐め、唇で扱いたペニスは再び硬く立ち上がり、厭らしく濡れていた。
 遼平は英人の内股や陰毛も舐め回しながら自分自身のアナルへローションを塗りたくる。先程までバイブでオナニーしていたそこは既にトロけていて、指を三本入れるとぬちゃぬちゃとアナルから音が鳴った。





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